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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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迷子は治りそうにない

「ファフナーの話はここまでにして、そろそろ迷宮に行くか?」


「そうだね。ソウヤの準備が出来ているなら行こうよ」


「なら行くか。怪我しない程度に気楽に行こうぜ!作戦は昨日と同じで」


「あれを作戦と言うには無理があるんじゃない?まあ、あれが一番強い戦い方だから、作戦かな」


 一切頭を使っていない戦い方ではあるのは間違いない。それでも二人の出来る事を詰め込んだ一番いい方法のはずだ。


 俺たちは家を出て、迷宮に向かう。折角覚えたこの道を使うのはもうそんなに回数が残されていないだろう。次来る事があってももう道を忘れているだろうし。そう考えると感慨深いものだな。


 俺が歩いたのはほとんど家から迷宮までの道だからそれ以外の道は全然覚えていないから道を一本外れれば余裕で迷子だ。こういう所が本当に情けない。だからといって治せるわけもなく今にいたる。


 方向音痴って治せないのか?治す方法を考える人が少ないだろうし、実証が難しいから確率されていなさそうだ。


 まず俺が方向音痴の原因はなんだ?道を覚える気がないからかな。そうではなく俺は周囲の景色を覚えるのが苦手なのかもしれない。たぶん両方だな。覚える気力さえあれば少しはましになる可能性はある。だが、アリナがいてくれるから道を覚える必要がないんだよな。


「アリナがいつか誰かと付き合うと俺と遊ぶ事は難しくなるよな」


「そうなるんじゃないかな」


 そうなったら道を覚えればいいか。今は世界各国を飛び回っているから出会いはそうないし。そうでもないな。意外と本部内での恋愛とかあるかもしれない。本部内恋愛だとアリナは俺のサポーターを辞めるべきか。


 それは迷子以上に困る。書類関係をアリナに任せているからアリナがいないと大変だ。任務の選定とか俺が見なければいけない書類を仕分けたりとかはしているが、アリナがいないと全てに目を通さなければいけない。


 任務の選定はほとんど世界政府の方でしているから、そんなに選択肢がないから大変じゃないし、書類を仕分けるのは判子を見れば簡単に出来る。


「アリナ、いつも書類の整理とかしてくれてありがとう」


「ソウヤはいつも頑張っているからそのくらい任せてよ」


 一応の感謝は伝えておいたが、これで足りる気がしない。アリナに仕事を押し付けすぎないようにしなければ。


「そういえば、一応言っておくけど書類に目を通すのはサポーターの仕事の一つだから」


 サポーターに具体的な仕事内容がある事自体知らなかった。そうならアリナに書類を渡さなければいけない。だとしても、自分で書類に目を通す事が大事だ。アリナに任せっきりにしてはいけない。


「サポーターの仕事は他に何があるんだ?」


「仕事?う~ん、特に無いよ。序列が行動しやすいようにする事ぐらいかな」


「なら、書類に目を通すのが仕事なのは嘘だろ。そんなに気をつかう必要はないぞ」


「嘘じゃないよ。ソウヤも私に気をつかう必要はないからね」


 嘘じゃないって言った時に少しだけ視線を逸らしていたから嘘だろうな。嘘をついた感じの雰囲気を感じ取れたからまず間違いなく嘘だ。


 俺は気をつかったわけじゃなくて、アリナがサポーターを辞めた時に俺が困るから今のうちに仕事を覚えておこうと思っただけだ。それでも、しばらくは辞めなさそうだから今は考えなくてもいいか。


 家から迷宮まではそう遠くないから歩いていたらすぐに着いた。今日でナメクジを討伐出来たらいいな。


「それじゃあ、入るか」


「うん。はい、これ」


「ありがとう」


 ナメクジに埋め込んである発信器を見つけるための魔法具。アリナは俺を浮かせるのにかなりの魔力を使うから今は少しも消費をさせない。という話し合いをしたから当然魔法具は俺が使う。


