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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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序列戦の終わり

 再び部屋に戻ってきて部屋の片付けと荷造りをしているのだが、中々大変だ。というのも船の時よりも部屋を使ったから汚れが多い。


「破れた服、どうしよう」


「帰ったら捨てて、新しい服を買おうね」


「今度俺をコーディネートしてくれ。服とかよく分からない」


「私もよく分からないよ」


 アリナの服はお洒落だなと思っていたが感覚がずれているのか、それともアリナのセンスが高いのかどっちなんだ?


「それでも一回一緒に服を買いに行こう」


「うん。賛成」


 アリナの了承を得られて良かった。無理って言われたらどうしようかと思っていたが即賛成してくれて嬉しい。


 小一時間ぐらいで荷造りも掃除も終わらせた。


「やっと終わった」


「途中に無駄話が無ければもっと早く終わったんだよ」


「アリナも話しかけたからお互い様だ」


 何かあったり何か思い付くたびに互いに話しかけて、その度に手を止めるから進まないのだ。


『勝者エンゲ選手』


「もう試合やっていたのか?師匠の試合見たかったな。近距離最強の師匠がどうやって魔法と戦うのか見たかった」


「ブレイダお姉ちゃん連敗だからサードだね」


 それでもサードには成れるんだな。


『ここでお知らせです。タナトス選手が失踪しまして順位は一つずつ繰り上がりになりました。こんなことは史上初です』


 タナトスはそんな無理も通せるのか、凄いな。


『これによって序列決定です。ファーストはエンゲ選手、セカンドはブレイダ・ペンテシレイア選手、サードはソウヤ選手です』


 俺は反射的にアリナの方を見たがアリナもこっちを見ていて数秒見つめあった。


「やったねソウヤ」


「ああ、やったよアリナ」


 喜びをアリナとしばらく共有して二人ではしゃいだのだが、二人とも急に冷静になって今後のことについて考え始める。


「家は帰る機会は少なくなってしまうな」


「そうだけど売るつもりはないよ」


 アリナにとってあの家は大事なんだな、俺も思い出があるから手放してほしいとは思っていない。


「売らないのは賛成だが、状態を保つ必要がある。それをどうするのかという問題がある」


「世界政府の人に任せられないかな?頼めばやってくれそうじゃない?」


「確かにやってくれそう。学校は今月卒業だから問題無いし、他には無いか」


 今月で卒業になるのだ。特に思い出も無いし良いけど。


「もしかして私卒業式出れないの?そうだよね」


「明日から帰り始めても二週間かかるから無理だな。スピーチでもあるのか?」


「折角だし出たいなと思って服も買ったんだけど」


 帰る日付はだいたい分かっただろうに、アリナがそんなミスをするなんて、びっくりだ。


「服買ったのか。見たかったな」


「序列任命式の日にでも着るよ」


「序列任命式って今月末だよな。俺たちはどのくらい家にいられるんだ?」


「二日ぐらい」


 全然休めないじゃないか。


「戻ってから何するか決めとかなきゃ、ぼーとしてたらすぐに出発だよ」


「服買う、洗濯、新聞止める、後何ある?」


 俺はそういうのを聞いたつもりじゃなかったんだけど大事なことだな。


「特には無いと思うが、また荷造りして掃除も必要だな」


「それもある。遊びに行けないよ」


 あたふたあたふたしながら計画を練っていた。


 ガコンッ


「郵便が来たね」


 俺が取りに行くと封筒があった。


「宛名とかは無いな」


「とりあえず開けてみよう」


 俺が封筒の中身を取り出すと紙が三枚出てきた。


「一枚目はサードになったことへの祝辞とこれからよろしく的な内容」


 俺は一枚目をアリナに渡す。


「二枚目はサードになってからの注意点」


 二枚目もアリナに渡す。


「三枚目は明日の朝に序列用の船が出るから乗るみたいだ。そこで朝食を取れとのこと」


「本当にサードになるんだね」


「そうだな」


