起床
目が開く。
晴人は体にだるさを感じながら起き上がり辺りを見る。
「どこだ、ここ?」
辺りには人はおらず自分だけが部屋にいて晴人自身、この部屋には見覚えがなくただ呆然と座り込んでいた。
「誰かいないのか?」
数分後、状況を理解した晴人は人を見つけようと部屋を出て歩き出した。すると、数歩歩くと人の声らしきものが聞こえてきた。晴人は手掛かりを見つけようと迷う事なく声のする方へと走り出す。
「あそこだ」
数秒後、視界に扉が見えてきた。扉の中からはさっきよりも鮮明に、より多くの声が聞こえてきた。
晴人は緊張気味に扉に手をつけると慎重に開けた。扉の間から漏れる光がまぶしく目をつぶってしまう。
まぶたを開けるとそこには老若男女問わず中にいた様々な人が晴人を見つめていた。
「あっ、あの別に怪しい者ではなくてその…、なんでここにいるのか知りたいと…」
晴人は注目されてしまい自分の素性を必死に説明しようとする。その時、目の前のモニター画面から男が現れた。
「ようやく揃いましたか」
人々は視線を晴人からモニターへと移す。そして晴人もまたモニター内の男に目をやる。
「皆様どうも。私、木島と申します。今回、集まってもらったのは皆様に協力していただきたい事があるのです」
木島と名乗るその男に対し人々は困惑した雰囲気となり、場がざわつく。しかし、木島はそんな事は気にもせず強引に説明を続けていく。
「まずは皆様にして欲しいことを率直に言います」
「殺し合いです」
木島はそう笑顔で言った。沈黙。理解が追い付かない人々は黙りこんでしまう。
「ドッキリだろ」
沈黙の中、部屋の端にいた男が笑いながら呟く。するとさっきまで静かだった人々はそれに便乗するかのように、緊張が和らいだのか周りの人と喋り始める。
(なんだよこのドッキリ…)
晴人自身も木島が話した事は信じておらず下手くそ過ぎる演出だと思って笑っていた。
次の瞬間、部屋の端から爆発が起きる。
晴人は爆発音に驚き体を震わせた。晴人だけではなく他の人々も驚き、爆発と同時に声を上げる者もいた。そして爆発した場を見るとそこには…
人かも分からない黒く焼け焦げた物体が壁に寄りかかっていた。
「あーあ、皆様が私の話を純粋に信じてくれれば殺さずにすんだのに」
木島がさらに説明を続けていく。
「今のは皆様に配布した首輪を爆発させました」
(首輪?爆発させた?)
訳が分からない晴人は手で首を触って確かめる。その指先には人の肌とは思えない何が感触として伝わってきた。
晴人は何も感じられなくなっていた。モニターの木島が何かを話しているが耳に入ってこない。視界がだんだんとぼんやりする。
そして晴人の意識はそこで途切れた…。