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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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アリナの起こし方は見つからない

 昨日の夜はアリナとかなり長い事議論した結果、俺の持っている方法以外では傷を付ける事すら不可能だろうとの結論が出た。


 俺は昨日の事を振り返りながらアリナの部屋のドアをノックする。


 コンコンコン


 アリナからの返事が返ってこないので部屋のドアノブを捻って中に入る。


「アリナ、起きろ。朝だぞ」


 正直まだアリナの起こし方が分かっていないから、声をかけながら少し揺らすしかないのだが、これでは起きてくれないのは昨日分かった。


 長い戦いになりそうだ。


 何かいい方法を探すべきだろうか?水をかける訳にはいかないし。とりあえずアリナをお姫様抱っこして一階に連れていく。


 アリナは軽いから運ぶのが楽で助かる。


 アリナを一階のリビングのソファーに寝かせてから、アリナを起こすのを再開する。


「起きてくれ、アリナ」


 アリナの鼻でも摘まめば生命の危機を感じて起きる何て事があり得るのではないだろうか。ただ睡眠状態の人の鼻を摘まんでしまうと、起きてくれなかった時に殺してしまう危険性も存在している。


 俺はそんなリスクがある事は嫌なので鼻を摘まむのは諦めて別の方法を考える。


 やっぱりキスで起きてくれるのが一番簡単で俺的にめちゃくちゃ嬉しい。ただそれを試せる度胸は俺には微塵も存在していないのが悲しいところ。


 アリナを起こそうと試行錯誤していたらある考えが浮かんだ。


 どうせ今日の探索は発信器を頼りに迷宮を進んでナメクジと戦うだけだから、そんなに時間を必要としない。それならアリナが昼頃に起きても問題ないのではないだろうか。


 アリナが起きるまでかなりの時間ができてしまったがアリナの寝顔を見ながらラジオでも聞いてれば最高の時間に様変わり。


 前にギターを買おうか迷った時にギター代をけちって買わなかったのが今になって効いてきていて、ギターがあれば弾き語りでもしながら時間を潰していただろうがラジオを聞くだけになった。


 俺はこの家に備え付けられているラジオをリビングまで持ってきて流し始める。どうせならと思って曲を流している番組にして流れてくる曲を口ずさむ。この三年ぐらいでこっちの有名な曲は抑えたからどの曲が流れてきても歌えるのだ。


 俺はラジオを流して歌いながらリビングを離れる。


 この家なら倉庫にでもギターがありそうな気がするから探してみよう。俺は倉庫を開けて倉庫の中の物を物色していると俺の知らない物が大量に出てきて一日中この倉庫に居られそうな気がするが欲を抑えてギターを探す。


 倉庫では弦楽器が数個見つかったがギターはない。


 この世界にはまだギターを作れる人は転生、転移してきていないのだろうか。ギターを知っているだけではギターの音色の要のあの曲線は作れないからギター職人がこっちに来てくれなければ作れない。


