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第2話 ステータス

少し待ってほしい。再度状況を整理しよう。


朝起きてご飯食べていつも通りに出社したらいつの間にか見知らぬ大草原の真っ只中にいた。これは先程確認したと思う。


そこから大草原を突っ切るようにひたすら歩き、体力の限界と同時にお腹もすいたので気持ちの良い爽やかな風が吹くなか呑気にお弁当を食べていると後ろから大きめのお腹の音が聞こえた。

恐る恐る振り返ると、大きいハスキーのような風貌の真っ黒な狼、いや狼さん曰くフェンリルさん?がよだれを垂らして僕が食べているお弁当を見ていた。


お腹鳴ってるし可哀想だなっと思ってお弁当をあげて話しかけると、お弁当を食べ終わったフェンリルさんから声が…。


あれ?なんか和やかな雰囲気に流されてフェンリルさんにお弁当あげたんだけど、ひょっとして…いやいやひょっとしなくてもこれ俗に言う絶対絶命と言うのではないだろうか??


…僕のバカー!!!!

何故見知らぬところでほのぼのとお弁当食べてるんだよ!

なんで危機感を持ってなかったんだ!

さっきまで持ってた注意能力どこに捨ててきたのよ自分!!


もうやだ…。10分前の僕の頭を叩いて首を締めたい。そして土に埋めたい…。



<…大声をあげて固まったかと思ったら、頭を抱えたりうなったり怪しい行動をしてどうしたのだ。どこか痛いのか?大丈夫なのか?>



脳内で数十分前の自分に悪態をついていると、困惑気な声で僕の数十倍の大きさがあるかと思われるフェンリルさんが鼻先を僕の顔の近くに寄せてきた。


「は、はい。大丈夫です。大声出して申し訳ありませんでした。」


平和な日本に生まれてから27年、かつてないほど感じたことのない生命の危機を前に恐怖で蒼褪め強張った顔を下げながら謝る。


(お父さん、お母さん、お姉ちゃんたち…。どうやら僕の命はここまでのようです。先立つ不孝を許してください。)


心の中で両親と姉たちに手を合わせる。いや、異世界に来ている時点でアウトなのだが、うまく頭が働いていない今そのことを思いつくはずもない。


<うむ。目の前にそなたの数十倍ある俺のようなものが現れたら先ほどのようになっても仕方ないだろう。小さくか弱いそなたらの前に出ないように気をつけていたのだが、嗅いだことのない美味そうな匂いがしたから、失念してつい出て来てしまった。怖がらせてしまったみたいですまない。>


フェンリルさんはそう言いながら牛のように大きな頭を器用に下げる。


目測をあやまったのかフェンリルさんの頭と僕の頭がゴツンとぶつかった。


「いたっ!」


<む!>


ジワリとうっすら目に涙浮かべながらズキズキと痛む頭を反射的に抑え、その場にしゃがみ込み痛みが引くのを待つ。

徐々に引いていく痛みにホッと安堵していると、僕の体が突然キラキラとまばゆく輝き始め、あまりの光りの眩しさに目をぎゅっと閉じる。

だんだん光がおさまっていく様子がまぶた越しに感じる明るさでわかった。


<むぅ…なんということだ。>


ぶつけた頭の痛みがなくなるとともに光りもなくなったようなので、ゆっくりと目を開く。

最初に目に入って来たフェンリルさんは僕を見下ろしながら難しい顔つきをしている。

(ハスキーっぽい顔なので分からないがなんとなくそんな風に見える。)


光の眩しさでしかめている顔ではなく、考え込むような表情をしているようだ。

なぜそのような表情を浮かべているのか分からずコテンとわずかに小首を傾げた。


すると、フォンっという音とともに目の前になにかの画面らしきものが現れた。



【名前】 碓氷 昴広 (ウスイ アキヒロ)

【種族】 人族Lv:2

【性別】 男性

【年齢】 20歳

【称号】 異世界人 / 美の女神 ティルラツィーリの愛し子 / 幸運の女神 エルネスタの愛し子

【加護】 美の女神 ティルラツィーリの加護 / 幸運の女神 エルネスタの加護

【職業】 召喚士Lv:2 《召喚獣》フェンリル←名前をつけてください。

【体力】 25

【魔力】 120

【知力】 100

【スキル】 鑑定Lv:2 / 召喚魔法Lv:2 / 従順Lv:2 /回復魔法 Lv:2

【装備】 異世界の服(上下)/異世界のカバン

「なにこれ…?」


突如として現れた淡く光る半透明の画面を食い入るように見つめる。


ツッコミたいところがたくさんありすぎるのだが…。


まず、この半透明の画面っぽいのはなんなのか。

27歳のはずの僕がなぜ20歳に若返っているのか。

称号のことも気になるけど、職業《召喚士》とはなんなのか…。

あとなぜ既にレベル?というのが2に上がっているのだろうか?

もしやこれが友人が話していたステータスというものなのだろうか?


頭の中で色々と誰かに問いかけるかのごとく謎をつぶやく。


<それはステータスと言うのだが、知らないのか?>


頭を回転させ、画面を睨みつけるかのごとく凝視しウンウンと考え込んでいると、先に落ち着くことが出来たらしいフェンリルさんが僕に近づきながら、珍しいものを見たかのように僕に問いかけてきた。


「あ、あのフェンリルさん…僕この不思議な画面を見たことすらないんです…その前にここがどこなのかも分からなくて…。」


眉を八の字に下げ困惑げに答える僕を、フェンリルさんは鼻先でふわふわとした自分のお腹に抱えこむように座らせ、背後に寝そべりながらどういうことかと続きを促して来たので、今日の朝からの出来事を時系列ごとに話始めた。

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