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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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アリナの水着

 出てきたアリナは美しい白い肌をした脚を出しているのだが上にはパーカーを着ている。ちょっと残念だが、俺も同じようなものを着ているから文句は言えないな。


 俺はアリナの所に行こうと立ち上がろうとした時に目があった。


 こういうのが最近多い。互いに相手の気配に気づけるようだ。


 俺はアリナのところに行くより先にアリナが俺のところに走ってきた。


「ソウヤも上の服着たの?」


 服と言えるのかどうか怪しいところではある。


「前来た時に買ったからな。アリナも着ているんだな」


「私はあれだよ、あれ、あれだから」


 全く伝わらないような感じで喋っているが、俺には何となくアリナが着てきた理由が分かる。アリナは胸が小さいことを気にしているから、胸の小ささが強調されるような水着を着るのは恥ずかしくて、それを隠そうえとしているのだろう。


 俺は気にしないのだがな。


 俺はアリナの手を掴んでプールに入る。


 ちなみにこのプールは水中戦闘の訓練でも使うからかなりの広さがあり、一ヶ所は水深十メートルある場所もある。


「人がいない端まで行こう」


「うん。いいね」


 俺たちはプールの端の近くまで歩いてきたところで、俺の足場が消えた。


 俺は急いでアリナの手を離して、浮き上がるのを待つ。俺の体には浮かないほどの筋肉はついていないので、少しして俺は水面に顔を出した。


「大丈夫!?」


「ああ、大丈夫だ。深いところはこっちじゃないと思っていたから急に足場が無くなってびっくりした」


「方向音痴も大概にしてほしいよ」


 俺だって左右を間違えるとは思っていなかった。


「折角だしここで遊ぼう」


「私あんまり泳ぐの得意じゃないんだけど」


「大丈夫。俺が何とか出来ると思う」


 魔力を使えば何とかな。


「それじゃあ、どっちが深く潜れるか勝負だ」


「いいね。潜水ならソウヤも初めてでしょ?」


「ああ。だから公平だろ。折角なんだし罰ゲームでも作ろうか」


 なにがいいかな。


「負けた方が上を一枚脱ぐ」


「アリナからそれを言うとは驚きだな。それにするか」


 俺は魔力を使ってでも深く潜ってやる。


「開始の合図は私がするね。よーい、どんっ!」


 俺は大きく息を吸って、潜り始めた。少しだけ深いところまで行けたが、そこから全然沈まない。


 俺が必死に動いている間にアリナは俺を追い越してより深いところに行っている。水泳が苦手で潜水は得意だとは思わなかった。


 だがさっきソウヤも、と言っていたからアリナは初めてでこんなに上手いのだろう。アリナはほとんどの事で俺より才能がある。


 それでも今回は負けるわけにはいかないんだ。


 俺は足に魔力を込めて、潜水をするとどんどん深いところまで行き、アリナに追い付けそうなところまで来た。


 魔力はエネルギーのようなもの。俺の意のままに動き、俺が動きたいように動かしてくれる。


 俺は魔力のおかげで底に近づいていき、ついに底に触れた。俺の勝ちだと思って横を見たらアリナも底に手が触れている。


 引き分けか?


 と思ってアリナを見ていたらアリナがゆっくりと底から離れて海面に向かっている。


 様子がおかしい。息が苦しいなら上がろうと努力するはずだが、アリナは微動だにしない。


 俺は急いでアリナのもとに泳いでアリナを抱き締めてから、沈んだ時と同じように足に魔力を込めて水面まで近づいていく。


 俺の呼吸も限界に近い。


 俺は水面に顔を出して過呼吸になりながらも、急いでアリナを床の上に運ぶ。


 アリナを床の上に運んだところでアリナの体がびくっと動いた。


「かはっ、かはっ、かはっ」


 アリナが噎せている。


「大丈夫か!?」


「かはっ、大丈夫、大丈夫」


 良かった。俺は一気に肩の力が抜けた感じがして、床にへたりこんでしまった。


「何であんなことになったんだ?」


「ソウヤが早くに潜っちゃったから、息も吸わずに潜り始めちゃって」


 喋った後の息のまま潜水したのか?凄いな。


「あんまり心配かけないでくれ。頼むよ」


「ごめんね。次からは気を付けるけど、今回は賞品がかなりよかったから」


 俺は上に着ているやつのチャックを下ろす。


「これの何がいいんだか」


「二人とも底についたんだから、ソウヤだけ見えるようにするのは気が引けるよ」


 そう言ってアリナもチャックを下ろした。全身透明感のある美しい白い肌を持っているのがよく分かるがアリナは胸のあたりを隠している。隠してはいても体の起伏が少ない事が良く分かってしまう。ただそれを差し引いてもスタイルがいい。


