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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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アーサーとの会合

「美味しかった」


「そうだね」


 今は食事を終えて二人で皿洗いをしているのだが、何か気配を感じる。俺はポストの隙間に魔力を通して外の様子を魔力感知で探ると俺たちの部屋のドアの前に誰かいた。


「あとは任せてもいいか?」


「うん、いいよ」


「ありがとう」


 俺は手を洗ってからドアに向かう。アリナのストーカーか?アリナに接触させるわけにはいかない。


 俺はドアを開けて、ちょっとの隙間からすぐに外に出てドアを閉める。


 俺はドアの前にいる人物の顔を見ると、よく知っている人物だった。


「アーサー!?何故ここにいる」


「ソウヤにちょっと用があって。僕の部屋にまで来てくれないかな?」


「構わない」


 俺たちはちゃっちゃとアーサーの部屋にまで移動してきたが、相変わらずの部屋の広さだ。


「で、用とは何だ?」


「アリナのことだよ。ソウヤはアリナのこと、好きかい?」


「好きだな」


 俺も素直に言えるようになったものだな、アリナ以外には。


「そうか…アリナは専属サポーターになるのかい?」


「なってくれるみたいだ」


「そうか…アリナがそう決めたんだね。なら僕が口だしすることじゃないか。もう会う機会はそうないと思うから声をかけたんだけど必要無かったみたいだよ」


 そうかもう自由に会えないのか。俺は序列、アーサーは勇者として活動しなくてはいけないから互いに忙しくなる。


「元々は何て言おうとしたんだ?」


「もう言っても意味が無いから言わないよ」


 気になるがアーサーは以外と頑固だから教えてはくれないんだろうな。


「そうか、分かった。ところでこの部屋に飲み物は無いのか?」


「あるよ。そっちの冷蔵庫に」


「俺たちはまだ酒は飲めないが別の飲み物で乾杯でもしよう」


「それなら僕が用意するから待っていて」


 アーサーは棚からワイングラスを二つ、冷蔵庫からは高そうな瓶を取り出した。


「高そうだな」


「常備してくれているのだけれど、高そうで手が出せなかったから僕も初めて飲むよ。こういう時ぐらいは良いものを飲もう」


 本当に高いみたいだな。


「俺が注ごう」


「客に注がせるわけにはいかないよ」


「飲み物を出してもらっているんだからこのくらいやるさ」


 何でこういうことではちょっとした言い争いになるのだろうか?それ以外の時は相手の意見を尊重しあう感じなのに。


「互いに自分の分は自分でいれる。そうしよう」


「仕方ない。そうするか」


 このことで言い争っても決着がつかないので、賛同する。


 アーサーは瓶の外装を開けて栓を取った。


「これ葡萄ジュースだから。赤ワインじゃないよ」


 そう言ってアーサーはグラスに葡萄ジュースを注ぐがアーサーの発言で赤ワインにしか見えない。


 俺はアーサーから瓶を受け取って自分のグラスに注ぐが匂いは葡萄ジュース。アルコールの匂いはしないな?そもそも赤ワインはアルコールの匂いするの?俺が小さいころに親が時々飲んでいた記憶があるが、どうだったけか。


