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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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帰宅してアリナと話す

「ただいま」


「おかえり」


 アリナの声がリビングから聞こえてくる。俺は荷物を置いてからリビングに入った。


「久しぶり」


「まだ別れて数時間しか経っていないよ。でも久しぶり」


 アリナも分かってくれたようだ。俺のアリナに置いてかれたような感じがした悲しさを。


「ご飯にする?お風呂にする?それとも…」


 アリナの顔が一瞬で赤くなった。自分で言っておきながら恥ずかしくなってしまうとは何とも可愛らしい。


「ご飯はもう食べてきた。風呂か、それともの先の何かのどっちかだな」


「お風呂ね」


 もの凄い早口で言っていたからよっぽど恥ずかしいのだろうな。


 アリナがすぐに風呂場に行ってお湯の確認をしに行ったのは顔を隠すためだろう。正直の先が一番嬉しいのだがアリナがあの調子だと当分無理そう。


 俺が告白すれば済む話ではあるのだがそれをする勇気が出ない以上アリナをとやかく言う権利は俺にはないかもしれないがアリナをからかってアリナの可愛い姿を見たい。


「お風呂入れるよ」


「それとも?」


「それともの先はないから忘れて、早くお風呂に入ってきて」


「はい」


 俺は自室に行って着替えを取りに行き風呂に入る。


 あまりアリナをからかい過ぎてしまうとアリナが怒ってしまうから限度はあるのだが限度ぎりぎりを攻めたい。だけどもう『それとも』は賞味期限切れだからアリナが新しくからかえる事を持ってきてくれるのを待つのみ。


