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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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試合

 婚約破棄が完全に決定してからアリナはアーサーとの決闘の場を用意してくれた。


 俺はジークフリート家がアーサーの家でなければアリナを捨てた事実を公表して徹底的に貶めるつもりだった。


 そうしてしまうと、アーサーが困るので止めてやったのだ。ジークフリート家はアーサーに感謝するべき。


 その事実を誰かに言うつもりは無いが、俺は結構貴族の家を貶めることを楽しみにしていたのでアーサーに勝利して憂さ晴らしをするつもりだ。


 場所は前回にファフナーとアーサーが戦った闘技場。ルールの前回と違うところは攻撃魔法の使用が可能なところだけだ。


 できる限り本番と同じルールで試合をしたかったので攻撃魔法も使えるようにしてある。攻撃魔法は俺に当たることは無いので目くらましになるぐらいだ。


 ルールの確認が出来たところで棍を構える。


「準備できた」


「同じく」


 アーサーは相変わらず盾と剣だ。


「では、勝負始め」


 開始の合図と同時にアーサーは炎魔法を連発してきた。


 この魔法を壁にして近づかれていると厄介なので炎魔法に向かって魔力弾を数発撃っておく。だが、炎魔法が俺に吸収される位置まで来たときに炎魔法をつき抜けて魔力弾が飛んできた。


 [吸収体]が吸収できるのは自然魔力だけで属性を持った魔力は吸収できない。なので魔法陣を作っている自然魔力を吸収して魔法陣を消して魔法を消すことはできても、魔力弾には自然魔力が使用されていないので吸収できない。


 慌てて俺は回避をすると、消えた炎魔法の奥からアーサーが突っ込んで来ている。


 アーサーは俺の魔力弾を読んでいたから難なくかわして突撃しているが、俺は魔力弾を読めていなかったから回避で体勢を崩している。


 読み負けた。


 俺は体勢を崩したまま棍を振るが、アーサーは棍の起動上に盾を置いて剣を振ってくる。だが、アーサーは斜め後ろに吹き飛んだ。


 俺の蹴りがヒットしたのだ。


「どんな体勢で蹴りを繰り出してんの、ソウヤ」


 吹き飛んだ先でアーサーが話しかけてくる。アーサーの指摘通り、体勢を崩した状態で棍を振り、蹴りを繰り出した。それを成せるだけの筋力が俺にはある。


 外見からでは一切分からない量の筋肉が俺にある。


 この筋力を手に入れる切っ掛けになったのは剣道場の次の日に筋肉痛が酷かった事だ。あまりの筋肉痛に俺は筋肉痛無くなんないかなー、と軽く思っていたら[吸収体]が発動したのだ。


『筋肉を吸収しますか?』


 意味が分からなかったが、とりあえずやってみるかと思って許可をだしたら全身が急に細くなった。何事かと思って体重計に乗ると体重が軽くなっているので、筋肉が減ってしまったのだと気づいた。


