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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-2章 序列戦
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上陸

「それじゃあ、俺は受付の列に並んでくるよ」


「私は部屋を予約しておくね」


「分かった。入り口集合で」


「うん」


 軽く打ち合わせをして別れる。


 受け付けの前には長蛇の列が出来ていて受け付けまでかなりの時間を要しそうだ。


 俺は待つのは苦手じゃない。気長に待つとするか、魔力の使い方でも考えながらでも。


 師匠との勝負の肝になるのは遠距離戦。遠距離技を持ち合わせていない師匠に遠距離戦をしかけていかに体力、魔力を削るかが勝負の鍵になる。


 遠距離技でダメージを負わせるのは不可能に近いからダメージは考えない。弾を大きくして威力を上げる一撃よりは小さく速い弾を多く撃つ方がいいだろう。


それで師匠が防御に徹すれば剣よりも近い格闘の間合いに入ることができる。


師匠は格闘術は知らないから常に最適な防御を考え反撃の隙を窺いながら、防御をしなくてはいけない。その思考の隙を活かせれば十分勝機はある。


「ソウヤ、ソウヤの分も受け付け済ませておいたぞ」


 いつのまにか師匠が隣に立っていて、番号が書いてあるスカーフを差し出している。


 それを受け取って、

「これは何ですか?」

 と質問する。


「出場者を識別するためのスカーフだから、番号が見えるようにつけておけ。中に魔石が入っていて識別できるようになっているが、念のためだ。もしなくしたら受け付けで名前、番号、魔力を照合して合っていれば新しいスカーフをもらえる」


 スカーフを腕に巻くと、魔力を吸われた。懐かしい感覚。最近は魔石を触っていなかったから魔力を吸われることなんてほとんど無かった。


 だが、こんなにも軽い魔石は今まで持ったことがない。


「部屋も用意しておいた」


「アリナ、部屋を取りに行っちゃいましたよ」


「それなら早く止めに行かなくては」


 俺たちは地球での世界記録など裕に越えてしまえる程に速く走れるので部屋の受け付け所まではすぐに着いた。


 アリナはすでに列の前の方まで進んではいたが、まだ終わっていないようだ。


「アリナ、師匠が部屋を用意してくれたって」


「本当!?」


 アリナは驚きながらもすぐに列から抜けたので二人で師匠と合流する。


「すまない。先に言っておくべきだった」


「気にしないで、ブレイダお姉ちゃん」


「これ鍵だ」


 鍵は一つ。また相部屋何ですか。


「疲れた時はアリナに任せられるだろう」


 今回はちゃんと理由があるんだな、納得。


「そうですね。疲れた時はアリナを頼るようにします」


「そうするといい。では私はこれで」


 アリナの話なのに会話にアリナが加わっていない。それと、師匠は毎回自分のタイミングで立ち去る。


 師匠はかなりの自由人だ。


「部屋にいってみるか。またダブルベッドだったりして」


「ブレイダお姉ちゃんならあり得るね。そうなったら部屋を代えてもらう?」


 これは俺のために聞いているのか、それとも自分が嫌だから聞いているのかどっちなんだ。アリナに判断を委ねると嫌だとしても断ったら俺が傷付くかも何て考えて、断らないだろう。


