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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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本選前

「師匠、隣いいですか?」


「ああ、勿論だ」


 師匠の隣に座ってフィールドの方を見る。まだ始まってはいないが、すでに両者は向き合っていて、開始の合図を待っている状態だ。


「さっきの試合どうでしたか?」


 もしかしたら師匠なら見えていたのではないかという期待を込めて聞いてみた。


「いい試合だったと思う。式神を置いたのはいい判断だった。私なら一回で霧を払って攻撃だな」


 それが出来たら苦労しない。あの霧の中を見通せる師匠の戦い方など俺に真似できる訳がないだろう。そもそも師匠なら最初の攻撃をカウンターして終わりだったか。


「あの人のことは聞かなくていいの?」


「名前は何ていうんだ?」


「確か―――」


「それでは始めましょう。ガサス選手対ドーマ・テーカン選手。Ready Fight!」


 煩いな、アリナの声が聞こえなかっただろうが。


「もう一回言って」


「ゼレック・ルマーダだよ」


 あのデブは名字もあるのか。この世界では個々の判別に名前を使わなくても魔力で判別できるから名字が無い家もある。だが貴族は大抵あって、何々家の何々と呼んだりする伝統があるからみたいだ。


 ということでデブは貴族かもしれない。


 王族も名字はあるが王族は戦ったりしないだろうからないな。


「師匠、Eブロックのゼレック・ルマーダという男はどんな感じですか?」


「あれは力で押すタイプの戦い方だから見れば分かる」


 それなら試合を見た後で師匠と情報の擦り合わせをすればいいか。力で押すタイプのやつが相手なら力で戦う必要はない。搦め手やカウンター重視で戦った方がいいのだろうが、どのくらい力で押すのかによるな。


 力が強すぎたりしたら、カウンターをしようとして失敗するなんてことになりかねない。


 しっかりと自分の目で確認しなきゃ負ける。


 具体的な搦め手を考えながらデブの試合を待っているとドーマ・テーカンが勝ったようだ。余り試合を見れていなかったがドーマ・テーカンが魔法をメインにして戦うのだけは分かったからよしとしよう。


