表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美少女発掘! 異世界ED治療の旅!  作者: 越智 翔
第一章「純潔の守護者」
5/8

第五話

「い、いや。だってお前、《千里眼》、使えるんだろ?」

「はい」

「それと《瞬間移動》も使えるよな? だったら何でだよ?」


 レイには《探知》がある。これで目的の物を探して、その場所を《千里眼》で特定。そこへ《瞬間移動》。完璧なコンボじゃないか。俺にしては珍しく、知恵を絞って考えたんだぞ。


「まず……ご主人様、基本的に《瞬間移動》は、直接肉眼で見える範囲を除くと、ポータルからポータルにしか、行使できません」

「は?」

「つまり、中継地点ですね。ただ、私は《千里眼》を使用できますので……視認できるポータルには《瞬間移動》できます。それにポータルからであれば、一定の範囲内であれば、やはり《瞬間移動》できますが」

「ビックリさせんな。じゃ、同じことだろ。さっさとそのポータルとやらに飛んで、そっからまた、砂漠の外に飛べよ」


 だが、レイは真面目な表情で首を振った。


「いくつか問題があります。まず、私の《水属性魔法》のレベルが3しかありません。これですと、《探知》や《千里眼》が機能するのは、せいぜい半径二千キロメートル程度しかありません。《風属性魔法》も3レベルですから、《瞬間移動》の距離もその程度です。だから、いきなり世界のどこにでも行けるわけではありません」

「お、おう?」


 一度の飛距離に制限があるってことか?

 それだけじゃないな。「世界で一番きれいな女の子を探知せよ」と命令しても、探せるのは範囲内のみとなる。うぜっ。面倒っ。


「更に、《瞬間移動》にはクールタイムがあります。一度使用すると、最低一時間は待たなければ再使用できません」

「な、なんだとぉ?」


 じゃ、ポータルってとこで、のんびり待ちながら移動するしかねぇってか。まぁ、時速二千キロって考えれば、旅客機よりは速いんだが。


「そして、これが最大の問題なのですが……」


 沈んだ表情で、レイが重々しく口を開く。


「……使用可能なポータルが、著しく減少しています」

「はぁっ!?」

「一万二千年前であれば、だいたい百キロ四方に一つはポータルがありました。半径二千キロなら、範囲内に一千箇所以上はポータルがあるはずなのですが……」


 おいおい。じゃ、もう肉眼で見える範囲でワープするしかないってか?

 瞬間移動っつっても、直接肉眼で飛べる範囲ってなると……ここが地球と同じ規模の惑星だったとしたら。ええと、アレだな、惑星を円、視線をその接線として考えるとだいたい……おおよそ四キロくらいだったっけ? 全然使えねぇな。あー、ダメだ、頭パンクしそう。


「設備の反応があったのが、おおよそ三十箇所。ですが、大半は地中深く埋もれているとか、水没しているなどで、利用に適しません。辛うじて《瞬間移動》できる地点が、ここからですと、たったの四箇所」

「マジか」


 いや。

 前向きに考えよう。

 つまり、それでも一応、ここから脱出できるのだ。長い長い砂漠の旅をしなくても。


「……その中で、砂漠の外に近い場所にあるのは、一箇所だけです」

「マジィッ!?」


 やっべぇ。それがもし故障してたら、俺達、この砂漠から出られないところだったんじゃねぇか。

 ヤールの馬鹿野郎。何考えてんだ。レイがいなかったら、いても俺が能力の設定をしくじったら、確実にお陀仏じゃねぇか。たまたま生き残ってるポータルがあったから脱出できそうだが、そうじゃなかったら……ん?