「俺は構わないがアリナはどうしたい?アリナが一人でゆっくり一人で寝たいというなら全然構わないが」


 言い訳を提示しておけば少しは断りやすいだろう。


「ソウヤがいいなら代えなくていい」


 でしょうね。アリナなら俺のために言ってくれているのは分かっていたさ。確認で聞いただけ。


 俺のこと嫌なのかもしれないなんて全然思っていない。思っていなければアリナの質問の意図など考えるまでもなく分かる。


「そうか。なら部屋に行こうか」


「うん」


 部屋に来たのだが、やはりダブルベッドだった。


 師匠は俺がアリナに手を出さないと信じてのダブルベッドなのか俺の忍耐力を鍛えさせようと思ってのダブルベッドなのかどっちなんだ。


 アリナの嫌がることは俺は絶対にしないから問題はないが、意図が分からない。


 意図の分からないダブルベッドの部屋は船の部屋よりは狭いが、それでも十分な広さがある。


 地図を確認したがこの階層の部屋の広さは全て同じ。


 おそらく元々はいくつかの階層ごとに部屋の広さを広くして、パーティーなどの複数人が住める部屋にしたのだろう。


 それがいまじゃダブルベッドが置かれたり広い部屋を一人用に使われているなどビジネスに利用されているわけだ。その結果この宿泊施設だけが決戦島らしくない。


 その部屋の隅に荷物を置く。


「俺は武器を借りにいってくるよ」


「いってらっしゃい」


 いい武器が見つかるかな、見つかるとかなり優位にたてる。武器庫まで一分ぐらいで来れたが、かなりの大きさだった。


 豪邸かと思うほどにでかい。


 でかい扉が開いたままなのでそこから武器庫に入ったのだが、中にはいくつもの部屋があり、部屋の前には武器や防具の名前が書かれた立て札がある。


 その中から棍を探して部屋に入ったのだがさほど広くない。


 剣の部屋は家一つ分ぐらいの広さだったが、棍の部屋は部屋二つ分ぐらい。これなら見つけるのが簡単そうだ。


 [魂]を使って棍に魂がないか確認しているとひとつの棍に魂があった。それ以外の棍には魂が見つけられなかったので、これを選ぶ。


 あとは防具を選ぶか。


 重い防具をする気はないが鎖帷子は身に付けておいた方がいいだろう。それと小手だ。


 この棍には鍔がついていないので鍔迫り合いになろうものなら俺の指が切れる。なので俺の指の保護のために小手がいるのだ。


 魂を見るのは目が疲れるので小手を選ぶ時はスキルを使わずに指を守れるか、重すぎないか、サイズを確認してから良いものがあったら魂を確認するという行程を踏んで目が疲れにくくする。


 そうして棍、鎖帷子、小手を選んで倉庫の扉の横で椅子に座っている受付に見せた。すると受付はスカーフの番号を確認して紙に記入する。


 名前の下に空白の場所があり、そこに借りたものの種類を書いていた。


「序列戦最終日が返却期限ですので、お忘れなきよう」


 書かれた紙の写しを渡されたのでそれを受け取ってその場を離れる。 これで試合の準備は完了した。


 後はもう二日後の序列戦に向けて英気を養うのみ、という言い方をすればかっこいいが暇なのだ。


 アーサーは出場はしないが見に来るそうだが、到着はまだらしい。


 アリナと遊ぶか。だがどうせトランプしかすることはない。もっと何か遊びを作っとくんだった。


 オセロやチェス、将棋、花札とか地球には色々な遊びがあったんだし、それをペンテシレイア家の財力で再現しておけばな。どこにこれらの遊び道具が売っているのか分からないから師匠に頼るしかない。


 今さら、遊び道具が足りない事を考えてもどうしようもない。そういえば本を持ってきているんだったな。


 アリナがトランプに飽きたら本を読めばいいか。とりあえず戻ろう。


 装備はたいして重くない(重かったら試合では使えない)ので直ぐに部屋まで戻ってこれた。


 部屋の扉を開けると何かいい臭いがする。


「ただいま」


「おかえり」


 アリナが台所から顔を覗かせている。


「料理をしているのか?」


「うん、下で買った食材でね」


 この島には食事をする施設は存在しない。そのため、この宿泊施設の一階には食品が売られていて、各自自炊をするというものだ。という昔の名残が残っているが一階にキッチンが作られたため、今ではそこで作られた弁当を購入することも可能になっている。


「大変だったら弁当でもいいからな。アリナの料理の方が絶対美味しいけど」


 アリナの料理が嫌いだから言っている訳ではないのだと付け足しておく。


「そんなこと言われたら頑張っちゃうな」


「適度に休んでくれよ」


 折角言った言葉も頑張られたら意味がない。


 この部屋はリビング一つに台所一つに寝室一つだ。ダイニングがないから俺はリビングでアリナの料理を待つ。


 待ち時間は試合までの空き時間は何をして暇を潰そうかと考えていた。

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