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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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卒業式

 卒業式の朝を迎えた。俺は卒業式には出ないので、ラフな格好でソファーに座っているがアリナはちゃんと出席するから礼服もどきを着ている。


 俺は一応何か書いてきて、それを卒業式で読んでくれと頼まれたが序列戦に出るということで断った。たぶん、もし出なくても何かと理由をつけて断っただろう。


 文章を書くのは苦手ではないが自分の好きな話題をかけないし、そもそも大勢の前で読むことが無理だ。


 ということもあって卒業式に出るのは気まずいこともあって卒業式には出ない。


 アリナも同じように声をかえられたようだが、俺と同じ理由で断ってもいるのだが出るようだ。アリナのメンタルがすごいと思う。


 というわけでソフィアさんが読むことになっている。


 知らなかったけど授業免除までとっている優秀な人みたいだ。


「アリナ、カメラ借りていいか?」


「ソウヤが買ったんだから自由に使っていいよ」


「俺はアリナにあげたんだからアリナに許可を取るよ」


 俺は卒業式に出席はしないが、卒業式には行く。アリナの保護者として卒業式を見に行き、アリナを撮りに行くのだ。


「私はもう行くね」


「いってらっしゃい」


「いってきます」


 卒業生は色々と忙しいようで、卒業式の時間よりも早めに登校しなくてはいけないようだ。俺が会場に入れるのは後一時間ぐらいしてからだから今のうちにカメラの確認でもしてようかな。


 俺はアリナの部屋に入ってカメラを取るがアリナのベッドが目に入ってしまう。正直アリナのベッドに潜り込んでアリナの匂いに包まれていたい気はするが、それはどうかと思う自分がいるのだ。


 俺は何度もベッドの方を振り返りながら部屋を出てドアを閉める。


 誘惑に打ち勝った。


 俺はカメラを持ってリビングに戻りレンズを拭く。それからカメラを覗いてどうやって撮るかの確認をするが、中々難しい。地球のカメラとは違って画面がないからカメラのちょっと上にあるレンズを覗くのだが、拡大をした時にピントが中々合わないのだ。


 カメラと覗くためのレンズは連動しているようでピントを合わせなければいけない。


 アリナはどうしてあんなに簡単にできたんだ?レンズを覗けない自撮りまでできていたしアリナがすごすぎる。


 俺はずっとピントを合わせる練習をして出発の時間を迎えた。まだ練習していたいが、時間が来てしまっては仕方の無い。


 俺はカメラを持って学校に行くと結構な人数の人の格好がラフでちょっと安心しながら慣れた道を行き、会場に向かう。


 生徒の後ろに椅子があってそこに座ることもできるが、それではアリナを撮れないので二階席まで行きアリナを撮れる場所を探す。クラスごとの位置は廊下に貼り出してあったので、アリナのクラスが撮れてステージも撮れる撮影ポイントを見つけ出した。


 ここならアリナを撮れる。


 俺は席に座りカメラのピントを合わせる練習をして、本番に備える。


 まだ慣れないな。


 そう思っているともう卒業式が始まるようだ。


 俺はフラッシュを切っていることを確認して入り口を通る人にカメラを向けてピントを合わせ始める。どうでもいい人たちの入場が終わり卒業生が入場する番がまわってきた。


 生徒の通る道はどうせ全クラスで同じだから生徒の顔、特にアリナと同じくらいの背の人の顔にピントが合うように全力を尽くす。


 アリナのクラスが最後の方だったおかげで、無事ピントがあいアリナが中央に入った途端、シャッターをきる。


 全員が並んでから先生が生徒の名簿を読み上げ始めた。


「ソウヤ、本日は欠席です」


 恥ずかしい。自分の欠席報告を聞く事になるとはな。恥ずかしい、恥ずかしい。


 気を取り直してアリナを撮影しないと。


 全員が着席してから座っているアリナに合わせるべきだろうが、うかうかしていると卒業証書授与の番が回ってきてしまうのだ。希望者だけがこの式で受けとる仕組みのようで、人数はそんなにいないから、早く回ってくる。