 なので俺は失った筋肉を戻そうと筋トレをしてみるが何も変わらない。筋肉を失う前と後で筋トレできた回数は大して変わらなかったのだ。


 そうすると俺の筋肉は質量に縛られずに別世界に存在してそこから力が送られてくるという仮説が立つ。


 それ以降、俺はある程度筋肉がつく度に筋肉を吸収した。


 筋肉がつく速さが速かった理由はこの同じ世界には存在しない筋肉は使用を選べるからだ。


 ある程度の筋肉がある人は頑張らなければ筋肉はつかないが、吸収した後の少ない筋肉で筋トレをすれば簡単に筋肉がつく。それを続けて今の俺の筋肉はかなりある。


「俺の筋肉量は結構多いんだよ」


 と言って相手に脅しをかけてみるが、この筋力が使えるのは無条件ではない。筋肉を使うのに魔力を使う。だから使用しない間はきっておかなければ無駄に魔力を消費する。


 さっきは質量のない筋肉を使うときに魔力を抑えて発動した。魔力にも限度があるので筋力の使い道を間違えればあっという間に魔力が無くなる。


 魔力を体に流しているうえに、質量のない筋肉を使用を抑えながら戦うことが必須。俺は長期戦向きではないから早く決着をつけなければいけない。


「いくぞ、アーサー」


 俺は距離を詰めて棍を振る。盾でガード使用としてくるので防がれるしかない。


 盾を弾いて落とさせるのが定石だが、アーサーは盾無しの方が強いので盾を落とさせるわけにはいかないのだ。


 アーサーの攻撃をガードしながら勝つ方法を考える。やはり隙を作るか、予想外の攻撃を当てるかのどちらかだ。簡単なのは隙を作る方なので隙を作ることにする。


 狙うのは足。


 アーサーの剣を棍で防いでいる間に棍の防いでいない反対の方をアーサーの足にかける。すると、アーサーは見事に転んだのだが、直ぐに盾を捨ててバク転をして立ち上がった。


 それがアーサーとしては距離をとっているつもりなのだろうが残念だったな。


「勝負あり、勝者ソウヤ」


「その攻撃は予想外だったよ、ソウヤ」


 俺が勝利を決めた技はとても単純だが見落としてしまう技だ。俺は棍を使うときは棍の真ん中を持って戦うのだが、最後の時だけ棍の端を持って振った。


 そうするとリーチは二倍近く伸びるのでアーサーも想定外の攻撃だったということである。


 棍の端を持って棍を振るにはそれなりに力がいるので他にできる人が少ないのも気づかない要因だろうな。

――――――――――

 アーサーと戦って数日がたった。


 アーサーと戦ってある程度自分の力が通じることが分かったので、[剣術]獲得以降は剣道場に行っていなかったが、今日行くことにした。


「こんにちは~」


「ああ、こんにちは」


「こんにちは」


 ペンテシレイアさんが挨拶を返してくれた後にオーウェンも返してくれる。


 相変わらず他の人たちは挨拶してくれない。こういうやつらは後で痛い目を見ればいい。


「誰か俺と試合をしていただけませんか?」


「おっ、いいじゃないか。誰かいないか?」


 ペンテシレイアさんが後押しをしてくれる。


「なら私がどのくらい腕が上がったのか見ましょう」


 俺が弱いと思って言ってきているのがウザイ。


「負けた方はこの道場を出て行くのはどうですか?弱い人はいらないでしょう」


「それだとペンテシレイア師匠が困ると思いますので止めた方がいいかと」


 俺を追い出すつもりのようだが、勝手に追い出す訳にはいかないだろう。


「あなたが出て行って師匠が困るとでも?」


「いえ、出て行くのはあなたなので」


 俺はただで通っているから出て行っても問題ないが、貴族が出て行くと収入源が減ってしまう。


「二人が了承した条件なら私は構わない」


 ペンテシレイアさん、格好良いですよ。


「なら俺はその条件で構わない」


「私もそれで構わない」


「なら私が審判を務めるとしよう」


 俺は相手と距離をとって竹刀を構える。


 師匠は相手も構えたのを確認してから、

「では、始め」」

 と、合図を出した。


 俺はとりあえず距離を詰めていくが、相手は動かずに上段で構えている。俺が剣の間合いに入った瞬間に剣を振り下ろしてきた。


 俺はそれを軽く竹刀で流しそのまま相手に当てる。


「勝負あり、勝者ソウヤ」


 師匠の合図で俺の勝ちが完全に認識できた。昔の俺なら逆のことが起きていただろう。確かな自分の成長を感じる


「えーっと、負けた方は出て行くんでしたっけ?」


「申し訳ないが無かったことにしていただけませんか?親に勘当されてしまいます」


 それを了承するメリットがないな。


「二人とも了承した上での賭けでしたのに負けて頼み込めば無しになる訳がないかと」


「それでも頼みます」


「何か俺にメリットが無ければ了承しかねる」


 何を出せる?貴族なら何かいいものがあるだろ。


「金か?金なら10万くらいならすぐに出せる」


 金か、要らないわけではないけど貰うのもどうかと思う。


「金はどうかな~、名前を貸してくれるとか価値が付けられないものが欲しい」


「それでいい、我が家名を請求以外でなら自由に使ってくれ」


 よし、ペンテシレイア家と合わせれば二つ目だ。中々良いものが手に入った。使い道は特に無いのだが、いざという時のスケープゴートにでも使ってやろうか。

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