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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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試合の翌朝

 俺はずっとうつ伏せで寝ていたようでちょっと鼻が痛い。


「おはよう、ソウヤ」


「おはよう」


 アリナの声が上から聞こえてくる。


 俺の寝相が悪すぎてベッドの下の方まで移動して来てしまったのか?と思って上をみると、その光景によって瞬時に目が覚めて状況を理解できた。


 俺は急いで横に転がって状況を再び確認する。


 何故?何でああなった?


「状況が飲み込めない。何で俺はアリナの上で寝ていた?」


「昨日の夜に疲れたソウヤがベッドの前で気絶したみたいになってね、どうしたのかなと思ったら私ごとベッドに倒れこんでそのまま朝になった感じ」


 いや分からない。分かってはいるが分からない、状況は理解できたが、そんな奇跡みたいなことが起きたのがわけわからない。


「俺をどかせばよかったのに」


「どかして起きたらどうすんの?」


 どうすんの?と俺に言われても答えようが無い。


「よく分かんないけどありがとう」


 アリナの顔を今一度見ると若干隈があるのか?これは隈だろう。


「ずっと起きていたのか?大丈夫か?」


 規則正しい生活を送っていたアリナには堪えただろうな。


「全然大丈夫、全然大丈夫だから~」


 アリナが起き上がってキッチンに行く足取りは問題ないが、さっきの返答が酔っぱらいか深夜テンションとかのヤバめな返答だった。


 アリナが包丁を持ったら心配で魔力感知を使い、いざという時は守ろうと思って、見ていたが問題なく普通に上手に切っている。本当に大丈夫なのかも、とちょっと安心してテーブルについて待つことにした。


 無事にアリナは怪我することなく、アリナは料理を持ってきて良かったと、思って運ばれてきた美味しそうな目玉焼きをみると違和感がある。


塩がかかっているんだなと思ったがこれ砂糖だと思う。結晶の感じが砂糖なんだがな。少なくとも俺が知っている塩の結晶じゃない。


 アリナが自分の分を運んでこっちを見ていないうちに、俺は目玉焼きを一口食べてみた。やはり、甘い。


「先に食べ始めないでよ」


「すまない。お腹空いてて」


 戻ってきたアリナに言い訳するが不味いな。不味いのはアリナの料理じゃなくて現状なんだが、塩と砂糖を間違える今のアリナでも食べたら分かってしまうだろう。


 それは何とかして防ぎたい。


「アリナ、お腹空いているからアリナの分も欲しい。アリナの分は俺が作るから」


「自分の分を作ればいいじゃん」


 確かにそうなんだけど今は違うんだよ、分かってくれ。真意を分かってもらったら困るけど。


「アリナの料理が食べたいんだ」


「それならいいけど」


「ありがとう」


 俺は急いでアリナの前の皿を全て回収して俺の皿に頑張って盛り付ける。


 今のアリナなら間違って食べかねない。


「ちょっと待っていてくれ。すぐ作るから」


 俺はちゃちゃっとスクランブルエッグとサラダを作ってアリナの皿に盛り付けた。皿は念のため、ばれないようにレタスで拭って、レタスは食べておいた。


「はい、アリナ」


「ありがとう」


 俺とアリナはいつも通り同時に食べ始めたんだが、俺の料理は二人分あるわけで当然アリナの方が先に食べ終わる。


「手伝う?」


 優しさは嬉しいが、今はその優しさは要らないんだ。


「お腹空いているから食べたいんだ」


 お腹空いているわりに食べるのが遅いから聞かれているんだろうに、変な答えを返している。砂糖さえなければ上手いんだけどどうにかならんかな?


