プロローグ
一週間に一度のペースで更新する予定です。
今後変更がある場合、活動報告の方に載せるので、そちらを御覧ください。
死にたい。
何故こんなことに...?
もう嫌だ...
助けて...
救って...
殺して...
もう、疲れたよ...
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私は...誰...?
確か...|華色 杏
そして...誰にも愛されない、いらない子
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運命の歯車が狂い始めたのは何時だったか...
恐らくまだ幼稚園児の頃。
「あのねっ!まま!きょうね。わたしね。よーちえんでね!えっとね!」
言葉を覚えたてだった私は毎日必死になってお母様に出来事を報告しようとしていた。
傍から見ると、さぞ愛らしかったことだろう。
まだよちよち歩きの幼女が舌っ足らずの言葉で母と会話しているのだ。
しかも、私は客観的に見てかなり容姿が優れている方だと自覚している。
勿論、私は決してナルシストでは無いと断言できる。
だが、それにも関わらずその状況は決して目に優しいものとはならなかった。
何故なら...
「杏さん。それは今言わないといけない事なの?私は紫陽花ちゃんの...貴女のお姉様の世話で忙しいのよ。
それに!『ママぁ~』ではなく『お母様』とお呼びなさい。自分のことも『私』と言いなさい。それが淑女の嗜みです。もう四歳なのだから、それくらいできて当然だわ。
良いこと?杏さん。華色家は由緒正しき旧華族。しかも白金グループに次ぐ日本最大級のグループ、華色グループを経営しているのよ。その名に恥じないように。せめて使用人と紹介すれば恥にならない程度のマナーは嗜みなさい。」
そう。私の母親は私に対して優しいとは言い難いのだ。
少なくとも健康だけども少し頭の悪いことがわかりつつある姉、紫陽花のことが常に優先される程度には。
私は何も悪いことをしていない、筈。
だけども一番になれない。
だけど。
夢見てしまう。
いつか。
誰かの一番になれることを。
そうすれば。
きっと。
満たされるから。
ずっと。
ずっと。
仮面をかぶり続ければ良い。
そうして良い子を偽れば。
誰かに愛される筈だから。
私は。
私の為に。
周りに。
否。
自分自身に対してすら。
偽る。
それが。
幸せへの。
道だと。
そう。
信じているから。
だから。
絶対に。
ウラギラナイデネ。
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