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プロローグ

いつもありがとうございます。

シリーズで飛んできて来て下さった方へ

シリーズについての説明と注意事項を活動報告に書かせていただきました。

ざっくりいうと、まだまだ私は経験不足なので、全力を出しても、ご都合主義0、無理な設定0にはできないだろうという話です。そのワードで、ん?自分の嫌いな言葉が…と嫌な予感を感じた方は、お手数おかけしますが、ご一読いただけると幸いです。


 仕事を終え、就寝時間までの間、騎士寮の談話室は一日の疲れを仲間とともに労わる騎士たちであふれかえる。酒を片手に、女性にはとてもではないが見せられないような本を囲んでいる連中や、ボードゲームで菓子を賭けて子どものようにはしゃいでいる輩、今にも泣きだしそうな顔でどんよりと反省会をしている新人たちと誰もが仕事の時間では出来ないことを楽しむ中、暖炉の近くにあるテーブル席に座った青年は難しい顔をして書類を作成していた。


 わざわざこんな時間まで仕事をする変わり者を見つけた、青年の同期達はにやりと笑うと、手に入れた上等な酒を抱えて青年の周りを囲う様にして座った。


「よ、キース、こんな時間まで仕事か?」


「・・・ああ、お疲れ」


「ふぅん、その調子じゃ今日も平和とはいい難い一日だったのか?」


 同期の中でも出世株であるこの青年、キースは、皇族付きの近衛騎士という名誉中の名誉、憧れの的である職に就いているにも関わらず、その警護相手があまりに破天荒でいつも振り回されているというのは同期達の中では知られていることだ。


 今日は午前中には定例会、午後には皇族が集うお茶会があったので、あまり問題が起こるような日ではなかったはずだが、彼の主はやはり何かしら仕出かしたらしい。疲れた顔で書類を作ってるところを見れば、一目瞭然であった。


「平和・・・平和、な。

 午前中は平和だったように思えたし、お茶会も途中までは平和だったんだがな」


「へえ、お茶会で何かあったのか?」


「新作魔術の実験をしていたことが、陛下や他の皇族たちの前でばれた」


 深い溜息と共に苦い顔をして告げるキースは、とても同期の騎士には見えないほどの哀愁を漂わせている。同期達は顔を見合わせると、慌てて持ってきたグラスをどんどんどん、と並べて酒を景気よく注いでいく。


「で?

 また怒られたのか、レイナード公に?」


 同期の中でも、キースまでとはいかなくてもエリートと名高いカイトが首を竦めて問う。カイトはキースの親戚であり、何かと事情を知っているところがあるのだ。


「いや・・・父にはそろそろ話が行く頃だろう」


「昼下がりのことにしては遅くないか?

 そういや、お前は今夜の夜会に参加してきたのか。

 夕食のときは食堂に来なかっただろう」


 社交シーズン真っ只中の今、王宮では毎晩のように違うテーマを掲げた夜会が開かれている。騎士の職に就きながら、貴族令息でもあるという者たちは、昼番だった日の夜会に顔を出すことが一般的である。カイトは侯爵令息でありながら、あまり夜会に顔を出さない珍しい類の男だった。


「参加してない。

 先ほど戻って来たところだからな」


「何してたんだ?

 お前、今日は昼番で夕食前には終わるはずだろ?」


「色々とな」


 ふっとどこか大人びた笑みを見せてから、キースは書類の続きを書き始める。貴族らしい流暢で上品な文字が、上質な厚めの紙に並んでいく。


「で、それが反省書か何か・・・ってなんだ、これ?

 急募、幼馴染の護衛騎士?」


「ああ、少々人手を増やしてみようと思ってな」


「幼馴染って、カイトの妹チャンのことか?

 アリシアちゃん、可愛いよなぁ」


 酒を飲み始めた同期の一人がにまにましながらキースに詰め寄る。カイトの妹であるアリシアは、社交界の白百合と称されるほどの愛らしい少女である。夜会に母親である侯爵夫人に連れられ、連夜訪れては男たちの視線を奪っているらしい。


「アリシアなら、護衛騎士はしっかりついてるから心配するな、キース。

 お前が誘えば、あいつは喜んでパートナーになると思うぞ?」


 女っ気のないキースが、アリシアと手紙のやり取りをしているのは、同期達も良く知っている。それはアリシアの兄であるカイトも同じで、恋愛に鈍感なところがあるキースをアリシアとくっつけようと画策している部分もあった。


 だが、キースは意味が分からないと首を傾げ、眉を顰める。


「アリシア?

 彼女には専属護衛が付いているだろう」


「・・・アリシアじゃないのか?

 なら、誰にその募集の護衛騎士をつけるつもりだよ?」


 俺か?とおどけるカイトを、じっと見つめてからキースは軽く首を振った。


「・・・・・・それは採用決定後に伝えることだ」


 暫くの沈黙の後に、キースは再び書類に向き合い始め、さっさとその急募の紙を仕上げてしまった。




<急募>幼馴染の護衛騎士を募集 (担当 近衛騎士団所属 キース・レイナード)


 要項 幼馴染の護衛騎士を募集します


 条件 どんなことでも最後までやり遂げられる自信のある者

    魔剣騎士が好ましいが、上記を満たすのであれば、騎士種は不問


 給料 近衛騎士と同じ料金段階


 特筆 とにかく心が強く、折れない自信がある騎士を募集します

 



 出来上がった書類を見ながら、薄すぎる望みだと分っていながらキースは満足感を得た。この給料とキースの肩書きがあれば、おそらく数人は連絡をしてくるだろう。


 ただ、勤め先がこの国の双子の皇子皇女と知れれば、一人残らず逃げていくだろうが。




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