 魔法相手はある程度楽に戦えるから気にしなくていい。


 デブは次の試合に出るようだ。次はちゃんと試合を見なければいけない。


 デブはハルバードを持ってフィールドを歩いている。


「ゼレック・ルマーダ選手対ナルタ選手。Ready Fight!」


 始まった瞬間にデブは駆け出して、ハルバードを振りかぶる。そのままナルタをものすごいスピードで殴った。


 殴ったというのはこの大会で殺してしまっては失格になるので、魔力で刃を覆っていて斬ることは出来ないようにしているから、斬るではなく殴るだ。


 それができないような奴など、この大会で勝てる実力などありやしない。


 ハルバードで殴られたナルタは吹っ飛んでいき壁に激突する。気絶したのかそのまま落下して水に落ちた。


 ハルバードの速度が異常に速かったのはデブの体重移動の上手さからきているのだろう。分かったのは体重移動が上手いのとハルバードを使うことだけだ。


「流石に終わるのが早すぎませんでしたか?」


「早かったな。少しだけ説明をしよう。ゼレック・ルマーダは魔法は身体強化の魔法だけ。武器はハルバード以外は使わない」


 そうなのか。


「ありがとうございます。それでは俺は帰ります」


 俺は立ち上がってホテルまで戻る。


「ソウヤは最後の試合を見なくていいの?次もブレイダお姉ちゃんに聞くの?」


「戦うことになるのなら聞きに行くのだが、まあ無いだろう」


 俺は一回戦目でデブと戦って、エンゲとタナトスが戦っても師匠とオーウェンが戦うことはないから準決勝に上がるのは師匠とオーウェンとタナトスだろうからな。


 師匠とオーウェンは同じブロックのため一回戦では戦えないようにルール上なっている。よって準決勝は知っている人しか上がってこないだろう。


「それならいいのかな?でも、部屋に戻って何するの?」


「試合の準備をするつもりだ。ゼレック・ルマーダの対策でも考えたいのだが、手伝ってくれるか?」


「出来るか分からないけど頑張って考えるよ」


 アリナは戦闘経験が少ないから難しいと思っているだろうが、だからこそ思い付くこともあるだろう。


「さっさと戻って考えようか」


「そうだね」


 二人でしばらく考えてそれなりに案が出てきた。


「よし、これで明日は問題ないな。それじゃあ寝る」

――――――――――――――――

「起きて、ソウヤ起きて」


「もう少し寝たいのだが」


「もう時間だから駄目だよ、起きて」


 起きなきゃ駄目か。


 重い体を起こすと近くで四つん這いになっているアリナと目が合う。起こし方が声をかけるだけではないという事はすでにそれなりの時間が経っているのだろう。


「おはよう、アリナ」


「おはよう、ソウヤ」


「起こしてくれてありがとう」


 俺はアリナに軽く感謝を述べてから、ベッドから下りて、テーブルにつく。


「朝食を食べたらすぐにコロシアムに行かなきゃ間に合わないよ」


 今日は本選のリーグ表決めがあるからいつもの試合時間より早く行かなければいけないのだったすっかり忘れていた。


「鎖帷子を着るのに少し時間がかかるんだ。コロシアムまで持ってきてくれないか」


「分かったよ」


 最初の試合に当たってしまえば着替える時間などない。そうならなければいいのだが。


 俺はささっと朝食を食べてから着替えて部屋を出る。


「俺はもう行く」


「いってらっしゃい」


 それなりに時間が押しているようなので俺は走ってコロシアムまで向かう。コロシアムまで着いたら控え室を抜けて、橋が下りる前の入り口に着いた。


 入り口にはタナトス、ドーマ・テーカン、そしてデブがいる。


「遅かったね、ソウヤさん」


「少々寝坊した」


「そのまま気が緩んでいたら一撃で終わってしまうぞ」


 黙れデブ。


「このリーグ表決めは意味があるのか?タナトス」


「表面上はね」


 タナトスはすでに決めたのだろうか?それなら本当に意味がない。


「それでは本選出場者の皆様の入場です」


 その声と同時に橋が下りたので、その橋を渡ってフィールドに入る。俺から見て正面斜め上の壁にはでかでかと本選出場者の名前が張り出されている。


 反対側の入り口からは師匠、オーウェン、エンゲとEブロックで勝ったデブじゃない方の人が出てきた。そのまま全員が中央まで来たところで司会が喋り始める。


「それでは皆様、一回戦で戦いたい相手の名前を書いて投票箱にいれてください」


 中央に投票箱とその横に紙とペンが置いてある。紙とペンを取ってゼレック・ルマーダと書いて投票箱にいれた。本選出場者の名前が、張り出されていなかったら危なかった。


 後は上手くやってくれよ、タナトス。


「全員の投票が終わりました。後程リーグ表を発表します」


 周りが解散を始めたところで、俺はすぐに戻って控え室を抜けると、控え室の入り口にアリナがいた。


「これ鎖帷子」


 ちゃんと袋に入れてある。


「ありがとう。それじゃあ」


「うん。頑張って」


 俺は袋を受け取ってトイレの個室にまで行く。ここのトイレにもスピーカーがあるので、リーグ表の発表を聞くことが可能だ。


 俺は上の服を脱いで、鎖帷子を着る準備をするのだがそこでリーグ表の発表が行われる。


「第一試合ソウヤ選手対ゼレック・ルマーダ選手。第二試合ブレイダ・ペンテシレイア選手対イラト選手。第三試合タナトス選手対オーウェン選手。第四試合エンゲ選手対ドーマ・テーカン選手」


 タナトスは準決勝でエンゲと戦うのか。第一試合が俺ということなら鎖帷子を着ている暇はない。


 俺は鎖帷子を着るのを諦めて、急いで上の服を着てトイレから出る。


「着れた?」


 アリナはまだ同じ場所にいた。


「すまない、着れなかった。持っているかホテルに戻してくれ」


 鎖帷子を入れた袋をアリナに渡して急いで入り口まで移動する。


「それでは第一試合開門です」


 司会がそう言うと橋が下りて、フィールドに移動する。俺がフィールドの中央まで来ているというのに、まだ反対側でデブが歩いている。


 デブはハルバードを担いでいて、横にも縦にもでかく見えるが、横は本当にでかいな。

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