クリスマスの真実
12月。
町は、クリスマスムードに包まれている。
「ねぇ、お母さん。
今年もサンタさん、来てくれるかなぁ?」
少年は、母親に問いかけた。
「そうね。
ちゃんといい子にしてたら、来てくれるわよ。」
母親はそう答えた。
「いい子にしてたら」。
そう、サンタクロースは、「いい子」にしか、プレゼントを配らないのである。
「普通」では、駄目なのである。
普通の子には、何もくれない。
では、「悪い子」は?
悪い子は、サンタクロースに連れて行かれるのである。
そして、プレゼント畑やプレゼント工場で働かされるのである。
また、トナカイの世話も、大切な仕事である。
そして、「ものすごく悪い子」は……
プレゼント畑の肥料や、プレゼント工場で材料や燃料にされる。
また、トナカイの餌にされる事もあるという。
空飛ぶトナカイである。
雑食どころか肉食でも、不思議はあるまい。
一方、「ものすごくいい子」は?
なんと、ものすごくいい子もプレゼントを貰えないのである。
その代わり、次世代のサンタクロースとしてスカウトされるのである。
名誉だが、当人にとっては嬉しくないかもしれない。
結局、「普通」か「ちょっといい子」ぐらいが丁度いいのである。