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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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迷宮都市イェム

 遂に迷宮都市イェムに辿り着いたのだが思いっきり雨坂さんを置いてきてしまった。


「はあ、はあ、はあ。ソウヤ速すぎるよ」


 俺との競争に負けたアリナがそんな事を言っているが、残していた魔力量にかなりの差があったから当然の結果だな。俺はかなりの魔力量を温存していたからここまでほとんど体力を使わずにこれたけど、アリナはやっぱり落下の時にかなりの魔力を使っていたようで後半を普通に走っていた。


 だからアリナは今息切れをしている。


「雨坂さんは今ごろはどこにいるのだろうか?」


「お呼びしましたか?」


 俺の横に突然雨坂さんが現れた。俺は反射的に距離を取ってから見ると顔や背格好、魔力の感じから雨坂さんで間違いないだろう。


「速いですね」


「ちょっとした裏技がありますから」


 裏技を俺たちにも使わしてくれればわざわざこの距離を移動してこなくても良かったのではないだろうか。


 そのせいでアリナに怒られたし。


「それでは泊まる家にご案内しますね。残念ながらこの街にダブルベッドのある家を世界政府は所有してませんでしたので、お部屋は別々になりますがよろしいでしょうか?ダブルベッドのあるホテルの部屋を取る事も可能ですが」


 俺たちはいつダブルベッドの部屋がいいと頼んだんですか?


「別にダブルベッドじゃなくてもいいですから」


 ダブルベッドを選んでいる理由次第で意味が変わってくる返答をした気がするが訂正する方が問題だろう。


「それでは着いてきてください」


 俺たちは街の中を歩いて家に向かうのだが、周りにある店を見ると換金所が多い印象を受ける。特に魔石の鑑定が出来る事を推している換金所の量がかなりあり、武器防具屋も所々にある。食料を売っているところでは保存食が売り場の半分ぐらいを占めている事からこの街は冒険者としては住みやすい街だろうな。


 正確に言えば冒険者ではなく探索者かもしれないが細かい事は気にしない。


 探索者とは迷宮での冒険を主にしている冒険者を指す言葉だから冒険者でも間違いではないのだ。


 こんな感じで探索者に向けた店が多いなら俺たちの準備も楽になる。


 折角ならこの街に転移魔法の魔法陣を設置してくれれば、長距離移動をしなくてはいけないけど店が道中にないというような時に事前に買ってくる事ができるのに。


 俺がどうにもならない事を考えながら歩いていると雨坂さんが立ち止まった。


「こちらでございます。鍵はこれです」


「ありがとうございます」


 鍵を受け取って家の中に入る。家は周りの風景に溶け込んでいる感じのこぢんまりした家で特に違和感を感じず、とても世界政府が所有しているものだとは思えない。


 というのは外観の話で中に入ると結構豪華な感じの家具とかインテリアとかが置いてある。


「豪華だな」


「豪華だね」


 内装の確認を二人で始める。キッチンには相変わらず食料は一切置いておらず、二階に寝室が二つ。そして一階の一部屋に大量の武器防具が置いてあった。


「アリナは武器持ってきていないんだろ。短剣だけでも持っておくといい」


「どれがいいか分からないんだよね。ソウヤは分かる?」


「俺もちゃんとは分からない」


 [魂]を発動して置いてある武器を見ても魂を持っている武器はないから俺には武器の良し悪しを判断できる基準を持ち合わせていない。


「気に入った武器でいいと思う」


 俺は何となく短剣を見ながら自分用の短剣としていいのがないか探していると特殊な短剣を見つける。短剣に魔力を込めると短剣の周囲に傘のように魔力結界が広がる短剣があった。


「これを持っておくといい。いざという時に防御として使える」


「渡すのが防御用というのは少し過保護では?」


「過保護か?アリナの体に傷がついてほしくないだけだけど」


「そういうところは相変わらずだね」


 俺は今何かダメな事を言ったか?と言えばまた同じような反応をされるのは分かりきっているのでしない。


「アリナは俺のそういうところ嫌いか?」


「全然嫌いじゃないよ」


「ならいい」


 アリナに嫌われさえしないなら何でもいい。何だかアリナと一緒にいて、段々俺の考え方が偏っているような気もするけど気にしない方がいいかな。今のところ直す必要性を感じないし。


