4・倒れた
「はぁ・・・・・・綺麗だなぁ・・・・・・これがカップルなら少しはロマンチックなのに・・・・・・。」
奈々香はチラリと壹也を見ると、また光った空に驚いて壹也は情けない声を上げた。
「うぉっ!ち、近くねぇか!?やけにっ!」
「・・・・・・相手が情けなさすぎる・・・・・・男女真逆ならかっこいいのに・・・・・・。」
奈々香がため息を吐き、ついにプチリときた壹也は少し自虐的なことを言った。
「お前さぁ、俺の事何とも思ってないわりにそーゆー発言、どうかと思うよ。まあ、俺も特にお前のことなんか気にしてないけどな。」
奈々香は少しうつむいてから言った。
「何とも思ってないわけじゃないよ・・・・・・壹也は、私にとって・・・・・・大切な・・・・・・。」
そこまで言って止まる奈々香に戸惑う壹也。
思わず胸が高鳴り、息が浅くなる。
「え・・・・・・?」
「・・・・・・なんだろう・・・・・・弟・・・・・・見たいな、家族・・・・・・みたいな・・・・・・そう、大切な存在なの。」
奈々香はニコリと笑う。
そんな奈々香に「何とも思ってない」と言ったあげく、追い返すこともできず、笑いかけられて、怒ることも、悲しむこともできずに固まった。
「・・・・・・弟・・・・・・ね。」
むなしく空中に発された言葉は泡のように消えていく。
光と音が同時なのを感じながら壹也は身震いをした。
「それより、いきなりパソコン、ショートしちゃったんじゃない?大丈夫なの?」
奈々香はパソコンに触れた。
「ああ、それは・・・・・・プログラムの設定ですでにショートしてたからな・・・・・・。」
「へぇ、こんなにちっちゃいのに・・・・・・そんな重いの・・・・・・っ!」
奈々香がナナカに触れた瞬間、雷が落ちて奈々香は倒れこんでしまった。
「えっ・・・・・・?ちょ、ウソだろ・・・・・・奈々香?奈々香!」
慌てて少女に触れるが、痛くて触れない。
「・・・・・・何?静電気?」
壹也の頭は錯乱してうまくまわってくれない。
だから感電したということさえ、うまく情報処理が出来なくて静電気?などと間抜けなことを口走っていた。
わかったのはただ、“このまま放っておくのはヤバイ”という危険察知だけ。
でも電化製品は停電を起こして、使い物にならない。
少年は部屋を跳びだし、雨の中を走った。
多分パートを済ませたおばさんならいるだろうと壹也の思考は働いたのだ。
怖い雷も、近い音も、眩しい光さえも気にせず、ただ少女が危ない!その一心で走った。
奈々香の家は壹也の家と近いからすぐにたどり着き、扉を勢い良く叩く。
ただただ必死に無我夢中になって、いてくれ、いてくれ、と願いながら。
「はい・・・・・・。」
疲れ切った顔のおばさんが壹也を出迎えてくれたが、壹也の姿を見てギョッとしてから、「どうしたの?」と言ってくれた。
どうやら“普通”じゃないことだけは理解してくれたらしい。
部屋は外より暗い。
どうやらここらの地域一帯がこんな感じらしい。
「な・・・・・・なか・・・・・・奈々香がっ・・・・・・俺の・・・・・・俺のっ!部屋で・・・・・・倒れてっ!」




