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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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エンゲ戦 開始

 俺も頑張れば準決勝まで来れるんだな。


 ーーーーーー、ーーーーーーーーー


 何の前触れもなく頭の中で音が響きだした。はっきりとどういう音なのかは分からないが、人の声に近く、俺を責め立てているようだ。


 俺は首に下げている袋を開けて中身を確認するが指輪しか入っていない。


 俺が持っていた棍は俺の手から滑り落ちて地面を転がり、俺は壁に背中を付けて座り込む。俺は耳を押さえてから眼も閉じて回りをシャットアウトしようとしても音は響くのは収まらない。


 頭も痛みだして吐き気も出てきた。


 そのまま何分経過したか分からない。


 いくら経っても収まらずに座り込み続けると俺は誰かに抱き寄せられる。俺は驚いてゆっくりと眼を開けると俺に抱きついている人の服に見覚えがあった。


 俺は両耳から手を離す。


「アリナ?」


「どうしたの?何かあったの?」


 声の主は確かにアリナだったがアリナに話せば心配されるので何も話さないが、今の俺は近くにアリナが居てくれなくてはつらい。


「そのままでいてくれ」


 俺もアリナに抱きつくが、俺の手はかなり震えていた。


「大丈夫だよ。側にいるから安心していいよ」


 俺の手の震えはアリナにも伝わったようで俺に声をかけてくれて俺の頭を撫でてくれる。しばらくそのままの体勢でいると俺の手の震えも収まってきた。


「もう大丈夫だ」


 そういうとアリナは俺に抱きつくのを止めて俺の顔を覗き込んでいる。


「本当に大丈夫?」


「大丈夫だ。もう収まった」


 俺は立ち上がって洗面所まで移動して水を顔にかけて自分を落ち着かせる。落ち着いたなと思えたところでアリナのもとに戻った。


「何でアリナがここに?」


「治ったみたいだね。やっぱり朝御飯の塩と砂糖を間違えたと思ったから謝ろうと思って」


「間違えていない」


 俺はこの嘘を突き通さなければいけない。


「本当?でもやっぱりソウヤの嘘だよね。結構一緒にいるんだから」


 何でばれた?分からないがアリナの勘違いということにしよう。


「そんなことない。凄く美味しかった」


「ごめんね、ソウヤ。次からは気を付けるし、今度お詫びをするよ」


 もう信じてくれないようだ。もし、これで俺が嘘を吐いていなかったらどうするんだ。吐いているから、いいのだがな。


「いや美味しかったし、しなくていい。すまないが、もう試合だから行ってくる」


「必ずお詫びはするよ。後何かあったら必ず頼ってね」


「ああ、勿論そうするが、お詫びは本当にしなくていい」


 そう言ってから俺は控え室を出て橋の方まで移動する。さっきの俺の症状を見て頼ってと言っているのだろうが、今回なったのは偶々だからまた出ることはほぼ無い。


 なので問題は無いのだが今回は何であの症状が出たのか分からないし、何で未然に防げなかったのかという自分に疑問を持っている。もとの世界だったら探ることは可能だったかもしれないが、原因を調べることは叶わない。


 今は目の前の試合にだけ集中して頑張らなければいけないのを橋が降り始めて思い出した。


 生半可な気持ちでいけば簡単に負けるような場に行くのだから、気を引き締め直そうと思い深呼吸をする。


 一端、呼吸を整えたところで橋を渡ってフィールドに入った。エンゲはすでに中央にいるが、余裕を見せるためにあえてゆっくりと中央まで移動していく。


 移動している間に戦う気持ちを固めて、中央につくころには固めきった。


 俺が立ち止まってエンゲの方を向いたところでエンゲの口が開かれる。


「昨日の試合見ましたよ」


「ありがとうございます」


 ありがとうございますなのか?昨日の試合で俺は負けているぞ。


「昨日の試合で使っていた式神降霊術はどのくらいもつんですか?」


「それを教えるほど自分は馬鹿じゃないんですよ」


 急に情報を引き出そうとしてきたな。


「なら三分は持ちますか?」


 俺の利点は言ってもいいかな?


