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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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迷宮で追われる

 確かに魔物にとって魔力が薄い環境は毒だ、しかし…


「怒って出てくるか…だが俺はまだ深層までは行っていない。決まった道を短時間通っただけでそう怒るか?だが、怒って出てきてくれるとありがたい」


「目的の魔物は神出鬼没。何故神出鬼没な移動をするのかというのを考えると特殊な移動をしているからじゃない?そして移動する理由は狩りをするため。狩りをしに行った先で魔物がいなかったら怒ると思うよ」


 なるほど。


 アリナは俺より頭がいい、いや俺が馬鹿すぎるだけか。


 魔物は大気中の魔力だけではなく魂を補食する事で魔力の補充が可能であり、魔力の補食は魔力の補充という効果よりも絶大な効果をもたらす。


 自分の魂の強化、もしくは身体の強化。


 この辺はまだ解明されていないが魂の補食が補食した魔物に何らかの効果を与えるという事は確定らしい。


 強い魔物であれば他の魔物や人間を喰らう事は容易だから大胆に動き回っている可能性は高いな。


「アリナのお陰で考えがまとまった。今日もいつも通りに探索をしよう」


「了解!」


 入り口の近い場所に居ても現れる可能性があるならわざわざ危険を冒して深層に行くよりも、入り口付近で安全に待った方がいいだろうが近すぎると出ない可能性もあるから危険の少ない範囲で動いた方がいいだろう。


 アリナの言う通りに怒ってくれているならば魔力感知でかなりの量の魔力を撒き散らしている俺をすぐに見つけてくれるはずだ。


 探しに行くよりも見つけてもらいに行くという感覚だが見つかるように無駄な行動をして魔力が少ない時に襲われても困る。


 魔力温存で探索しつつ俺が怒らせていない時用に探す事も続けるのだ。


「アリナの推理が正しければ近いうちに会えるはずだ。もし会えた時のために〈混爆(エクスプロージョン)〉の合図でも決めておこう」


「決めなくても合わせられるでしょ」


 それもそうか。


「決めない代わりにアリナ任せになってしまう。アリナの事は信頼しているから構わないからいいんだが、失敗した時にアリナが自分を責めないか心配だ。失敗した時は俺の伝達ミスだ。分かったな」