 でも、ここまで来るのに、あいつはポータルなんか、使わなかったよな? いや、ここに来る前の、あのガラスの通路がそうなのか? よくわかんねぇ。


「そのポータルも、砂漠の中。ですから、いきなり移動しようと言われましても」

「あー、わかったわかった。じゃ、さっさとここを出るか」

「いえ、やめましょう」

「なんでだよっ」


 レイは、チラッと岩窟の出口を振り返るようにして、続きを言った。


「ここはまだ、日差しが入ってこないから、そこまで暑くもありませんが、外気温はどう見ても四十度以上。砂漠のど真ん中ですから。私はともかく、ご主人様をこんな中、歩かせたら、死んでもおかしくありません」

「んー、なんとかなるだろ?」

「なりませんよ。ご主人様が死んだら、私も自動的に機能停止……つまり死ぬんですから。無茶はできません」


 そんな鬼畜仕様とは。

 でも、俺はさっさと過ごしやすい場所に行きたいんだがなー。


「さっきみたいにお前が氷でも出せばいいだろ?」

「ここは砂漠の中心です。あの手の魔法は、使えなくはありませんが、効率はよくありません」

「じゃ、どうにもならねぇのかよ」


 チッ。使えねぇ。


「もし《火属性魔法》の《防熱》でも習得していれば、なんとかなったかもしれませんが」

「じゃ、それ、覚えればいいだろ」


 俺の言い草に、レイはこめかみを押さえながら溜息をついた。


「能力決定後のポイントの振り直しはできませんよ」

「かーっ、使えねぇ、ポンコツだな」

「ご主人様」


 低い声でレイが言う。


「あんまりポンコツ、ポンコツって言うのはやめていただけますか。地味に傷つきます」

「お? おう」


 でも、これからどうすんだ。外には出られない。ということは。


「じゃあ、あれだな」


 俺はその場に腰を下ろして、リラックスモードに移行する。


「つまり、ここで二人きりで過ごすしかないわけだ」

「う」


 俺は下から、レイの体に視線を這わせる。

 言いつけをちゃんと守ったらしい。なかなかにいい感じの格好じゃないか。


 全般的に白さが目立つ。下半身は、長めのパレオみたいなのが足を覆っているが、少し激しく動いたら、中の下着も見えそうだ。

 見た目だけを考えれば、靴はハイヒールにしたかった。しかし、長距離を歩くことも考えると、普通のブーツを履いているのも仕方ない。

 いただけないのは上半身だ。胸を覆う形で、俺のと同じような白い革の鎧っぽいのをつけている。これじゃあ揉めないじゃないか。


「ああ、なんか眠くなってきたなぁ」


 わざとらしく、声をあげる。


「じゃ、じゃあ、枕でも作って出しましょうか」

「んー、それよりぃ、膝枕がいいかなぁ」

「えーっ……は、はいぃ」


 俺の要求に、仕方なくレイはしゃがみこむ。


「さ、苦しゅうない。我の頭を優しく包み込むのだ」

「は、はぁ」


 うん。やーらかいふとももの感触。

 悪かった。さっきはポンコツだなんて言って。これは極上だ。


「しかし、そうなると、どうしたもんかね?」


 状況は厳しい。ここは砂漠の中。しかも、かなり広大らしい。そこから出られるという唯一のポータルも、やっぱり砂漠の中という。

 ここも暑いが、外はもっと暑い。恐らく三十分と歩けまい。単純に気温だけでは、砂漠の危険度は測れない。強烈な日差しが、あっという間に遭難者を蒸し焼きにしてしまう。……というより、俺がつらい思いをしたくないだけなのだが。


「日没を待ちましょう」


 さっきまでの気の抜けた声ではなく、落ち着きのある口調で、レイはそう答えた。


「この地点の推定最高気温は最高四十五度前後。ですが、明け方には氷点下を下回るでしょう。長く留まるべきではありません」

「マジ!?」

「はい。ですから今夜、日没後に気温が下がり始める前に、目標のポータルまで飛びます。そこから《飛行》の魔法を使って、安全な場所まで移動しましょう」

「そういや、そんなのもあったっけな」


 うん、心配しなくてもよさそうだ。

 しかし、今は動けない。動けないなら、今できることをやっておくべきだと思う。


「ちょ、ちょっ……」

「うーん、心地いいのは、ここかなぁ、それともここ……」


 俺は膝枕の上でうつ伏せになった。それでレイはビクッと体を震わせ、逃げ腰になる。それを俺の両腕がガッチリホールド。そのまま、ふとももの狭間が織り成す神秘の領域へと沈み込んでいく。


