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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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デート 後編

 デパートにやってきて、まず始めに店内地図を見る。


「どこから回る?」


「一階から全部。一緒に来てくれる?」


「当然だ」


 アリナなら財布を持ってきているはずだから一人でも回れるのだろうが、今回の目的はそういうのじゃない。


 俺は即答してアリナと一緒に回り始めて、お菓子を売っている店や服屋を回って少しだけ荷物が増え、俺の目的地アクセサリー店まで来た。


「ここに寄らないか」


「いいよ」


 アリナはスルーするつもりだったようだが、それを阻止してアリナをアクセサリー店に入れる。


「良いものがないか見てくるから、アリナも探していてくれ」


「うん。良いもの見つけてきてね」


 俺はアリナと別れてすぐにカウンターに行って注文の紙を出す。


「ソウヤ様ですね。少々お待ちください」


 店員が奥に消えたが、これはサプライズだから絶対にアリナに見つかってはいけない。アリナなら店内の端から見ていき最後にカウンターに来るはずだからそれまでに見つからないようにしなければ。


 俺はアリナがカウンターを見れる位置に来た瞬間に物陰に隠れてやりすごす。そのタイミングで店員が戻ってきて一瞬、奇怪なものを見る目で見られたがアリナの方を見て納得してもらえたようだ。


 店員も物陰に入って声を潜めて説明をしてくる。


 対応力のすごさに歓喜したいところだが、しっかりと説明を聞いて料金を支払った。宝石を付けたわけでもないのでそんなに値段はしなかったが、普通のアクセサリーに比べたらオーダーメイドだからちょっと高い。


 二日で模様を付けてもらったから急ぎの分でさらに値段が高くなった。


 店員がアクセサリーを見栄えのいい箱にいれてくれる。


 この店員に色々と協力してもらっていたし今は客も少ないから、ここで渡して着けた姿を店員に見て欲しい。


 アリナなら俺が良いものを見つけたらそれにして、見つけていなかったら後で自分の候補を持ってくるはずだから何も持たずに会計までくるはず。


「もう会計にいるの?早いね」


 案の定アリナは何も持たずに会計まで回ってきた。


「アリナ、かなり遅れたが、誕生日おめでとう」


 アリナにアクセサリーの入った箱を渡す。


「ありがとう」


 前までは豪華な料理を相手に作って誕生日を祝う感じだったが、今回初めて物を渡す。


「開けてもいい?」


「勿論だ」


 店員がすごい微笑ましそうに見てくる。店員が嫌がっていなくて良かった。これで嫌そうな顔をされていたらこの状況なのに移動しなくてはいけなくなるところだった。


 アリナが箱を開けて中を確認する。


「これ、髪飾り?」


「そうだ。一個しか持っていないって言っていたから」


 一昨日の下見の時点で作成を依頼しておいて、アリナとこのためにデパートに来たのだ。


「着けても?」


「俺が着けよう」


「お願い」


 留め方は今の髪飾りと同じだからアリナなら練習しなくても着けられる。そのためのオーダーメイドだったのだが、折角だからと模様を付けた。


 アリナが俺に背を向けたので、俺はアリナの髪飾りを外して新しい髪飾りに着け変える。


「似合っていますよ」


 店員が声だけで喜んでいるのが伝わる声で言ったが、アリナの綺麗さを際立たせる髪飾りを作れて嬉しいのだろう。


「似合ってる」


「ありがとう」


 店員が手鏡を取り出した。この店員できる、出世できるのでは。


 アリナは手鏡を受け取ってよく見ている。


「これ凄いね。模様もちゃんと入っているし、これを二日で用意できたの凄いですよ」


 店員の褒めに入った。


「手鏡を用意するっていう気遣いも良かったです」


「ありがとうございます」


 店員はすごくスムーズに、かつ綺麗にお辞儀をしている。この店員はレビューとかあったら確実に星五つをつけるレベルにすごい。


「ありがとうございました」


「こちらこそありがとうございました」


 店員に礼を言って店をあとにする。


「これ、ありがとね」


 そういって髪飾りを指すが、俺はさっき誕生日プレゼントと言ったが誕生日から一ヶ月とちょっと遅れて渡すことになってしまって申し訳ないと思っている。


「さっきは誕生日と言ったが、卒業祝でも日頃の感謝を込めてでも何でもいい。やっぱり形として残る物を何かアリナに持っていて欲しいだけだったからな。受け取ってくれてありがとう」