「やっぱりスタイルがいいんだから隠すことはないとと思うな」


「ソウヤはいいって言ってくれても周りの人がどう思うか分からないでしょ」


「どうせもう会うか分からない人の意見何て気にしなくてもいいと思うが」


 そう思って生きてきた。


「そうだけど。やっぱり恥ずかしい」


 アリナがチャックを上げて、再び見えないようにした。なので俺もチャックを上げる。


「何でソウヤも上げちゃうの?」


「アリナが上げたからに決まっているだろ。アリナが下ろせば俺も下ろす」


「それは恥ずかしいから無理」


 そう言うと思った。


「プールからはもう出て、別の所に行くか」


「私のせいでごめんね」


「俺が変な勝負を持ちかけなければよかった事だ。短い時間だったけど楽しめた」


 アリナが浮き始めた時はかなり驚いたが、それ以外は楽しい時間だった。


「それじゃあ、入り口で」


「入り口で」


 俺たちは一旦別れて、着替えてから入り口でまた会った。


「次はどこに行く?」


「訓練場に行ってみない?」


「あそこは別に面白いことはないと思うが」


「ソウヤの普段の様子を見ておきたいと思って」


 アリナと一緒になにか出来ないなら意味がないと思うが、アリナがそうしたいなら仕方ないか。


「それじゃあ、水着を部屋に戻しておくから先に行ってて」


「そのくらい一緒に行くぞ」


 一回部屋を経由するよりは楽でいいかと思ったが、大した差もないか。俺たちは部屋に戻って、水着を洗濯機に入れて洗濯を始めてから部屋を出る。


 洗濯関係は全てアリナの役割になっていて、干している洗濯物に近づくことも注意される。やむを得ない時は許可が下りるけど、普段は許してくれない。


 アリナは自分の下着に近づかれることを忌避しているみたいだ。俺は別に何もしないんだけどな。


 俺たちはエレベーターでさらに下に降りて、訓練場まで来た。かなりの広さがあって、二階分の天井の高さがある。


 今日は珍しく、誰もいない。


「誰もいないなんて珍しいな」


「そうなの?来たことないから分からないよ」


 アリナは戦う仕事じゃないし、訓練で伸ばせる事が強みではないしな。


「俺はもう潜水でかなり疲れているからちょっと休ませて」


 俺は端にあるベンチで横になる。


「私も座りたいんだけど」


 ベンチはそんなに長くないから俺が寝転がっただけでスペースは埋まっている。俺は体を起こそうと動き始めると、アリナに止められた。


「寝転がったままでいいよ。頭だけちょっとの間どかしてもらえると助かるよ」


 俺は言われた通りに頭をどかすとそこにアリナが座った。


「頭戻していいよ」


 それをすると膝枕になってしまうから戻すわけにはいかないんだけど。そう思っていても、アリナの手によって俺の頭はアリナの膝の上に運ばれた。


 抵抗しようと思えば出来たのだが、しなかったという事はそういうことだ。アリナの顔を見るのに遮る物がアリナの体に一切存在していない。


「ソウヤが思っている事を口にしたら怒るから気を付けてね」


 バレている。


「急に真面目な話をするけど、今日は本当にごめんね。ソウヤには出来るだけ迷惑をかけないようにしたいと思っていたんだけど、結果的に大きな迷惑をかけちゃって。ごめんなさい」


「俺になら幾らでも迷惑をかけてくれて構わない。俺はそれを迷惑だとは思わない。俺はアリナにいつも助けてもらっているから、アリナのために行動できることが嬉しいんだ」


 本音だが、アリナのそれが迷惑なら、俺はアリナの十倍はアリナに迷惑をかけているから、文句を言える立場ではありやしない。


「それじゃあ、ソウヤ。私と模擬戦して」

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