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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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迷宮後の休憩

 少し歩いて家まで戻り休む。


 魔力が一番回復しやすい状況は魔力を一切使っていない状況。だけど魔力を使っていない状況というのは実際には存在しない。


 魔力は体の動きと同時に動き体外に出るため、それで空中に飛んでいくから動けば勝手に魔力を使う事になる。だから魔力を一切使わないようにするには心臓も止めなければいけない。


 それが出来たら人間業じゃないどころか生物かどうかも怪しいだろう。一切魔力を使わないのは不可能だけど出来る限り動かない事で魔力の消費を抑える事は可能だ。


 という事で俺はソファーに座ってぐったりしている。


「ゆっくりして魔力回復してね」


「もう時間的に今日中にもう一回行く事はないから休んでも意味ないな。どうせ寝てる間に回復できる」


 今から最速で回復したとしても夜になってしまう。


 眠気がある状態でSランクの魔物を倒せるとは思っていないから体調が万全な時にしか迷宮に潜らない事に決めている。


 俺は立ち上がって台所に立っているアリナの元に行って料理をしているアリナの手伝いに入ろうとする。


「ソウヤは手伝わなくていいんだよ。ゆっくり休んで」


「俺は休む必要ないよ。アリナの方が疲れているだろ」


 アリナは疲れを隠しているつもりなのだろうが、俺にはアリナが座りたいほど疲れているのが分かる。


「座って休んでいろ」


「珍しく命令口調!?ここはソウヤに甘えて休もうかな」


 アリナはダイニングの椅子に座って休んだのを確認してから料理を再開する。


 つい命令口調で言ってしまったけどアリナは不快に思っていないだろうか?不快に思ったとしても必ず許してくれるが、だからといって不快に思わせたのは申し訳ない。


「心配かけてごめんね。心配してくれてありがとう」


 アリナは俺の考えを読んだかのように感謝を述べてくれた。


「気にしなくていい。アリナに倒れられて困るのは俺だからな」


 アリナがいなければ道中のサポートが無くなるから困るし、アリナがいないと精神的にきついかな。


 俺はゆっくりと料理を作ってアリナの前に料理を出してから風呂場に行く。


「どうしたの?」


「風呂沸かしてくる」


 俺は浴槽にお湯を注ぐための蛇口を捻っておいてダイニングに戻る。


「それ食べたらすぐに風呂に入って寝に行くといい」


「ありがとう」


 俺は席についてアリナと一緒に食べ始める。アリナは疲れていても俺と一緒に食べることを止める気はないようだが、それは半分しか嬉しくない。


 アリナと一緒に食べられるのは嬉しいけれど、アリナにはもっと自分の体を大事にしてほしいと思うから完全に嬉しくはないという状態だ。


 アリナはゆっくりと食べているためアリナが半分を食べ終わるぐらいで俺は食べ終わったから風呂場にどのくらいのお湯が貯まっているかを確認する。


 確認を終えてからダイニングに行き、皿をシンクに置く。そして、アリナの横に立つ。


「アリナ、無理はしなくていい。残したら俺が食べるから」


「ごめん。お願い」


「風呂は今から服持っていって入るぐらいに丁度いい量のお湯が入っていると思う」


「ありがとう」


 アリナが席を立って二階に向かったところで俺は席に座ってアリナが残した分を食べ始める。不味くはないから疲れすぎて食べる気力も起きないといったところかな。


 アリナが着替えを持って下りてきて風呂場に向かったのを見てから時間を確認しておく。アリナが風呂から出るのが遅すぎた時に安否を確認しにいくためだ。


 俺はアリナの残りを食べ終えてから急ぎめに二枚の皿や調理器具を洗っていると風呂場のドアが開く音が聞こえたので安心してゆっくりと洗う。


 全部洗い終わったぐらいにアリナが出てきた。


「お休み、ソウヤ」


「お休み、アリナ」


 俺は少しソファーに座って休んでから二階にゆっくりと上って着替えを持ってきて風呂に入る。俺にとって風呂に浸かっている時間は思考の時間。俺は体を洗ってから風呂に入って色々と考え始める。


 元の世界の事、こっちに来てからの事、元の世界とこっちの世界の違い。違いはアリナという好きな人ができてアーサー、師匠というかなりいい知り合いが出来たぐらいだ。


 元の世界では若干悪評があったから人と関わる機会が減ってしまったのだが、こっちに来てからも大して人と関わっていない。


 俺実は何も変わっていないな。異世界転生とか転移して人が変わったように成功を納めるのは嘘だろう。それが出来るなら引っ越しでもして新天地で頑張ればいいだけだからな。


 俺も引っ越ししていたら友だちの一人や二人は出来ていただろうから異世界に来て成功したという感じはしない。サードになった事を成功とするなら、俺は運と魔力量が多いというだけで成功した。


 魔力量はこっちに来てから開花した才能だからこっちに来て得したことではあるけど、魔力が多くても魔法が使えないからあってもちょっと身体能力が高いだけ。


 日常生活では何一つ役に立たず、日常生活以外だと命をかけなければいけない仕事でしか役に立たない。


 俺は魔力が多くて得をしたのか?どうせならアリナ、アーサー、師匠が地球に転移でもしてきてくれた方がよかったのでは?


 三人にさえ会えれば舞台はどこでもいい。異世界であることに拘る理由はありやしないのだ。


 命をかける事なく日本で安全に暮らしていた方が異世界で暮らすよりは絶対いい。一歩間違えれば死という言葉もあったりするが、俺の場合は一歩も間違えなくても死ぬ可能性は十分ある。


 金を短期間で多く稼ぐためにこの仕事を選んだけどもう辞めたい。


 誰が好き好んで命を賭けられるものか。


 何か考えていたら虚しくなってきたからもうあがって寝よう。


 俺は風呂から出て服を着てからすぐに二階の寝室に入った。俺の寝るはベッドにさえ入っていれば寝るなので、実際に寝ていなくても寝るだ。という事で俺はベッドに入って本を広げペンを持つ。


 俺は日記のようなものをつけているのだが、毎日書いているわけではなく大事な事を思い出した時に書き記しているから完成したら日記というよりも自伝かもしれない。


 ペンを走らせるのは苦手ではない、いや、正確に言えば文章を考えるのは苦手ではないで、文字を書くのは苦手だ。


 字が汚くて人が読める字ではないのは当然のこと、時々自分でも見違える事がある。


特に数字。その中でも3と4と5。


 3はほぼ直線のような形状になって、4は9に似るし、5はSみたいになる。


 俺が読めないのは4だけだから問題ないけどテストの時は合っているのに間違いにされる事は多々あったけど直す気はない。ただ4だけは計算の途中で化けられると間違えるから直さなければなとは思っている。思っているだけ。


 脱線した話を戻して日記の話に戻るが、この日記を書いている理由は俺の記憶力に関係している。俺は昔の事をほとんど思い出す事が出来ないからこうやって文字に起こすこと何が起こったのかという事だけは覚えておこうとしているわけだ。


 幸い俺は文字列の暗記が得意だから書きさえすれば覚えていられる。


 昔からやっていたけれど地球では文章はほとんど書いていない。書き残しておくような事がなかったからそうなっていたけど、今はアリナとの思い出を残しておくために頻繁に書いている。


 アリナがどのような時にどんな状態になったかも覚えられている範囲で書いているからアリナの取り扱い説明書としても使う事が出来るだろう。俺が死んだ時はアリナと接する事になる人に渡してもらえばアリナを怒らせる事は無いだろう。だが、俺の思い出が大量に書かれているから読まれるのは恥ずかしい。

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