「俺はあのナメクジは魔力を頼りに生物を襲っている気がするんだ。だから一瞬だけ魔力感知を使えば簡単に見つけられる気がする」


「ソウヤに任せるよ」


 一瞬の魔力感知で見つけられなかったとしてもナメクジは俺の居場所が分かるはず。そしたらきっとナメクジは触手を伸ばしてくるから触手を辿っていけば本体に会える。ナメクジでも一瞬なら俺の居場所を正確には分からないから俺が視認できないほどの速度で触手を伸ばさない読みでの行動だ。


 もしあまりにも速く触手を伸ばした場合は俺は魔力感知を使っていない時に来るわけだから当然死ぬ。魔力感知で見つけられなかった時はかなり危険な賭けになる。それでも試す価値はある。


 実際にはナメクジのだいたいの位置が分かっているから一瞬だろうと見逃さないだろう。とりあえずこの層で試してみよう。魔力感知を魔法具の示す位置めがけて展開してすぐに止める。


 人が三人ぐらいいたが、ナメクジはいなかった。


「下に行こう」


「早いね。道はこっちだよ」


 まだ本道にいるからどっちかに行けば下に行けるがすでにどっちから来たのか定かではない俺にとってアリナの案内は必要不可欠なものだ。アリナについていけば俺が道を間違える事はない。


 それから数度下に行くのを繰り返して、魔力感知を一瞬だけ使うと発信器の示す場所に大きな何かがあった。ナメクジの可能性が高い。あの大きさの魔物は少ないし、形状的にもナメクジのはず。俺たちは走ってナメクジの元に向かう。耳は聞こえない読みで走っているが、聞こえていたらすぐに死ぬだろうな。


 俺の読みが当たっているお陰か、いくら近づいても触手が来る気配はない。そのまま走り続けてナメクジのいる通路の前で立ち止まる。少し通路に頭を出して通路を見ると青白い巨体とうねうねしている大量の触手があった。やはりナメクジがいる。


 俺はアリナに合図を出してスキルを使ってもらう。その間に歩いてナメクジの近くまで行く。ナメクジの後ろについた所で体が浮き始めたので、魔石から刀を取り出す。そして俺の最大のバフ技《式神降霊術:ファフナー》。


 魔石を出すのに使った僅かな魔力で気づいたのか触手がこちらに向かってくるがその頃には俺の体に魔力が満ちている。すぐに魔力を使って空中を移動して触手の生えている根本に行き触手を根本から斬る。この方が再生に使う魔力が多いはずだ。


 俺はすぐに全ての触手を斬って、頭を斬りにかかる。体にある再生を担当する器官よりも脳の方が頭がいいようなので、頭が先だ。俺はナメクジの体の上を通って頭を斬りに向かう。その間に体が少し蠢いた気がした。


 ナメクジの頭を斬るために刀を振りかぶった瞬間にナメクジの背中全体から触手が伸びてくる。俺は刀を振りかぶっていて下から来る触手に対処できずに触手に押され、迷宮の天井に押し付けられた。魔力で何とか触手が突き刺さらないようにガードするのが精一杯で抜け出そうとする余裕は一切ない。


 このままではじり貧だ。どうにかして逃げ出さなくてはいけない。でも、どうすれば。アリナは俺を浮かせるのに手一杯だろうからアリナには頼れない。ナメクジを見つけるために使った魔力感知でこの辺に人がいないのは分かっている。自分で何とかするしかない。


 一旦自分に出来る事を考えよう。全身を押さえつけられていて刀を振る事は出来ない。魔力弾は撃てるが効いている感じはしない。他に出来る事はないのか。


 押さえつけられている状況を打破する方法を思い付いた。それしか方法はない。だが、失敗をすれば魔力が尽きて触手に潰されて死ぬ。


 俺は天井に思いっきり魔力を込める。少しの隙間さえ見逃す事なくそこに魔力を入れていく。まだ魔力が足りない。俺は触手に潰されないようにするための魔力を出来る限り減らして天井に込める量を増やす。


 ミシッ


 この音が鳴った場所に重点的に魔力を込めると俺の体は天井よりも奥に行けた。

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