「当然受けとるよ。長い間一緒にいる人からのプレゼントだもん。嬉しくてたまらないよ」


「そうか長い間か…こっちに来てもうすぐ三年か」


 地球では行方不明者として扱われているのか?今さら戻っても仕方ないから戻る方法を探す気もないが気になる。


「故郷に帰りたい?」


 俺の考えはお見通しか。


「全然。ずっとここに居たい」


 アリナの隣にずっと居たい。


「ソウヤはいつまでも私の家に居候しているわけにはいけないんだから、もっと人とコミュニケーションをしてコミュニティを作った方がいいよ」


 結婚すれば居候ではなくなるが、それを言う勇気が俺にあるだろうか、いや、無い。


「そろそろ他の所をまわるか」


「そうだね」


 それからアリナと色んな店をまわったがアリナは鏡を見るたびに髪飾りを確認して微笑んでいる。そんなに喜んでくれるなら買ってよかった。


 そう思いながらデパートをあとにして夜ご飯を取るために食事ができる店が立ち並んでいる通りまで来る。


「好きな店を選んでくれ」


「いいの?どうしようかな」


 アリナと一緒に端から端まで行って店を見るが鉄板系、焼き肉、焼き鳥、和食風、フレンチ風など色々ある。謎の日本食率。俺が外見で何が提供されるかを分けられるのが、日本食なだけか。


「ここにする」


 アリナが選んだ店は和食風な店だ。和食風というのは和食とはちょっと違って、この世界の特色が混ざっているような感じだからだが、十分美味い。


 俺たちはアリナの指定した店に入る。


「予約していたソウヤです」


「ソウヤ様ですね。こちらです」


 店員は予約者リストみたいな紙を見てから個室に通してくれた。


「予約してあるじゃん。なら何で聞いたの?」


「アリナならここを選ぶと思っていたから」


 俺はメニューを広げてアリナに渡す。


「何で私がここを選ぶと思ったの?」


「この通りには煙が出る店が多いから店の数はかなり絞られる。俺が今日あげた髪飾りに煙を吸わせないためにな。今回は新品の服を着ているから尚更。アリナは堅苦しい店はあまり好まないみたいだから、残っているここを選ぶと思って」


 周りにある店の内容が完璧な通りだったからこの店を予約した。


「正解だよ。まったくその通り。でも、もし私がせっかくだからと堅苦しい店を選んだらどうしたの?」


「その時は俺はこの店がいいな、何て言えばこの店を選んでくれただろ?」


「確かにそう言われたらここを選ぶ」


 だろうな。アリナは優しいから自分の意見よりも他人の意見を尊重しがち。


「注文は決まった?」


「決まったよ。海鮮丼」


「俺は焼き魚定食」


「注文は私何だね」


 俺には無理だ。アリナが注文してくれてからしばらくして料理が来る。


 まずは味噌汁から飲む。やっぱり味噌汁は体にしみる美味しさだな。


 今回の焼き魚に使われている魚は秋刀魚もどきで脂が乗っているのだが、俺は脂が得意ではない。脂が多すぎると駄目なんだ。


 それでも魚自体は美味しいから食べられるのだが、米との配分を間違えて魚だけになればちょっときついから考えながら食べなければいけない。


 と思っていたのに結局、米が余って最後は米だけで食べることになった。


「美味しかった」


「またいつか来ようね」


 いつになるのやら。俺が会計を済ませて外に出ると雪が降っている。


「寒いな」


「雪降るの珍しいね」


 札幌育ちの俺としては珍しくはないのだが、こっちに来てから見たのは数度しかない。札幌では必ずホワイトクリスマスだったがこっちではホワイトクリスマスになったことはなく、グリーンクリスマスだ。


 雪を懐かしく思っているとアリナが俺の手に自分の手を滑り込ませた。

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