1・ナナカ
ロボットであるということ、それは環境さえ整えば永遠の命を約束され、感情を持たずに常に最善策への最短ルートを辿るということ。
だから理解できない。
悲しい、痛い、苦しい、辛い、嬉しい、楽しい・・・・・・感情すべて。
人間のすべて。
理解できない。
理解できたらこの機械はエラーを起こし、ショートして使い物にならなくなるだろう。
機械は常に知っている、正しい事、その正しいがゆえの最短ルートも。
でもその思考に人間は付いていけない。
だから理解できない。
機械は人間を・・・・・・その機械を生み出した人間でさえも機械を・・・・・・。
信じる信じない、それは関係ない。
ココにあるのはただ、心を持たない小さな人形とそれを作りだした人間がいるのみ。
最初は簡単な作業しかできない、ただ物事を単純に繰り返す機械だった。
それがいつか、何かを判断するようになり、自分で何をするのかを探せるロボットができた。
体はやがて人間らしくなり、ロボットはパソコンよりも膨大なプログラムを持つものとなった。
プシュゥゥウウ・・・・・・。
「あー・・・・・・チクショウ・・・・・・またかよ・・・・・・。」
今まで何度も言ったその台詞をまた半分あきらめているような声を上げて頭を抱え込む少年の前にあるのは少年によって作られたロボットに繋がっているショートを起こし、壊れかけているパソコン一台。
「イチヤ 言ウ アレ パソコン ダメ。」
小さなロボットが言わんとしている事はそのパソコンは自分よりギガバイトも容量もすべて小さく、自分をプログラムするためにつなぐにはエラーやショートを起こしやすい、ということだ。
イチヤとロボットに呼ばれた少年はもう青年のうっすらひげを生やした顔を上げ、ロボットに言った。
「・・・・・・うるさいな、わかってるよ・・・・・・でもこれでナナカをプログラミングしてきたんだぞ?このパソコンはいわば、ナナカの心臓なんだ。今更諦められるか!・・・・・・それにナナカはまだ現在進行形と過去形の区別がわかってないし、アレやコレやソレ、ドレ?くらいわかるようにしようと思ったんだよ。」
「イチヤ 理解不能。」
ロボットの声は女の声で、その声にはまだトーク用のロボットとしては感情がなく、平坦で未完成すぎるくらい未完成なモノだったが、イチヤという少年は特にそれを気にせずにロボットに突っ込んだ。
その突っ込みはナナカというロボットに理解できないと知っていても。
「俺が理解不能なんじゃなくて俺の言っていることが・・・・・・な?」
するとかすかにコンコンと扉が叩かれる音がしてイチヤは立ち上がり扉の方へと向かった。
最初が短くてごめんなさい。
次回からはできるだけ長くなるようにがんばります。