 いつか地球に行く方法が発明されたら地球の俺の家に行ってギターを取りに行こうかな。俺が地球に行く理由が生まれた所でアリナのもとに戻る。


 リビングに戻るとアリナが上半身を起こしていて、光に照らされながら両手を挙げて伸びをしていた。


「おはよう、アリナ」


「おはよう、ソウヤ。今日は早めに起きれたね」


「そうだな。アリナが起きるまでラジオを聞いているつもりだったんだが、ラジオの音で起きたか?」


 俺は流れ続けているラジオの電源を切る。


「ソウヤの歌声で起きた」


 まさか聞かれると思って歌っていなかったから恥ずかしい。


「アリナも歌うか?」


「今度一緒に歌おうね」


「ああ。俺の地元の楽器が手に入ったらよかったんだが、こっちにはないようだ。今度別の楽器でも練習しようかな」


 ギターと弾き方が同じ感じの楽器なら探せば見つかるだろうから、ギターを諦めてそっちの練習をした方が早いだろう。


「ソウヤ楽器弾けるんだね。知らなかった」


「父に教えてもらったんだ。他の楽器はさっぱりだがな」


 リコーダーとか、鍵盤ハーモニカとかは全然吹けなかった。ギターだけは弾きたかったから小学生の頃に結構練習して、何とか弾けるようにした思い出がある。


「それじゃあ、他の楽器が弾けるようになったら一緒に歌おうね」


「そうだな。練習するモチベーションができた。今度好きな歌を教えてくれ」


「好きな歌?考えとく」


 出来れば早めに教えてくれればすぐに楽譜を手に入れて練習が出来るのだが、そんな事をわざわざアリナに言わなくてもわかってくれるだろう。そんな俺的には嬉しい話をしている間に俺の腹がかなり空いてきた。


「朝食と言うには微妙な時間だし、昼食にしては早いな。ブランチとして食べて食べ終わったら迷宮に行くか?」


「それがいいね。今日は私が作るよ」


「交代制にしなくてもいいんだがな。寝起きのアリナに料理をさせるのは気が引ける」


「寝起きでも失敗しないよ。ソウヤにはこれから頑張ってもらうんだから今は休んでいて」


 アリナは相当眠くない限り失敗はしないようだ。俺は言われた通りに休もうとラジオを手にとってソファーに座る。


「ラジオをつけていいか?」


「勿論!」


 俺がラジオをつけると、軽快な曲が流れ始めた。今流れている番組はリクエストされた曲を流すという番組となっている。


『ラジオネーム、永遠の十三歳さんからリクエスト戴きました。リクエストされた曲は『風×雷』。リクエスト理由はこの曲は聞いたら自分の体が軽くなったような気になれるほど、軽快な曲だからです。との事です。それでは聞いていただきましょう』


 知らない曲が流れ始めた。やっぱりリクエストの良いところは今までに聞いた事がない曲も流れる所だろう。


「私、この曲聞いた事ない」


「俺もない」


 リクエスト理由にあったようにかなり軽快な曲になっている。二曲連続軽快な曲が流れたのは普通に番組が順番を間違えた気がしなくもない。別の歌手の同じようなジャンルを連続で流せば人は優劣をつけてしまうだろうから。


「聞いた事はなかったが中々良い曲だったな」


「そうだね。今度CDでも買ってこようか?」


「ああ。そうするか」


 CDと言っても地球にある円盤とは違って魔石だから石のような感じで、ラジカセにセットする所は変わらない。


「と思ったがラジカセを持っていたか?」


「確か本部の部屋には備え付けられていたはずだよ。結構いいやつがね」


「なら買うか」


 数ヵ月あの部屋に住んでいるのに部屋にある物品を全然知らない。あの部屋にいいラジカセがあるなら何か楽器が本部内にあるのでは?今度倉庫を漁りに行こうかな。


「朝食できたよ」


「そうか、いつもありがとう」


「ソウヤも家事してくれるからそんなに苦労してないよ。私の方が感謝するべきだよ。いつもありがとう」


 これで感謝するものなら感謝合戦が始まるから、ここで切っておこう。


 俺はラジオを切りながらソファーから立ち上がってテーブルに向かう。テーブルにはアリナが作ってくれた料理が並べられていくので、俺はフォークとスプーンを取る。


 俺はスプーンとフォークをアリナに渡して席に座った。


「「いただきます」」


「今日の戦いは昨日の通りでいいんだよね?」


「ああ。そうなんだがあのナメクジはどの感覚器官が発達しているか分からない。目が利かなそうで、たぶん耳が利くと思うんだ。だから合図のポーズを決めておきたい」


 音でアリナに合図を出せば気づかれる可能性が高いのに、声を出す合図に決めるわけがない。


「指の形で合図を出すのが一番やり易いと思うんだ。どんな指の形がいいと思う?」


「合図何て決めなくてもソウヤがやってほしいタイミングで出来るけどね」


「念のためだ。合図は…これでいいか?」


 俺は親指と人差し指以外を折った形を提案する。


「それじゃあソウヤがその指の形を作ったら昨日の打ち合わせ通りにするよ」


「ああ、頼む」

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