 俺は短剣を物色しながらそんな事を考えていると俺用にいい短剣を見つけた。


 投擲用の短剣だ。


 投げやすい形状にされており、狙った方向に飛んでいくように魔法陣が刻まれている。これは持っておくと便利だろうな。俺は短剣を持って部屋を後にしてリビングでテーブルを挟みアリナと反対側に座る。


「これからどうやって迷宮探索をするか考えよう」


「迷宮探索は私専門外だけど…ソウヤも同じか!なら一緒に考えるしかないね」


「二人ともあんまり迷宮探索やった事ない。それに両方ともアーサーがいたからな。二人で知恵を絞るしかない」


 こんな時にアーサーがいてくれたらどんなに楽だっただろうか。


「ソウヤは知識がないだろうから、私がまず大迷宮について解説するね。大迷宮は深くなればなるほど魔力が濃くなって魔物の強さが増すの。だから深く潜る人向けにより深くいける道には《ライト》の魔石が端にあるからそれに魔力を込めればその道だけは照らせるよ。まさか大迷宮に来る日が来る何て思ってもみなかったからこれぐらいしか知らないよ」


 俺はそれぐらいも知らなかったからかなり助かる。


「討伐対象の魔物は?」


「青白い色の固まりのような形をした魔物。触手が生えている。大きい」


 アリナが任務の内容が書かれている紙を読み上げているが気になるところがある。


「大きさの具体的な数値は?」


「大きい」


 具体的な大きさは書いてなくて大きさの欄のような所には大きいと書かれているのだろう。


「それはかなり迷惑だな」


「遠目だったんじゃない?近くにいたらこの報告も出来ていなかったかもしれないんだから情報があるだけでも感謝しようよ」


「それなら固まりという事の真偽が問題だな。大きいから固まりに見間違えた可能性が高い」


 触手は遠くからでも見間違えないだろうが、大きく迷宮の通路を埋めるような状態にあったならば固まりと見間違える事に可笑しな点はない。


「触手がある系のモンスターは何か知っているか?」


「思い付くのは植物系だけど植物系は基本動かないし、植物を固まりとは言わないから考えにくいかな」


 植物系のモンスターは見た目が植物の見た目をしていて触手を使って生き物を捕らえる。植物系とは言っているが動物である事が確認されている。


「なら完全に新種という可能性もあるのか」


 そうだとしたら対策の練り用がないからかなり厳しい。


 触手が生えている生き物は何かいたか?思いつかない。正直こんな状態では手の打ちようもないから話は進まずに何度も話が逸れてはもとに戻して進まずまた逸れるの繰り返しをした。


「それじゃあ、《ライト》の魔法具を持っていく事とどちらかの魔力が半分になったら引き返すという事で」


「そういえばもし道中で出会ったらどうするの?確認できたら準備をしたいけどまだ会えるか分からないよね」


「確かに」


 そんな事思いつかなかった。


「発信器的な物ない?」


「位置が分かる魔法具ならあるけど準備に時間がかかるかもね。取り合えずアメサカさんに相談してみようよ」


「それがいいか」


 確か序列戦の時のスカーフにもそういう魔法具が使われていたから数的には問題なく手に入りそうだな。


「それじゃあ、アメサカさんに電話しておくね」


 俺には雨坂さんの電話番号知らされていないのにサポーターには伝えるんだな。俺は電話の邪魔にならないようにリビングから出て武器庫に向かう。


 特に欲しい物はないけど行くところもないから武器庫を選んだ。


 武器庫に大して強い武器を置かないのは何故だろうか?盗まれるの防止だとしても防犯ぐらい世界政府なら世界一最強な防犯ぐらい置けると思うのだが。本部に強い武器は大量に置いてあるからこっちに置く必要がないというのが妥当だろうが、武器を探している俺にとってはいいことではない。


 俺はもうメイン武器は持っているからサブで持つ武器を探すのみなのだが、大きい武器は持ちたくない。持つとしたら短剣しかないという事で良い短剣を探している。


 投擲用の短剣はもう持ったけどあと一本ぐらいは持っておきたいのだが中々いい魔法効果のある短剣がない。大抵攻撃力を上げる系の魔法がついているのだが、それだと弱くて使い物にならないだろう。


 元が弱いんだから。

次の投稿は9月2日です。

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