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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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凶兆

俺は昨日の疲れのせいか起きた時間がかなり遅くなっていた。


手元にある時計を見て安心したが、異常に明るい事が気になってよく見たら上下逆だった時は驚いたな。


 俺はベッドから飛び起きて急いで一階のリビングのドアを開けて中に入る。


「寝坊した…」


 返事が返ってこない。アリナがこの時間にリビングにいないのは珍しい。


「アリナ、どこだ?」


 アリナを呼びながら一階を歩き回ってみたがどこからも返事がない。


 俺は魔力感知を展開して家の隅々まで調べあげると、アリナの部屋のベッドの上に人影がある。


 一階からでは遠くて情報が曖昧になってしまうためアリナとは断定できないけど、ほぼ間違いなくアリナだろう。


 俺は二階に行ってアリナの部屋をノックする。


 コンコンコン


 しばらく待っても返事がないので仕方なくドアノブに手をかける。


「アリナ、入るぞ」


 俺はドアノブをゆっくりと捻ってドアを開くとアリナがベッドの上にいた。


 どうやら寝ているようだ。こんなに寝坊するなんて珍しい。


 俺はアリナに近づいて声をかける。


「アリナ、朝だぞ。起きてくれ。朝ご飯はまだ作っていないからまだベッドから出なくていいから起きてくれ」


 反応がない。


 俺はアリナの瞼を触ってみるとアリナの目が動いているようなのでレム睡眠中だから起きてくれてもいいのだがな。


「起きるつもりがないなら一階まで連れていこう」


 俺はアリナをお姫様抱っこして一階まで運ぶ。アリナは起きる事なく一階まで運び終えてアリナをソファーの上にゆっくりと下ろす。


 これでも起きないのか。


 俺はアリナを起こすのを一旦諦めて朝食を作るのに取りかかる。余り時間をかけていられないから時短で料理を作る事にして冷蔵庫を開けた。昨日買っておいた食材を見て作る料理を決めて急いで作り始める。


 アリナがノンレム睡眠に入ってしまったら起きにくくなってしまうし、気持ちよく起きられなくなるだろうからな。


 俺は急いで作り終えてアリナの元に戻る。


 再び瞼を触ってみたがアリナはまだレム睡眠中なので急いで起こし始める。


「アリナ、起きてくれ。もう朝食も作った。起きてなければ悪戯するぞ」


「どんな?」


 アリナは目を瞑ったまま返事をした。


「それはまだ考えていない」


 悪戯する前に起きられてしまったが、起きてくれたからよしとしよう。


「おはよう、アリナ」


「おはよう、ソウヤ」


「朝食作ったから一緒に食べよう」


「私が寝坊したばかりにソウヤに迷惑を。ごめんね」


 そんな事思わなくていいのに。


「どちらか一方が苦労して助けるよりも互いに助け合っていく方が理想の関係だと思うんだ。だから自分だけ苦労しようと思わないでくれ」


「そんな事考えてくれてたんだ。ありがとう。これからが気を付けるよ」


 アリナが意見を改めてくれたなら嬉しい事だがたぶんアリナは俺に頼る気はないのだろうな。アリナは変なところで意地を張ってしまうから仕方がない。


 これからゆっくりと分かって頼ってもらえるようにしていくしか道はないだろう。時間をかけてでもアリナと助けを求めあって互いに助けるために動くという関係を築いていこう。