「わっ、まっ、何をっ」

「幸せを探してるんだ」

「そんなところにはありませんっ」

「調べてみなきゃわからんだろう」


 ああ、いい。

 俺はもしかしたら、今までの人生で一番の幸せを味わっているのかもしれない。

 だってそうだ。地球の日本で、普通の女の子にこういうことをしようとしたら。たとえ付き合ってる彼女だとしても、嫌がられたらおしまいだ。しかし、レイは俺の下僕らしい。下僕なら、何をされても我慢するしかないのだ。


「やはり女性下着は白が基本だな」

「みっ、見ないでっ」

「こんなスケスケの格好をしておいて、よく言う」

「それはご主人様がっ」

「白。純潔の象徴。神秘の領域を覆い隠す迷宮の霧。それはいわば愛の成就を妨げる最後の守り人。ゆえに汝に『純潔の守護者』の称号を授けよう」

「なんですか、それっ」


 たった一枚の布。だが、それが此岸と彼岸とを分かつ。厭離穢土、欣求浄土。波羅蜜多、波羅蜜多。

 だというのに、レイは俺のこれ以上の立ち入りを許さないとばかり、肩をがっちり掴んで離さない。ちょっと布越しに頬擦りしたいだけなのに。それでは俺の息子が解脱できまいに。


「レイさんや」

「なんですかっ」

「どうして邪魔をするんじゃあ」

「どうしてもこうしてもありませんっ」


 チラッと頭上を見上げると、レイは耳たぶまで真っ赤だった。必死である。


「人間、誰しも、素晴らしいところに身を置きたいと思うのは、当然の欲求だろう?」

「何がどう素晴らしいんですか」

「わからない……? この神々しさが。こここそ楽園、こここそ天国。万人の求める理想郷」

「わけがわかりません」


 だが、俺が宣言した。


「決めた! ボク、ここに住む!」

「ひっ……いやぁぁ!」


 その叫びと同時に、レイは俺の拘束をするりと抜けると、俺の肩に蹴りを見舞って後ずさった。


「いてて……ご主人様を蹴るとは」

「いやあ! 来ないで! ……《物体作成》」


 壁を背にしてお姉さん座りしたレイが、片腕を突き出す。そこに光の粒が集まり、あっというまに銀色に輝く杖が出現した。


「ぶ、打ちますよ! 本当に!」

「ほう、ご主人様にそんな暴力を」

「死なない程度に、い、痛めつけるんですから!」


 やはり必死である。


「まぁまぁ、落ち着け。何がそんなに恥ずかしいんだ? もしかして、生理中か?」

「ありません! ホムンクルスなんですから!」

「じゃあ、パンツにシミでも」

「だからないって言ってます! 代謝がないんですから!」

「なら問題ないだろ」

「あります!」


 代謝がないと言った割には、肩で息をしながら、レイが喚きたてる。


「ご主人様は、デリカシーがなさすぎます! へ、変態です!」

「ぐっ……自覚は、まぁ、あるがな」


 涙目でこちらを睨みつつ、レイはなおも続ける。


「……どうせ命令するんでしょう? そうしたら、逆らえませんから」

「ん? でも、無理やり迫ってもいいけどな」

「できません」

「なんで?」


 するとレイは、俺をキッと見据えて言った。


「さっきの《鑑定》結果です。ご主人様の身体能力はレベル1.9相当、知的能力は1.6相当、魔力に至ってはゼロです。命令しないで私を押さえ込めるわけないじゃないですか」

「は!?」


 ウソだろ?

 ヤール、俺が世界最強って話はどうなった?


「じゃ、じゃあ、お前は……?」

「身体能力3レベル、知的能力4レベル、魔力3レベル相当です。正直、ご主人様が百人いても、負けません」

「マジかっ!」


 ん?

 でも、待てよ?


「……でも、さっき俺に逆らったってことは」

「なんですか」

「お前は『命令されなくても、膝枕をした』んだよな」

「ひぐっ」


 この野郎。俺の、特に知的能力をけなしやがって。お返しに、からかってやる。


「レイさ~ん、どうしてあんなこと、したんですかー」

「だって、だって」


 あ、涙声がまじってきた。既に限界だったか。ヤバい、決壊するぞ。

 だが、遅かった。レイは杖を取り落として、その場でおんおん泣き始めてしまった。


「うわぁああぁん!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >レイには《探知》がある。これで目的の物を探して、その場所を《千里眼》で特定。そこへ《瞬間移動》。 アーウィンじゃねえかwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