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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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それぞれの役割(不満有り)

 考え事を少ししてから眠りにつくことにしたのだが、寝室のドアを開ければ当然アリナがベッドで寝ている。同じベッドで寝ることにまだ慣れていない。


 まだといっても同居約二年半で、添い寝した回数は二回のみ。一緒にいる時間が長いだけで恋人らしいことをしたことは、ほとんどない。


 アリナが俺のことをどう思っているのか分からないし、俺はどうすればいいんだ?ソファーで寝るのが正解だよな?だが昨日は一緒に寝たんだよな、アリナに薦められて。


 なら一緒に寝るべきなのか?


 俺はどうすればいいんだよ、教えてくれアリナ。寝ているアリナに向かって声に出すわけにはいかないので、心の中で聞く。


 すると心の中に二人のアリナが現れて、「折角何だし一緒に寝よう」「一緒に寝るのはちょっと・・・。ソウヤはソファーで寝て」と交互に言ってくる。


 結局どっちにすればいいか分からないまま時間だけが過ぎていく。


 もう眠いから、良質な睡眠のためにベッドで寝なきゃ。心のなかで言い訳を言いながらアリナの隣に横になる。


 俺の方を向いているアリナの顔にかかっている髪をそっとアリナの耳にかけておく。


 今日も綺麗な顔立ちをしているな。


 眠くなっていた俺はすぐに眠りについた。

――――――――

 何かが顔に当たっている感覚がして起きた。そーっと目を開くと斜め上にいるアリナが俺の顔を覗き込んでいる。


 俺は俺の顔に当たっているアリナの髪をよけてから起き上がった。


「おはよう、アリナ」


「おはよう」


 普通に挨拶をしたけど、何で俺の顔を覗き込んでいたんだ?


「何をしていたんだ?」


「ソウヤの性格的にソファーで寝ると思っていたけど隣で寝ていたからどういう心境の変化かな?って考えていたの」


「ソファーで寝ようかと思ったが、一昨日アリナに薦められて一緒に寝たから今回ももそうした方がいいかと思って」


 あくまでアリナが一昨日言ったからだということにする。


「そういえば一昨日そんなことを言ったような気がする」


 一昨日のことなのにすでに記憶が曖昧になっている。俺にとっては印象に強かったから俺は記憶に残っているだけかもしれない。


「私はご飯作ってくるよ」


 唐突だな。


「そろそろ俺も作ろう」


「ソウヤは休んでいてよ」


 断られた。手伝わせて欲しい、アリナにばかり負担をかけたくない。俺はどうすれば、どうするのがいいんだ?