「分かったよ。私の責任をソウヤのせいにしたくないから何としても成功させるよ」


 頼もしい。


 俺はドアを開けて外に出る。


 作戦会議はこれで終わりだ。


 俺の魔力操作があればアリナの魔力で勝手に〈混爆(エクスプロージョン)〉を使う事が出来るから失敗はありえないがその場合は百パーセントの力を出せない。


 使えばアリナは途中で気づいてアリナは協力してくれるだろうがそれでは間に合わないだろう。


 俺の魔力の流れをアリナがしっかりと見てくれていれば問題はないから考える必要がない話題なんだがな。


 それでも思ってしまう。


 アリナの事は信じられるけど俺はどうなのかと。


 俺はこの質問に即答を出来る自信があるからこそアリナを信じる。


「迷宮はこっちで合ってるよな」


 俺は道の先を指を指しながら聞く。


「今更聞く?何も言っていない時点で合ってるよ。私は方向音痴じゃないからね」


 知らない土地だから仕方ないのだ。


 それに今回はある程度の自信があったからこその確認。


 すでに迷宮には何度か行っているから道はある程度覚えているという自信はあったのだが同じ景色が続いたせいで自信を無くしてしまっただけのこと。


「確認だ。今になって道を間違えるわけがないだろう」


「そういう事にしとくね」


 俺の強がりはすぐにバレてしまった。


 道中に何度かの曲がり道はあったが既に幾度か通った道を間違えるはずもなく、というよりは途中から見えた迷宮の入り口を目印に曲がった結果無事に迷宮に辿り着いた。


「今日はいつもより人が多いな。少し小走りで行こう」


「ソウヤは優しいね」


「ここで面倒事を起こすのが嫌なだけだ」


 迷宮探索に魔法は基本。


 魔法の発動は時間がかかるものもあるため比較的安全且つ魔力が多いため魔法が発動しやすい入り口で魔法の準備をする人は多い。


 そこに俺がいればどうなるだろうか。


 俺が周囲の魔力を吸収してしまい魔法の準備がしづらくなってしまう。


 それで揉め事が起きては面倒だから多くの魔力を吸収してしまわないうちにこの場を離れるというわけだ。


 この前顔も知らない男に魔力感知は魔力使用の効率が悪いと言われてしまったばかりだがこれしかないから使う。


 アリナの言った事が正しいのなら気づいて向こうから来てくれるはずだ。


 そうなれば魔力を多く消費する意味もあるという事になる。


 と思って歩いていたけど一向に魔物は現れない。


「これはまだ怒らせるには足りないという事なのか、またはこの程度で怒らないのかのどっちかだな」


「ソウヤが出ないという読みをしているなら出るはず。ソウヤの逆張りは当たりやすい」


 確かに俺の運が悪いのは認めるが、だからといって逆張りをされるのは嫌だ。


「逆張りってひどいな。俺の事は信用出来ないと?」


「ソウヤは信用出来るよ。でもこういう運任せの事は別じゃん。嘘を吐く気はなくても結果とは別の事が起こる可能性は十分あるからね」


 分からなくもないけど、そういう事とは少し違うというか何というか。


 ほんの少しのずれが存在しているが訂正までする程の大きさにまで広げられる話題ではないので考えるのを止める。


「もう少し進んで引き返そうか。最近アリナの体調が優れないみたいだしな」


「ダメなのは朝だけだから気にしないで」


 そう言われてもアリナの強がりの可能性もあるし。


 普段のアリナの強がりなら容易に見抜けるだろうけどアリナが本気でバレないようにしてきた時も見抜ける自信がない。


 だがここはアリナを信じるべきか。


 もしアリナの体調がまだ悪かったとしたらアリナなら探索に参加するとは思えない。


 アリナなら俺の足手まといにならない事を優先させるはずだから万が一の事を考えて参加しないはず。


 そう信じてもう少し続けよう。


 突然俺の背中に寒気が走った。


 まずいまずいまずい


 俺はアリナを急いでお姫様抱っこしてこの場を離れようと全力で走る。


 後ろを魔力感知で確認しながら走っていると何かが迫っている。


 俺は急いで方向転換して脇道にそれてやり過ごそうとするが追ってきていた。


 結構な回数曲がったはずだからすでに視認できるはずがないのにどうやって追ってきているんだ?


 俺は全力疾走を続けているのにどんどん魔力を使っているので俺の速度は増して角を曲がるのが難しくなってきた。


 十字路では絶対に曲がりきれない。


 実際には出来ない事はないのだがミスをしそうだから止めておく。


 俺はT字路が見えた瞬間に曲がる準備をして右に曲がる事にした。


 だから俺は左に跳んで壁に足を着けてそこから一気に右の道に向かって壁を蹴って右の道に入ろうとしたが、それまでの勢いが良すぎて道に入る前にT字路の突き当たりにぶつかりそうになるが何とか持ちこたえて右に行く。


 一回曲がるのですら辛い。


 この追ってきているやつはいつになったら限界が来るのだろうか?本体にたどり着く必要があるから近くに居てもらわなきゃ困るがそろそろ引き返してもらわなくては困る。


 それともう一つ問題があるとすればアリナだ。


 アリナをお姫様抱っこした状態で全力疾走するのは大変。


 アリナを壁にぶつけないように配慮しなくてはいけないから。


 アリナには何とかして姿勢を変えてもらいたい。


 俺は全力疾走中で喋られる状況にないから無理があるけど察して。


 そう願っているとアリナは俺の首に手を回して、それから俺の腰に足を回して俺にぴったりとくっついた。


 これは走りやすいがラブロマンスの神に文句を言いたい。


 神を見るまでは存在を肯定するつもりはないが愚痴る相手として存在していてくれ。


 アリナにハグされている状況は非常に嬉しいが状況が状況なだけにアリナとハグ出来ている実感が薄すぎる。

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