頼もしい後輩
暫く更新できなくてすみません。
あの試合から一ヶ月が経った。
八月の半ば… 蝉時雨が注ぐグランドに僕はいた。
もう、後輩が秋の大会に向かって、声を張り上げて、頑張って練習していた。
今日、何故か、石井に呼びつけられたのだ。
けど、呼びつけた当の本人はグランドにはグランドにいない…
「おい 呼びつけて、遅刻かよ」
グランドの脇の木陰に下に座って、野球部の練習を見た。
軽快な金属音が聞こえる…後輩たちが、打撃練習をしているようだ。
また、「キン」と軽快な金属音が聞こえる。
ナイスバッティング…打たれたボールは高々と上がり、グランドのネットに直撃した。
「頼もしい後輩だな?」
後ろから声が聞こえた。
「悪い…遅刻した」
石井だった。
「おいおい 呼びつけて遅刻かよ」
「いいだろ…お前、試合負けてから、ずっと顔合わせてくれなかったしな…」
「ああ…そうだったのか?」
「そうだ。 引きこもってしまったかと思ったよ…試合で負けてしまったショックでよ」
「それはないな…で、なんで呼びつけたんだよ?」
「後輩の練習に付き合うのさ? 勿論、クラブは持ってきたよな?」
「おいおい。うち等は引退した身だぜ? キャッチボール程度かと思ったよ。」
「引退したエースの球を打ってみたいと言うからね 向うが…」
また、軽快な金属音が聞こえた。
「頼もしい後輩だな…」
「ああ…」
僕はクラブを拾い、立ち上がった。
「本当に頼もしいよ」