 素直にアリナの言うことを聞くべきか、聞かずに料理するべきか。聞かずに料理をするといっても、無理矢理代わるのは無理があるからやり方がない。


 可能不可能で言えば素直にアリナの言うことを聞くしかないのだが、アリナの手伝いをしたいのだ。


「アリナ、俺も手伝う」


「だから休んでいてって」


「それでも手伝う」


「だから駄目だって。明日本番なんだから休んでね」


 無理だった。無理矢理座らされて、アリナは台所に消える。ちょっと懐かしき圧を感じたため、諦めざるをえない。


 ここ数日、俺は一切家事をしていないので、アリナに負担をかけてばかりでいるのは心が痛む。なのでそろそろアリナの代わりになりたい、最低でも手伝いをしたい。


 なのだが、アリナが手伝いをさせてくれない。等と考えているとアリナが料理を持ってくる。


「しっかり待っていて偉い」


 そのくらい俺にだってできるさ。


「俺の脳は犬よりも大きいのだから当然だ」


「そうだね。でも序列戦期間中ずっと手伝おうとせずにできるかな?」


「それはできるか分からない」


 あと一週間近くもアリナに任せっきりにするのはきつい。


「それよりもアーサーはいつこちらに来るんだ?」


「あと一時間ぐらいで来るよ」


 あとちょっとか。


「「いただきます」」


 情報を得たところでご飯を食べ始める。相も変わらず美味しいな。このレベルの料理を毎食作る苦労は半端じゃないだろう。


 アリナの手伝いになりたい。


 序列戦で体力を消費せずに、アリナに一切の疲れを見せなければアリナは手伝いを許してくれるだろう。


 何かどんどんクリア難易度が上がっている。


 相手がそもそも強いのに体力を消費してはいけないという鬼畜難易度。


 初戦のバトルロワイアルは成るべく動かずに生き残ることに専念していけばいい。バトルロワイアルの会場の広さは昨日確認した限りだとかなりの広さになっている。


 隠れながら漁夫の利を狙い、確実に数を減らしていくのが妥当。


 体力の消費は少なくてすむはずだ。


 これならアリナの手伝いをすることができる。待っていろ、アリナ。絶対に負担を減らしてやるからな。


 一人で宣戦布告をした気分になっているまま、やる気を出して朝ご飯を一気に食べ進めて食べ終えた。


「それじゃあ、そろそろアーサーを迎えに行こうか」


「了解」


 アーサーは序列戦に参加しない。何故参加しないのだろうか?アーサーはかなり強い。


 何度か模擬戦をしてもらって、勝率は7:3ぐらいで勝っているが、模擬戦は全て寸止めでやった。


 アーサーはおそらく無意識のうちに寸止めの時は剣の速度を遅くしている。アーサーの素振りの速度と模擬戦の時の速度で比べると模擬戦の時の方が遅く見える。


 距離の関係もあるかもしれないが、それでも遅いと思う。


 剣の速度がいつも通りなら勝率は5:5か4:6ぐらいまで下がるはずだ。十分、負け越す可能性がある。もっとかもしれないな。


 そういうわけで、アーサーは俺に比べれば十分強いのだが、序列戦に一緒に出ようぜと誘うと何故か必ず断る。


 考えるよりも本人に答えを聞くのが手っ取り早い、どうせこれから会うのだからな。


 俺たちは支度を整えて、港まで移動してきた。


 まだ船は到着していないようだ。


「船見える?」


 アリナが頑張って見ようとしているが、頑張っても変わらないと思う。俺も海を見るが多少霧がかかっていてよく見えない。


「俺からは見えないぞ」


「ソウヤもか~」


 ちょっと落胆している。


「直ぐに来るだろう」


「もうちょっと遅く来ていればソウヤを待たせなくてよかったのに」


 俺のためだったのか。


「気にするな。試合があっても俺に気を使う必要はない」


 今回の件以外でも改善されるように言っておく。


「疲れない環境作りが今の私の役目だよ」


「それでアリナに疲れてほしくない。だからやらなくていい」


 アリナが分かってくれない。手元に検索できる機械があれば、俺はすぐに『友達 話 聞いてくれない』で調べていただろう。


 だが当然持っていない。持っていたとしても電波が届かないから無意味だったがな。


「あ、船来たぞ」


 海を見ていると、船の先端が霧の中からでてきた。


「本当!?」


 話題は上手いことすり変わったようだな。あの話を続けていても埒が明かなそうだったので話題を変えることが出来て良かった。


 ゆっくりと船の全体像が見えてくる。


「見えたよ。あれにアーサーは乗っているの」


 それは話の流れから分かっている。伝えたくなる気持ちはよく分かるがな。


 少しすれば船は港につき橋がかけられた。すると、大量の人が船の廊下に出てきて人で溢れかえっている。


「これじゃあ、アーサーを見つけるのは難しそうだな」


「そうだね。さすがに人が多すぎるね」


 アーサーに今日中に会えるといいのだが。人数的に厳しそうだ。


「俺は受け付けに流れる列を見るから、船から下りてくる列と受け付けにいかなかった人を頼む。見つけたらアーサーとここに来る」


「分かったよ」


 橋の幅的に橋から下りてくる列の方が本数が少なく、受け付けにいかない人などほぼいないから、一人で二つ見ることは可能なはずだ。


 俺は受け付けに通じる道の方まで少しばかり移動する。待っていると四列ぐらいに並んで人が歩いてくる。


 ちょっと多すぎるな。


 アーサーの身長はだいたい分かるので、その身長に合う人の顔だけを確認していく。俺が列を頑張って十分ほど見ていると声をかけられた。


「ソウヤ」


「何だ?アリナ」


 アリナの声だったので返事をして振り向くとアーサーもいた。

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