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kill point  作者: ryuten
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チュートリアル

気がついたら晴人は再び目覚めていた。


起き上がると今度はベッドの上に何故か寝ていた。それはさっきと同じく知らない場所だった。


晴人は辺りを見るとそこは生活感がある部屋だった。自分に何が起きたのか思い出せない。寝起きのぼんやりとした意識の中、過去の記憶を呼び起こそうと必死に思い出す。


が、思い出せない。晴人はいらだちのあまり頭をグシャグシャ掻き回した。


(夢だ…、寝よう…、寝ればまたあの日常に戻れる)


そう心に言い聞かせ晴人はベッドに寝ようとする。ベッドに横になったその時、首に何が当たる感触がした。晴人は違和感を感じてすぐさま手で首を触る。


その感触は一度触ったことのあるような、思い出したくなかったものを思い出したような、そんな感触が指先から心にまで伝わってきた。


そして、脳裏にあの光景、あの黒く焦げた物体が広がってきた。


(そうだ…そうだ!俺はあの時、あの部屋で…俺は…!)


ぼんやりとだんだん、晴人は過去を思い出していく。その時、近くで電話の着信音のような音が鳴った。その音の先にはスマートフォンが机の上で振動していた。


晴人は反射的にスマートフォンを手にとって電話に出ていた。


「起きましたか」


澄んだ女性の声が電話越しに聞こえた。


「誰だよお前…つか一体どうなってんだよ!答えろよ!」


晴人は苛立ちのあまり声をあらげた。すると、その女性は冷静に話を始める。


「まず最初に私達はこの実験のスタッフで、柴崎様はルール説明の時に気絶されたのです」


「気絶?」


そう言われ晴人はあの時、意識が途切れたのを思い出す。


「なので私達は柴崎様をホテルの部屋に運んで休んでいてもらっていたのです」


「状況は分かった……でもあの木島とかいう男が言っていた殺し合いとかって何なんだよ!」


「それについてはメールを送信したのでご確認ください」


そう言うと女性は通話を切った。


「あっ、おい!切んな!………くそっ!」


晴人はベッドにスマートフォンを投げるとその場に座り込んだ。晴人は冷静に頭を整理しようとする。


(落ち着け…とりあえずそのメールを確認しないと…)


投げつけたスマートフォンを広い上げ起動させる。スマートフォンの中身はいたって普通で、晴人はロックを解除する。


晴人はメール通知を見ると未読メールが一件あった。すぐさまメールを開くとそこには実験についての説明がびっしり書いてあった。


その内容を簡単にすると以下のような事が記載されていた。


1、この実験について

・この実験は殺し合いです


・この実験を降りたり中断したりは運営の許可がないと出来ません


2、ポイント制度について

・この実験は殺し合いでありポイントを奪い合うものでもあります


・ポイントは最初に15ポイント支給され、ポイントを貯めるには他人を殺害する必要があります


・ポイントは毎日1ポイント減ります。所持ポイントが0になった場合、首輪が爆発し死亡します


・他人を殺害してポイントを自分が得た場合、得られるポイントは殺された人が所持していた全てのポイントです


・月の終わりにポイントランキングを発表します


・1ポイント支払う事でランダムで他の参加者の情報が得られ、3ポイント支払う事で特定人物の情報が得られます


・このスマートフォンには特定のアプリがインストールされています。そのアプリは自分のポイントや便利なツールが入っております。是非活用してください


3、殺しについて

・殺し方は自由です


・他人を殺した場合、証拠として写真を撮影し運営に送ってください。確認が取れた場合、ポイントを支給します


・一人一つの武器をランダムで支給します。また他人の武器は使用可能です


・弾薬や使い古しの武器は補充出来ますが、その武器を所持している人のみが補充出来ます


・実験に関係ない一般人を殺害した場合どんな理由があろうとも失格とし首輪を爆発させます


・人の力をそれぞれ平等にするために体の部位に手術がされています。その手術はそれぞれランダムで行われています。どの部位に手術をされているかはその人自身にしか分かりません


・実験範囲は東京都、全域です。他の県や府を出た場合、失格とし首輪を爆発させます。


4、最後に

・運営の命令は絶対です、必ず従ってください。




そして、説明の下には「柴崎 晴人様は目を手術しました」と書かれていた。


晴人はメールを読み終わった後、宙を見上げ黙りこんだ。その心は絶望と不安が一緒になって広がっていく。


(とりあえず…ここから出よう。他の被験者がここにいるかもしれない…)


そう思い、急いで晴人はドアノブに手をかけた。






























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