「たぶん持ちます」


「そうですか。それならば勝負時間は五分。その間に私が勝てなければ私の負けという条件でどうでしょうか?」


 かなりの好条件。


「何故そんなことを提案するんですか?」


「時間が勿体無いので」


 俺との戦闘に割く時間は勿体無いというわけか。


「なるほど。その条件で戦いましょう」


 俺も早く終われば嬉しいかな。


『それでは準備が整いましたようですので、試合を始めましょう。それではReady Fight!』


 俺は魔力を温存するためにも試合開始直後は式神降霊術を発動せずにエンゲの動きを見ようとしていたのだが、俺は瞬時に式神降霊術を発動して後ろに飛び退く。


 エンゲの足が俺の鼻を掠めたが何とか避けた。


 エンゲは魔法主体で戦うものだと思っていたのに、試合開始直後にエンゲは接近してきて蹴りを繰り出してきたのだ。かなり驚いている。今ので俺はかなり余裕を削がれた。


 次に休む暇も無いくらい連続して魔法が飛んできて、後ろに跳んで避け続けて距離を取り続けていく。炎系の魔法や水系の魔法とか色々な魔法が飛んでくるが吸収できない。


 やはり魔方陣も自分の魔力で作っているようだ。


 全ての魔法を避けてきってエンゲの方を見ると霧が発生している。また霧か。霧なら俺の方に届くまでは仕掛けてこないはずだから楽でいいな。


 霧が到着次第煙幕を晴らさなければいけない面倒くささがあるが、それでも大きな利点がある。俺は霧の動きをよく見て速度とか拡がり方を確認する。


 変化がある場合はエンゲが霧を自在に操れる可能性が高くなってしまうのだが、今のところ変化無し。これなら待つだけでいいな。


 そう思って待ちに徹していたのだが、途中で霧の流れが変化して霧は俺の周囲に立ち込める。これはまずい。今の内に晴らさなければ間に合わなくなるかも。


 俺は棍に魔力を込めて振ろうと構えた。すると魔法が霧の中から飛んできて、振ろうとした棍を下げて急いで体を反って避ける。


 危なかったがこれでエンゲの位置が分かった。流石にもう移動しているかもしれないが、一応魔力弾を撃つ。


 案の定魔力弾は当たらなかったが魔力弾が通ったところがぽっかり空いて壁が見える。このフィールド全体が霧に覆われているのか。


 飛べたら良かったんだが、できない俺は確実に霧に包まれる。どうしたものか、霧を晴らそうとしても邪魔されるし。


 狙ってくるならそれを利用すればいいか。


 霧は魔力感知が届かないから霧ぎりぎりまで魔力感知を使った状態で再び棍に魔力を込める。すると後方から魔法が飛んできたので振り向きながら途中で魔力を放って一閃。


 霧は少しだけ晴れたが当たっていなさそう。どこにいるんだ。


 もう足場でもぶっ壊して何とかなんないか。


 俺は思いっきり地面を踏みつけると地面に罅が入って地面が凹んだ。土埃が酷いが土埃に混ぜて魔力を展開しておけば多少は目くらましにはなるだろう。


 残り一分半ぐらいか?まだ魔力もあるし仕掛けるべきかもしれない。


 俺は足に魔力を込めて、地面を抉りながら一気に飛び上がる。


 気づいたら十メートルぐらいの高さに来ていて、もう霧に包まれていなかった。ちょっと飛び過ぎたかもしれない。それでもエンゲがどこにいるか分からないとは上手く隠れている。


 俺は無差別に魔力弾を地面に向かって撃ちまくると、霧が少しずつ晴れていくが、エンゲには当たらない。あいつは魔力がもの凄く見えているのか?それなら勝つ方法は無いだろう。


 時間制限まで耐えることが勝つ最善の方法か。


 俺の落下が始まったところで魔法が色んな方向から飛んでくる。


 俺は魔力弾で打ち消しながら下りようとするが、一発だけ魔力弾が魔法の横を通ってしまい魔法を撃ち消せなかった。そのまま俺の横っ腹に風魔法が炸裂して俺は地面に一気に落とされたが、急いで地面に魔力を放って衝撃を抑える。


 痛い痛い痛い


 横っ腹を見ると服が破れて出血している。何でこんな痛い思いしながら戦わなくてはいけないんだ。リタイアしようかな。


 そう思って口を開こうとすると、霧の中からエンゲが出てくる。傷を気にしている間に霧が近くまで来ていたみたいだ。

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