 やっと実感が湧いてきた感じだ。繰り上げでなったせいで放送でしか聞けていないから本当になるのか疑わしい感じがあったが、本当なんだな。


「本当にサードになるんだな。想像がつかないな」


「どんなことが起きるんだろうね、楽しみ」


 俺は絶対にアリナを守って、アリナに傷一つ負わせないようにしなければいけない。


「ソウヤ、私に何かあっても絶対にソウヤの責任じゃないから。それだけは覚えていて」


 俺の心を見透かしたかのようなタイミング。


「覚えるだけならできると思うが、やっぱり俺の責任だと思う。俺が誘った事だから」


「誘いを受けたのは私の判断。ソウヤの思い通りに動いているわけじゃないんだよ」


 確かにそうなんだがな、なんというかアリナに何かあった時にアリナのせいだと言い訳したくないんだよ。


「ソウヤはこれで納得する性格じゃないもんね。私が言いたいのは自分を責めないでねってこと」


「できる限り覚えておく」


「ありがとう、ソウヤ」


 感謝されることでも無いのだがな。


「それじゃあ、私は晩ご飯を作るね」


「俺も手伝う」


「怪我人はダメ」


「包帯のおかげか傷は全く痛くないんだ。だから怪我人と言えるかどうか」


 自分で言っといて何だが、言える。痛くないだけで怪我はしているから怪我人だ。


「アリナ、一緒に料理しよう」


 つっこまれるより先に頼んで気をそらす。


「本当に痛まないならいいかな」


「ありがとう」


 俺は台所に立って料理をする準備を始める。


「どうしようか。一人一品ずつと二人で一品、計三品作るでどうだ?」


「それでいいよ」


「まずは二人で作る料理から決めよう」


 俺は冷蔵庫を開ける。今日が最終日だから今日で全ての食材を使いきらなければいけない。


「ステーキ肉があるな」


「序列戦終了を祝ってステーキにしようと思っていたから」


「ありがとう」


 二人で作ると言っても何かできるわけでもないし、メインを二人で作るか。


「ステーキを二人で作って、残った食材で各自作ろう。じゃんけんで勝った方から好きな食材を選ぼうか」


「食材を分けてもらうのは?」


「相手の許す限りで可」


 すぐにルールを決めてじゃんけんに入る。


「ちょっと待って。ソウヤは何作るの?」


「スープ」


「なら私はサラダね」


二人とも同じ種類の料理を作ろうとしてたら大変だったな。じゃんけんをして食材が振り分けられて料理スタート。


「じゃがいも一、二個貰っていいかな?」


 じゃがいもを使いたかったのに一番最初にアリナが取ったから交渉に出る。


「一個なら。私は玉ねぎが欲しい」


「半玉なら」


 互いに自分の料理を作りながら、ステーキを作る必要がある。香草もあったのでそれも使いながら焼き始めた。


「俺は火を使うからステーキの方も任せてくれ」


「了解、任せたよ」


 しばらくして完成した。ステーキは先に運んでおいたので後は各自の料理だけである。


「それじゃあ、一人ずつ発表かな。まずは俺から」


 アリナが席に座ったのを確認してからスープを運ぶ。


「ポトフ風のスープだ」


 ポトフの明確な定義は知らないから、風とつけておこう。


「美味しそうだね」


「そうだろう。次はアリナの番だ」


「うん」


 俺はアリナと入れ替わりで席に座る。アリナが運んできた料理は日本にいたころによく見たものだった。


「それはポテサラ!?俺アリナにレシピ教えたっけ?」


 俺の好きなポテトサラダが目の前にあるのだ。


「一回作ってくれたから再現したんだよ」


「そんな事ができるのか。アリナの舌はすごいな」


 俺たちの国ではあまりじゃがいもが流通していなかったから一回しか作れなかったのによく覚えていたな。


「ソウヤが前に好きって言っていたから頑張って思い出したよ」


 そうだったっけ?作った時にでも言ったかな。


「ありがとう、アリナ。それじゃあ食べよっか」


「うん。食べよう」


 お決まりの二人で同時に食べ始める。


「美味しいよ、このスープ」


「ポテサラだって美味しい」


 ステーキも美味しいのだが自分よりも相手を褒めたい性格をしているため、相手の料理を褒めまくった。

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