 俺が風呂に入らずにいたら『それとも』の賞味期限はもう少しもったんだけど。


 今日は早めに風呂から上がって会えていなかった分アリナと話をするか。俺はそう決めてからすぐに風呂から出てリビングに戻るとアリナはご飯を食べていた。


「お風呂から上がるの早いね」


「ああ。アリナと話をしようと思ってな。アリナは俺を待っていてくれたのか?」


「そんな事ないよ。迷宮探索で疲れたからご飯を作っていなかっただけ」


 そうか、それは申し訳ない事をした。


「俺はアリナの嘘を見抜けない程アリナの事を理解していないと思われているのか?それともわかって入るけど本当の事を言うのは忍びないのか?」


「分かってはいるけどソウヤに気を使わせたくなかったの」


「そういえば何であの時俺を置いて帰ったんだ?」


 あの時のショックは当分忘れられそうにない。


「ソウヤが人と接するいい機会だと思って。あの女の子とは仲良くなれたの?」


「女の子の名前はリリ、リリには妹がいて名前はルルだ。ルルと結構長い時間遊んで話もしたから仲良くなれたんじゃないかな」


「ルルちゃんの年齢は?」


「九か十ぐらいだと思う」


 そう考えると俺は十歳ぐらいの女の子と一緒に部屋から出てきて夜に散歩しベンチでそれなりに会話をして最後は二人で部屋に入るとはかなり犯罪的だな。


「犯罪感がすごいね。ルルちゃんとは結構年の差があるけどリリちゃんとは五歳くらいじゃないかな。大人になったら気にならないくらいの年の差だよ」


 アリナは俺とリリをくっつけようとしているのか?リリは妹思いで料理も出来るいい子だとは思うけど俺はアリナ一筋だから。


「ルルは結構頭がよくてな。俺を利用しようとしてきたほどだ。人の心も読めるらしい」


「時々そういう力を持った人いるよね。それにしてもソウヤを利用しようとするなんて凄いね。ソウヤほどの変わり者を利用する何て」


 俺の事を貶していないか?俺を人には利用できないレベルの変わり者みたいに言ってきたけど。


「確かに俺は少しは変わっているかもしれない。ルルは俺の情を利用しようとしたんだよ」


「ああ、納得。確かにソウヤに情を沸かせるのは難しくなさそうだから利用しやすいかも」


 あれ?俺って案外優しいのか?知らなかった。


「俺って優しいか?」


「すっごく」


「アリナには優しくしている自覚はあるが他の人にも優しいか?」


「優しいよ。周りの人の事をよく気にかけているからね」


 周りの人まで気にかけている自覚はない。それに気にかけていたとしても行動はしていないはず。


 俺にとっては俺が優しいかよりもアリナが俺の事をよく理解してくれているのを嬉しく思う。


「アリナが理解してくれているのがよく分かる」


「私理解出来ている?」


「ああ。俺が周りを気にしているかどうかもそうだし、俺が話を聞いて欲しい時とかそういうのを読み取ってくれる。俺はアリナと一緒にいて楽だし楽しいよ」


 これからもアリナと一緒にいたい。


「それなら良かった。ソウヤが私といる事を苦に感じていなくて良かった」


「苦に感じるわけがないだろ」


 好きな人と一緒にいる事を苦に感じるわけがない。


「アリナは俺といる事が苦に感じないか?」


「感じないよ。そうじゃなきゃサポーターにならないよ。ソウヤと毎日一緒にいれて楽しいよ」


 初めて会ったときからのほとんどの時間を共有している。細かい所まで考えてしまえばほとんどとは言えないかもしれないが、そこはロマンチックに言うために目を瞑ろう。


 話をしている間にアリナは皿を一つあけたので俺はそれを素早く取ってシンクに持っていった。


「ありがとね。一瞬でお皿を持っていかれたのはびっくりしたけど」


 アリナに断られるよりも早く行動しなくてはと思ったからな。俺は次の皿があくの時間を計算してそれに合わせて皿を洗っている。


 アリナに皿を洗わせないために皿を残し続けてはいけないし早く終わらせる事でアリナに止められてもいけない。


「ソウヤ最近過保護じゃない?」


「どのへんが?」


「私にお皿を洗わせないようにしている所とか」


 過保護に値するのか?全然そんなつもりじゃなかったんだけどな。過保護だとしても止める気はない。


 アリナにはいつも助けられているからその恩返しとしてでもあるし、恩返しを抜きにしてもアリナに少しでも楽をして欲しいと思っているから過保護とは違う気がする。


「今まで苦労してきたアリナは今は休んでもいいんだよ」


「ありがとう」


 親に捨てられたとかめちゃくちゃ大変な状況だったろう。それでもバイトしてお金を稼いで贅沢をせずに必要最低限度の物で暮らし生き延びてきたのには相当な苦労があるはずだ。


 俺は話をしながら再びアリナの皿を取って洗い始めるというのをやる。


 アリナはもっと俺に頼ってくれていい。そうしてくれたらアリナは楽を出来るし俺はアリナに頼られて嬉しいというwin-winの関係にいられる。


「ソウヤのお陰でお皿を洗わなくて済んだしお風呂に入ってこようかな。ソウヤも一緒に入る?」


「いいのか?」


「ダメだよ」


 アリナは俺が否定すると思って聞いてきたから敢えて疑問形で返すという風にした。肯定するのはどうかと思ったからな。


「ソウヤは一緒に入りたい?」


 本気の質問だ。どう返すのが一番いいんだろう?俺から赤くなった顔を反らしているアリナに。


「一緒に入れるなら入りたいかも」


「かも?」


「これで完全に肯定するわけにも否定するわけにもいかないだろ」


「ふーーん」


 アリナは若干上機嫌だ。


 完全に肯定してしまうと俺の変態感が強くなってしまうと思っての返しが上手くいったのかもしれない。


「それじゃあ行ってくるね。お風呂に入ってきちゃだめだからね」


「分かっている」


 入っていったらヤバいだろ。俺は変わっているかもしれないが一般常識は身に付けているつもりだ。


 アリナは風呂に行ってしまって暇なのでお風呂に突撃するのではなくソファーに寝転がって暇を潰す。それからアリナが上がってきてアリナと会話をしていると寝なければいけない時間になってきた。


「ソウヤに頼みたい事があるんだけどいいかな?」


「全然構わない」


「そうならお願いするよ。明日も私は起きられないと思うから起こして欲しいの。お願いできる?」


「勿論だ」


 アリナはかなり疲れているようだ。

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