 舌の場所によって感じる味が違うみたいなのは否定されたんだっけ?今のままだと絶妙に不味い。砂糖以外は上手いから砂糖を感じた時だけ不味くなってしまうのだが、パンは救いだな。


 パンは変わらぬ美味しさ。


 パンばかりを食べていては連続して砂糖が来るから救いに浸り続けてはいけない。


 アリナがこんなミスしたのも俺のせいだから、俺が責任を持って対処しなければいけない問題なのだ。今日アリナがケーキを作っていたりしていたら塩味のケーキが出来ていたのだろうな、無いことは確認してあるから問題ない。


 俺はそれなりに頑張って完食してアリナの方を見ると、アリナはすやすや寝ていた。さっきからうとうとしていたし当然だな。


 俺はアリナをお姫様抱っこしてベッドに寝かせる。


 ごめんな、アリナ。


 俺がアリナの上で寝なければアリナが睡魔と戦うことは無かったし、甘党の俺が砂糖と戦うことにはならなかった。今後は寝る場所に気を付けようと反省しながら静かに皿を洗う。


 アリナがあんな初歩的なミスをするとは意外すぎたな、塩と砂糖を間違えるという料理をやったことが無い人みたいなことをするなんて。


 今思い出せば普通に料理するのを許されたしアリナの頭が回らなすぎている。


 俺は今日の午後にエンゲと戦わなければいけないから昼には起きて俺の試合を見て欲しいけど起きなくても仕方ない。


 皿を洗い終わって手を洗った俺はとりあえずアリナの様子を見に行ったがぐっすりと寝ている。ベッドに寝かせたままで布団をかけていなかった。


 今日は冷えているわけでもないが、かけておいた方がいいな。


 俺はアリナに布団をかけて立ち去ろうとしたが、アリナがめっちゃ布団を掴んでいる。どうしたんだろうか?怖い夢でも見ているのか?


 俺は再びアリナの近くに行って、アリナの頭を撫でる。


 するとだんだんアリナの布団を掴む手が緩んできたので、頭を撫でながらそっと布団をアリナの手から取ってアリナにかけ直した。


 その後も少しの間アリナの頭を撫でてアリナが布団を掴んでいないのを確認する。それを見て安心した俺は忍び足で寝室から抜け出す。


 今度抱き枕でもあげるべきだろうか?抱き枕なんて買ったこと無いから分からないな。アリナの場合は抱き締めるというより掴むから抱き枕では駄目で、対処法は無いかもしれない。


 悪夢を見せないようにするべきか。


 インターネットが有ったら、『悪夢を見ない方法』って調べて出来る限り然り気無くアリナに教えるのに。異世界に来たからアリナに会えたのに異世界に来たことが惜しい。


 インターネットが無くても睡眠についての本でも探して読めばいいか、家に帰ったら図書館に行こう。


 やっぱり異世界だな、アリナがいる異世界が一番。


 まだ早いのに俺は意気揚々と昼御飯の準備に勤しみ、終わったときにようやくまだ早いことに気がついた。あれ、頭可笑しくなってきたか?


 早くにやり過ぎてやることが一切無くなった。


 リビングの椅子を一つ拝借して、アリナが寝ている横に置いて座る。アリナを眺めて暇を潰すか


 とりあえずアリナの状態を確認する。


 布団は掴んでいないし、汗もかいていない、後は何かあるかな?分からない。


 今日も相変わらず可愛いな、とりあえずアリナの顔を眺めて一旦忘れる。アリナの顔が美人じゃなくても今の俺には美人に見えるのだろうな。


 恋は盲目って言うけど実際、前はこんな頻繁に可愛いなんて思わなかったからな。美人だとは思っていたが可愛いと思ったのはアリナが顔を赤らめた時ぐらいだったし今の俺は盲目なのかもしれない。


 アリナのことを好きなまま盲目じゃなくする方法は何かないものだろうか?盲目なままでいるとアリナの気持ちの変化とかを見逃すかもしれない。髪切ったとかを見逃す気はないが。


 常にアリナの行動一つ一つに気を配るのも疲れるし、アリナと話をする時だけ全力でアリナの変化を探すのが一番な気がする。それよりもアリナにおはようって言う方が大事だな。


 それから一時間ほど経ったときにアリナの瞼がゆっくりと持ち上がる。


 目を開けたアリナは体を起こして、周囲を見回す。


「あれ?私テーブルに居なかった?夢?」


「夢じゃない。テーブルでアリナが寝たから、ベッドまで運んだんだ」


 アリナに最初に質問されたから忘れていた。


「おはよう、アリナ」


「おはよう、ソウヤ」


 俺たちはまた挨拶を交わして日常を過ごしていく。

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