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異端者の吸収  作者: 寫人故事
3-1章 迷宮の魔物
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大型任務は来たけど暇

 任命式から早数ヵ月。細かい任務をこなしながら暇な日は訓練場で特訓をして過ごしている。


 アリナとは特に進展なし。


「暇」


「しょうがないよ。色々な兼ね合いがあるんだから」


 転移魔法を知られるわけにはいかないので、終わった任務の場所から次の任務の場所までの最短移動時間が過ぎるまでは本部で待機なのだ。


任務では俺とアリナと案内人の雨坂さんの三人で動くのが基本。雨坂さんは必要な物資を集めてくれるが、それ以外で任務に関与しない。


 この前集計してみたのだが、任務は魔物討伐がほとんどで、時々違う楽な任務がくる。前にあった楽な任務は大富豪の逃げ出した猫探しをしたことがあった。


 そんなもの近所の探偵でも雇えと思うが、割りと金になるため断ることは出来ない。


 ガッコン


 任務は雨坂さんが選んで今みたいにポストに入れていってくれるので、その中から選んで受注する。俺は封筒にある印を見て今回の任務が今までとは違うことを理解した。


 この仕事を辞めるには大型ミッションを最低四つ成功させなかえればいけないが、今回はその第一歩となるだろう。


「アリナ、ようやく俺たちは信用されてきたようだ」


「どうしたの?」


「初の大型ミッションだ」


「内容見ようよ」


 アリナはハサミを持って俺のすぐ近くにきた。俺はアリナからハサミを受け取って、封筒の口を切り、中身を取り出す。


 折り畳まれた紙を開き、中身に目を通す。


『迷宮都市にある大迷宮に突如Sランク相当のモンスターが発生しました。至急討伐をしていたできたい』


「俺はまだ単独でAランクの討伐も出来ないが」


「Sは厳しいね」


 Sランクモンスターの発生確率は非常に低く、百年に一度出るかどうかという感じの発生確率だ。


 Sランクが出れば迷宮内での行動は制限され、犠牲者が多くでてしまえば、すぐに迷宮の一時閉鎖を行い入り口は結界でしっかりと閉ざすのが普通。


 そんな話は入ってきていないから死者はまだ少ないのだろうが、時間の問題だろう。


「アリナも行くのか?」


「ソウヤが行くなら私も行くよ。私が居ないとソウヤが困っちゃいそうだしね」


 困りはするが、アリナが傷つく事と比べればどうということはない。


「かなり危険な任務になると思うからアリナは迷宮に入らない方がいいかもしれないな」


「足手まといになっても申し訳ないからね。仕方ないかな」


「足手まといにはならない」


 アリナのスキルはかなり有用だが、戦闘時にアリナを守りながらになるからプラマイゼロぐらいかな。アリナが近くに居てくれたらやる気が出るし、プラスかも。


 俺は任務の用紙に判子を押して、雨坂さんの部屋のポストに入れてきた。これで任務受注だ。


 任務開始は一週間後。


 時間は十分過ぎるほどある、いや暇だ。


「次の任務は長期の任務になりそうだから準備しなくてはな」


 今までは半日で終わるような任務も幾つかあったが、今回は向こうに泊まって任務をする必要があるから着替えを持っていく必要がある。


 今回の任務は短くても一週間はかかることを考えると、どのくらいの頻度で洗濯をするのかということも考えて着替えの枚数を考えなくてはいけない。


 それでも暇ではある。


「暇になるな」


「どうしても暇にはなっちゃうよね」


 どういった魔物の討伐なのか詳しい事を聞かされていない現状では何もすることがないのが問題だ。


 俺は大きめなバッグを取り出して着替えを入れていく。


 これだけなら今日中に終わってしまうから早急に任務の詳しい内容を届けてほしいところだが、明日になりそうだな。受理とかで色々手続きがあるようでその後でしか詳しい内容を伝わってこないので、明日になる可能性が高い。


