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kill point  作者: ryuten
5/6

ランキング

あの誓いからどれほど月日が過ぎただろう。


晴人はそう思った。もう一週間は人を殺さず逃げ回る日々を繰り返していた。生き残るとは言ったものの、全く行動に移せず気づいたら、残りのポイントは半分以下だった…


そんな自分を情けないと思いながら、着々と迫って来る死の恐怖が晴人を襲う。


ポケットからスマートフォンを取り出し時刻を確認する。23時17分。


(今日も何も出来なかった…)


この後悔を何回、経験しただろう。自分の残りポイントを見たら7ポイントしかなかった。そして、もうすぐでその数字は6になる…


人を殺せ。簡単に言われても自分には出来ないと思う自分と、やらなくてはいけないと促す自分が心の中で葛藤している。


この数日間、晴人は考え続けていた。人を殺す事は罪なのか…


しかし、自分で考えて、考えて、考えても答えなど出ず、ただ人を殺す行為を自分で正当化したいだけだったと思っていた。


ポケットからアラーム音が聞こえ我にかえる。日付が変更したら鳴るように設定していたのだ。


晴人はスマートフォンを取り出し、アラーム音を止める。その時、メールが1件届いた事に気づく。


スマートフォンをタップし未読メール開く。件名にはランキング発表と書かれていた。


(これは…ルールに書いてあったあれか!)


月の終わりにポイントランキングを発表します。


その文章が頭に浮かび、すぐさま未読メールを読む。その内容は、ずらりと被験者名と獲得ポイントが記載されていた。


晴人はその数字に驚く。上位層は軽々と50ポイントを越えていた…


下にスクロールし続けてもポイントは自分の倍以上の数字が並んでいる。


焦り。晴人は自分の名前がいっこうに出てこない事に対して焦っていた。額からは汗が吹き出し、スマートフォンを握る手は手汗で濡れていた。


ようやく自分の名前を見つけるがその名前は最下位層にいた。


思ってもいなかったのだ。他の被験者が簡単に人を殺すことを。そして、思い込んでいた。自分と同じように人など殺せないと。


劣等感が晴人を襲い、全身の生存本能が無意識に晴人の体を動かす。長い間、しまっていたサバイバルナイフを取り出し、呟いた。


「誰か殺さないと…」


もう迷いなどは無かった。3ポイント払い、自分と同じように一人も殺しておらず、弱そうな感じの奴を選び個人情報を購入する。


「こいつだ」


敵の位置を確認して、電車に飛び乗る。一連の動作はとてつもなく早かった。そして、電車の中でまた彼は呟いていた。


「殺さないと…」


そんな晴人の口元は何故か笑っていた。







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