 俺は急いでアリナにピントを合わせようとしたが、近くのクラスまで来てしまったので卒業証書を受け取っている姿にピントを合わせる。


 俺はアリナが校長の前に立ったときからかなりの枚数の写真を撮った。


 それからは座っているアリナを撮って、ソフィアの演説を聞いて、会場からの去り際のアリナを撮り校門でアリナを待つ。


「待った?」


「全然。看板の近くで写真を撮ったりしなくてもいいのか?」


「ならここで二人で撮ろうよ」


 自撮りができるほどにこのカメラを扱えないんだけどな。


「ソウヤ、ピント合わせるの苦手でしょ。頑張ってピントを合わせているの見えたんだから」


「そこは見えなくてもいいのだが、上手くいかなくてな」


「貸して」


 貸しても何もアリナのなんだけどな。


 俺はカメラをアリナに渡すと、アリナはカメラをこっちに向けてピントを合わせる。


「撮るよ」


 そう言ってアリナはシャッターをきる。


「もしかしてレンズの拡がりかたを見てピントを合わせているのか?」


「そうだよ」


 神業かな?すごすぎる。


「もう写真も撮ったし、帰ろうよ」


「分かった。写真はいつ印刷しようか」


「帰り道にお店あったよね?そこで印刷しようよ」


 確かにあった気がするな。


「前までの分も含めると結構な枚数があると思うぞ。時間がかかる。それでも構わないなら行こうか」


「ソウヤも一緒に待っててくれるなら印刷するよ。嫌なら後日一人で印刷する」


「一緒に待ちたい」


 俺はアリナと一緒に帰り、途中で店に寄る。


「このカメラに入っている写真の印刷をしたいんですけど」


「全部かい?」


「全部です」


 店員がカメラを店の奥に持っていって、数分後、紙を持って戻ってきた。


「枚数は?」


「これとこれは二枚ずつでお願いします」


 俺はカウンターから離れた位置で見ているため紙の内容は確認できないが、恐らくカメラに記録されている写真の情報だろう。


 日付と時間が記録されているから、それから思い出して二枚印刷する写真を選んだのだろうな。


 アリナが注文を終えて俺の所に来た。


「後一時間ぐらいはかかるって」


「一度帰るのも手だ」


「どっちがいい?」


 一度帰ったところで俺はすることがないんだよな。


「俺はどっちでもいいが、近くに公園があったはずだ」


 店内には店員と俺たちしかいないから、俺たちの会話は全て聞こえているのだろうな。


「なら公園に行こう」


「分かった」


 公園に来てみたが、子供が数人遊具で遊んでいる。


「元気だな」


「元気だね」


 子供たちを見ながらベンチに座る。


「さすがティーンエイジャー」


「私たちもまだ十代だよ。そもそもあの子たちが十代かどうかも怪しい気がする」


 見た目的には十代前後。まだ十三歳には届いていない可能性が高いからティーンエイジャーではないかも。


 確定で十代なのは俺たちだけか。


「若いってのはいいな。元気がありあまって友だちと思いっきり遊んで」


「私はまだ若いつもりだけど。ソウヤの子供時代もあんな感じ?」


「全然。用事がなければ家から出ることはなかった」


 親から心配されたものだ。


「一緒に遊ぶ友だちは?」


「一人仲のいい女の子がいた。外では基本的に一緒にいたが、一緒に遊ぶという感じではなかったな」


 懐かしい話だ。


「女…の…子…?」


「どうした?アリナ?」


「何でもないよ。意外だと思っただけ。その子とは仲がよかったんだね」


 何でもない感じの雰囲気では無かったが、アリナがそう言うなら気にかけないでおこうか。


 俺たちは他愛もない話で一時間つぶして店に戻ってきた。


「もうできているよ」


「ありがとうございます」


 アリナは代金を払い、写真を受け取ってから帰路についた。


「もうすぐ任命式だから帰ったら荷造りだな」


「そうだな。明後日に世界政府の支部に行かなきゃいけないからね」


 もうすぐで俺はサードになる。


 サードになれば俺の罪は消え去り、高い給料に本部に部屋を借りられる。その代わりに命をかけて仕事をこなす必要があり、加えて転職をするには一定レベルの仕事を一定数達成しなくては認められない。


 損得でみればハイリスクハイリターンでどっちとは言い切れないような仕事だ。


 それでも生き残れば一生遊んで暮らせる金を手に優雅に平和に暮らせるだろう。その生活をアリナと供に暮らしたい。

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