 今回は大型ミッションだからより時間がかかるはず。


 気長に待とうか。


 俺はある程度荷物えお詰め終えて、アリナの近くに移動する。


「何しているんだ?」


「今回の任務について読んでいるの。私は覚えるのに時間がかかるから」


「俺が近くにいるから問題ない」


 俺はもう覚えている。


「念のためにね。ソウヤはもう準備終わったの?」


「ある程度は。だから暇なんだ」


 アリナは忙しいみたいだけど。


「しょうがないな~」


 アリナが紙を置いて立ち上がった。


「どっか遊びに行こうよ」


「ありがとう。どこ行く?」


 この本部には議員用の遊ぶスペースがいくつもあって、その大半は五十階より下にあるから俺らでも利用可能だ。


「プールって行ったことある?」


「俺はあるが、アリナはないのか?」


「ないけど、ソウヤは誰と行ったの?」


 誰だったかな、名前を教えてもらったけど忘れたな。


「覚えていない女性と。いつも通りに道に迷っていたらその女性が助けてくれて。その条件として一緒に遊ぶことになった」


「逆ナン?ソウヤはそういうのに気を付けなきゃ、いつか大変なことになるよ」


「そうか?俺がほとんど話さなかったから早めに遊ぶのを止めて、道を教えてくれたから」


 女性二人組と遊んだが、二人が五回会話のキャッチボールをしている間に一回魔球を投げるみたいな感じの会話だったな。魔球は投げた後に俺は何を言ってんだ?と毎回思っていたから、むこうもかなり困っただろう。


「アリナが行ったことないならプールに行こうか」


「私も水着を着るの?」


 不思議なことを言うのだな。だが、俺が水着を着るのは確定しているようだ。


「水着を着ないでプールに行ってどうする?」


「プールについているカフェでお茶する」


「あれはカフェじゃなくてバーだと思うが」


 酒が置いてあったし、プールにはバーのイメージだ。


「ならダメじゃん。やっぱり私も水着を着なきゃダメ?」


「アリナが着ないなら、俺だけが遊ぶことになるからプールは無しだな」


「なら着る」


 アリナが何か恥ずかしそうにしている。アリナはスタイルがいいから水着でも問題ないと思うが、もしかして体に痣でもあるのか?それなら確かに見せたくないかも。


「何か水着を着たくない理由があるなら全然変えてもいいんだからな」


「大丈夫。大した理由じゃないから」


 アリナがそう言うならいいか。


「アリナは水着持っているのか?」


「持っていなかった…」


 今気づいたみたいな感じだが、一番大事なところだろ。


「プールの近くにある店に売っているから、そこで買えるぞ」


「ありがとう」


 俺は水着が入っている袋を持って、エレベーターでプールのある上の階まで上がる。


 アリナをプールの近くの売店まで案内して、アリナの後ろに回って店に入ろうとしたが、アリナに阻まれた。


「何でソウヤも一緒に入ろうとしているの?」


「会計は俺がしようかと思って」


「水着を選ぶのに色々と自分の体型の情報が必要なの。それを見られる可能性があるのは嫌だよ」


 スリーサイズ的な話かな?さっきも思ったがアリナはスタイルがいいから問題ないと思うが。


「なら店の外で待っている」


「先にプールに行っていて。プールでまた会おうね」


 そんなに知られたくないものなのか。


 俺はプールの男子更衣室に行って、着替えて服はロッカーに入れる。


 このロッカーは魔力をこめて閉めると、開ける時に閉めた時と同じ魔力でなければ開かなくなるという優れもの。だから鍵いらず。


 俺はプールに行って、アリナを待つ。


 プールには人が少しいるぐらいで、結構空いている。


「あの、良かったら一緒に遊びませんか?」


 女性に声をかけられた。


「え、あの、連れがくるので」


 きょどってしまった。不意に話しかけてくるあの人が悪い。本部住みの人たちは出会いが少ないから仕方の無い事なのかもしれない。


 俺はその場から離れて端に座る。足湯ならぬ足プールみたいな感じにして入り口の方に目をやってアリナが来ないか探す。


 アリナが来れば気配で分かるから見なくてもいいのだが、アリナの水着姿をいち早くみたいからアリナが来るのを待ちながら入口を見る。

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