「それじゃあ、――」


「「乾杯」」


 俺たちはグラスとグラスをそっと当ててから、グラスを傾けて自分の口に流すが普通に葡萄ジュースだった。


「美味しいが、他のとの違いは余り分からない」


「僕も分からないけど、美味しいよ」


「アリナも連れてくればよかったか」


「今から呼んでたら時間かかるし、ボトル一本を持ち帰るといいよ。どうせまだあるし」


「そうさせてもらおう。ありがとう」


 有り難い。


「ところでアーサーは勇者としてどうなりたいんだ?」


「突然だね。勇者として…みんなを救えるようになって人々を安心させられるような存在になりたいな。ソウヤは序列としてどうなの?」


「俺はな――」


 俺たちはしばらく語り合ってすっかり一本を飲み干してしまった。


「もう無いな」


「そうだね。タイミングもいいし、これでお開きにしよう」


「そうだな」


 俺はアーサーと一緒に玄関まで来て靴を履く。


「忘れてた。ちょっと待ってて」


 アーサーは何を忘れたんだ?アーサーはすぐに戻ってきたが、手には瓶がある。


「これ持って帰って」


「ありがとう。それじゃあ次にいつ会えるかは分からないがまた会おう」


「そうだね、また会おう」


 俺は瓶を持ってアーサーの部屋をあとにした。俺は早歩きで部屋まで戻ってアリナに瓶を見せる。


「アーサーから餞別だ。今度一緒に飲もう。今日はもう飲んだから無理だ」


「アーサーと会っていたの?私も行きたかったな」


「部屋の外にいるのがアーサーだとは思わなかったし、アーサーは俺に話があったみたいだったから」


「それなら仕方ないかな?」


 納得してくれたようだ。


「そういえばソウヤはお風呂に入ってきなよ。すぐ戻ってくると思ってもう入れたから」


 なのに全然帰ってこなかったというわけか、申し訳ない。


「アリナが先に入っておけば良かったのに」


「自分だけ先に入るのもなと思って」


 アリナにはいつも迷惑をかけている。今度何かお礼をしなければいけないな、どうしようか?サードになってからも時間があればいいのだが。


「お風呂に入らせていただきます」


「どうぞどうぞ」


 俺は着替えをバッグから取り出して、脱衣所で服を脱ぐ。それから、体を洗って風呂につかっていると、序列戦が思い出される。


 最初のバトルロワイヤルはちょっと卑怯に漁夫の利を狙ったりして勝ち進み、霧を発生させるやつとも戦って何とか勝利。それで本選に進んだ。


 本選の一回戦はアリナに可笑しなことを言ったやつを怒りに任せてぼこし、師匠とは全力を尽くして戦ったが負けた。師匠は俺が魔力切れになれば俺が動けなくなるのを分かって戦っていたのだろう。


 師匠は全力で勝ちに来ていた。自分の力を披露するのではなく、確実に俺に勝つ選択をしたのは俺との約束を守ろうとしたからかな。何か起きても対処できるようにと魔力を残していたというのもあるかもしれない。


 エンゲとは変なルールで戦うことになったがエンゲの魔法を捌ききれずに怪我をして負けた。


 色々なことが終わったものだ。


 序列戦のために色々と用意してきたが、全部使いきれただろうか?俺は出来た気がしたがそれでも師匠とエンゲには全然届かなかったからやっぱり俺は足りていない。勝つための戦術も技術も足りていなかった。


 師匠ともエンゲとも差がありすぎて悔しくもない。どこを改善すれば勝てたのかすら分からない。たぶん子供の頃から改善していかないと勝てなかっただろうから、無理だな。


 そんな俺が今のままでサードが務まるのかと聞かれればNOだろうな。もっともっともっと強くなってアリナも自分も守れるようにならなければいけない。


 俺は新たな決意を胸に風呂を出て体を拭いてから服を着る。俺は洗面所から出てアリナに風呂から出たことを伝えた。


「珍しく長風呂だったね。次は私が入ってくるね」


「ああ、ごゆっくり」


 俺はアリナが風呂に入っている間に明日帰るための準備が終わっているか確認しておく。自分は信用できないので何度も確かめなければ気がすまない。


「ソウヤ、上がったよ。ソウヤは心配性だね」


 別に心配性ではないと思うが、そういうことなのかな。


「一緒に寝るのも今日が最後だね」


 そういえばそうか、師匠のおふざけにもう逢うことはないんだ。


「そうだな。最後だな」


 もう一緒に寝るのは慣れたつもりだったが、そう言われてしまえば意識してしまう。


「その前にトランプでもしようよ」


「いいな。序列戦中は出来ていなかったし」


 俺はトランプを取り出して色々なゲームをして最後に折角だからと、トランプ三組を使って、神経衰弱をしたがカードの量が多すぎて覚えるのが大変だった。


 それでも二人とも記憶力がいいため、結構な接戦になって前半の途中でかなり俺が取って俺が勝ちそうな雰囲気はあったのだが、後半にアリナが連続で取って負けた。


「流石に三組は多い。取っても取っても減らない」


「覚えるの大変だったよ。ギリギリ勝利」


 バラバラになったトランプを戻しながら感想を言うが何だかんだ楽しかったのが話し方で伝わってくる。トランプを揃え終わったころにはすっかり夜になっていた。


「私はもう寝る」


「なら俺も寝ようかな」


 俺たちは揃ってベッドに横になる。


「おやすみ、ソウヤ」


「おやすみ、アリナ」

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