 俺は朝食の準備を進めながらそう決意を固めた。


 朝食だから量はいらないと思ってそんなに作っていないからすぐに運び終えて席につく。


「「いただきます」」


 俺たちは同時に食べ始めて今日の予定を立てていく。


「体調は戻ったのか?」


「戻ったよ。今日も迷宮探索する?」


「ああ。時間切れにはなりたくないからな。出来る限り早く見つけておきたい」


 神出鬼没の魔物を放置するのは危険だから時間切れにならずにきっちり討伐したいところ。


「ソウヤは優しいね」


「アリナに比べれば全然さ」


 アリナとアーサーの優しさは異常だから、もし俺が他の人と比べて優しいとしても二人には敵わない。


「アーサーの優しさは異常だよね」


 心を読まれたのか優しさの象徴がアーサーなのか。たぶんどっちもだろう。


「アリナも大概だぞ」


 アーサーは勇者の責務みたいなものを感じているから優しいという理由もあると思うから理由もなく優しいアリナの方が異常かもしれない。


 というか最近アリナに心を読まれ過ぎている。隠す必要もない事だけれど何だか恥ずかしいから心を読まれないようにしたい。


 俺は朝ご飯をすぐに食べ終えて皿を洗い始める。皿を洗いながらアリナの動きを観察してアリナの考えを読んでいこうとするが時々分からない。


 アリナみたいに確信を持って話しかける事は俺には出来ないな。


 俺は自分の皿を洗い終わってからアリナが食べ終わるのを待つ。


 アリナは何故か急いで食べている。


「アリナ、ゆっくり食べろよ。俺を待たせる事を申し訳ない何て思わなくていいから」


「心読まれた」


「さっき読まれたからお返しだよ」


 当たっていてよかった。これで外していたら恥ずかしすぎるが今回の行動は読みやすかったから当たる確率は高かっただろう。


 アリナはゆっくりと食べて俺に皿を渡した。俺に皿を渡してからアリナは俺の近くに立って俺が皿を洗っているのを覗いている。


「どうした?」


「ちょっと見ているだけ」


 変わっている。


 たが、俺が皿を洗っている姿を覗いているアリナの姿は何とも可愛らしい。可愛らしさのあまり俺は皿洗いをチラチラとアリナの方を向きながらやっていたため皿洗いを終わらせるのに少し時間がかかった。


「それじゃあ、準備するか」


「うん!」


 俺は自室に行って荷物を回収してくる。


 小さいバッグを一つだけ持ってリビングに戻ってみるとアリナも小さいバッグを持って立っていた。俺のバッグには光の魔石と非常食と水を入れているがアリナも同じようなものだろう。


「それじゃあ、行くか」


「昨日と同じぐらいの距離を歩くの?」


「そうだな。俺の魔力量的にそうなる」


 俺たちは迷宮の入り口まで来たが結構人が多くて中々入れない。


「カップルが来る場所じゃねんだよ」


 どこからかそういう声が聞こえてきた。


 別にデートをしに来ているわけじゃねえんだよ。そもそもカップルじゃないし。


「カップルだって」


「アリナが気になるのはそこなんだな」


「私たちはデートをしに来ている訳じゃないからそっちは気にならないかな。私たちって結構カップルに間違えられるじゃん。そう見えるのかな?」


 確かに結構間違えられる。


「男女が一緒にいればそう見えてしまうのだろうな」


「男女の友情もあるのにね」


 まったくそうだ。男女の友情が無ければ、昔の俺はどういう状況だったんだって話になってしまう。


「ようやく入れそうだ」


「これから多くの人の命を救う任務をしに行こう!」


「ふっ、ははは」


 つい吹き出してしまった。


 さっきの人の発言に対して言っているのだろうが急にそんな事を言うとは思っていなかったから笑ってしまう。


「そんなに面白かった?」


「ああ、面白いよ」


 俺は笑いながら歩いていて迷宮に入った瞬間に何もないところで転んだ。俺は転んで手を付いた瞬間に魔力を足に込めて地面を蹴って前転したからたぶん変人だとは思われたけど転んだとは思われていないだろう。


「どうしたの!?」


「ちょっと転んでしまって。凶兆かな?」


「凶兆だとやだね」


 最初の一歩で転けてしまったなんて先が思いやられる。


「どのくらい悪い事が来るのだろうか?討伐対象が現れないぐらいならいいのだがな」


「それなら昨日と一緒じゃない?凶兆ならもっと悪い事が起きると思う」


「縁起でもない」


「ソウヤから始めた話なのにそんな事言われるの!?」


 アリナは悪くないのだが少しからかいたくなってしまっただけだ。


「すまないすまない」


「別にいいけどびっくりしちゃったよ」


 凶兆が起きようとアリナとなら楽しくやっていける。これなら悪い事が起きたとしても二人でふざけあえば悪い事も気にならないようにできるだろうな

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