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年賀状  作者: ハイ様
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毎年、実家でTVと一緒に年越しのカウントダウンをして、

歳が明けたら家族みんなで神社に初詣に行くのが、元旦の常である。

家から歩いて5分くらいのところの林の中にある神社で、

真夜中とは思えないほど人があふれていて、

近所の友達ともよく出会う。


林の中では月光はさえぎられて真っ暗になっており、

動物の気配なんて全くしないほど静かなんだけど、

神社までの道は提灯で明るく照らされて、

人もたくさんいて賑やか。


その道を俺は今走っている。

元旦なのに提灯もなく、人も一人もいない。

石畳がとても冷たく光を反射している。

そして、家へ全力で走る理由は林の中にあった。


真っ暗な林の中に、

ぽつんと2つの赤い光がきれいに横に並んでいた。

不思議に思って、林に入ろうとカサリッと掻き分けた瞬間、

その2つの光はこちらを見たような気がした。

そして、まるで星空とも思えるほどの赤い光が現れた。


さきほどまで、あれほど賑わっていた人々は、

泡がはじけたのかのように消え去り、

提灯は闇と化してしまった。


この不思議な状況に、

思考はおろか心臓まで止まっているのではないかというほど立ちすくんでいた俺だったか、

いきなり足が動いた。

家に向かって走り出したのだ。

本能があれは危ないと騒ぎ立てる。

暗い夜道は長く感じる。

それを痛感しながら走る。とにかく走る。


後ろから大量の何かが追いかけてくる音がだんだん聞こえてくる。

絶対に後ろをいけない気がする。

なぜだかわからないが第六感がそういってるのだ。


泣きたくなってきた。目をつぶって現実を見たくなくなった。

そうしたら助かるのではないかと切望した。それでも走った。

逃げ切るために、助かるために。


うっすら出かけた涙を拭おうとした瞬間、、、こけた。

視界の下部が見えにくくなっていたのだ。


全力で走っていたのに、受身もまともに取れなかったため、

少し転がり、林の間から空を見上げる形で止まった。

そこには月がなく、星もなく、ただ暗闇だけが広がっていた。

その空が落ちてきたように見えたので、

とっさに目をつぶり、丸くなって頭を守った。

落ちてきたのは空ではなく、何かにのまれて流された。


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