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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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交渉

 道中は何事もなく、アリナの生まれた家に着いたのだが、着いた家はジークフリート家なのだ。一度アーサーと帰ったことがあって、その時にアーサーはこの家に入っていった。


「ここはジークフリート家じゃないか?」


「うん、そうだよ。言ってなかったけ」


 言われてない。だが、ジークフリート家の人間には少々ムカつくところがあったので心置きなく貶めることが出来る。


 目的がアリナを救うことからジークフリート家を貶めることに変わってきたが、結果的にはアリナを救うから良しとして欲しい。


「「お邪魔しまーす」」


 外から見て家は大きいと思ったが、実際に中に入ってみるとそれ以上の広さに思える。流石貴族の家だ。


「誰だ!その男は」


 リビングに入って早々、頭首に怒鳴られた。


「この方はペンテシレイア家長男、ソウヤ様でございます」


 アリナが予定通りに答えを返す。


「ペンテシレイア家には男児はいなかったはずでは?」


「いないとお思いならペンテシレイア家にご確認していただいても構いませんが」


 今回の件はペンテシレイア家も関与してくれている。


 ペンテシレイア家は英雄排出の名家。世襲制の勇者とは違い英雄は家柄関係なく選ばれるのだが、それを何度も排出してきたのがペンテシレイア家だ。


 その違いがあるせいでペンテシレイア家とジークフリート家は仲が悪い。そんな感じだからペンテシレイア家は協力してくれたと言いたいところだが、俺たちみたいな平民の願いを聞いてくれるほどペンテシレイア家も暇じゃない。


 アリナが元貴族ということで名前だけ貸してくれた。アリナの自信を見て、頭首は信じたようだ。


「そうとは知らず非礼をしてしまい、申し訳ございません」


 詫びても頭は下げてくれないのか。


「本日は私の婚約の件についてお話に上がりました。私は現在、捨てられた身のためジークフリート家の人間ではございません。なので無断で取り付けられた婚約を破棄し、私はこの方と結婚します」


 相手に喋る隙を与えずに全て言い切った。


「勝手なことを言いおって」


「はたして勝手はどちらでしょうか?」


 明らかにアリナの言っていることは正しいが何と返すのか見ものだな。


「お前は捨てられた理由を理解しているのか?そんなことをしても無駄だ。だから生まれた家に少しでも恩を返そうと思わんのか?」


 切れているのだが、何故捨てた家に恩を返そうと思うと思っているのか分からんな。


「自分を捨てた家にどんな恩があるというのでしょうか?」


「生んでやった恩だ」


 そもそも生んだのはお前じゃないし、生んでくれた恩を感じるとしたら家に対してではなく母親にだろう。


「母には感謝しておりますが、家には何一つ感謝することが御座いません」


「お前~!」


 明らかなるアリナの正論にもう返す言葉もないようだ。そこにアリナの婚約相手の貴族が来た。


 こいつがアリナとの婚約を破棄すれば全てが丸く収まるのだがどうでるか。


「私はアリナさんが貴族だろうと平民だろうと婚約に従い結婚する所存です。愛のうえには身分など関係ないですから」


 こいつ話が分かっていないな。その婚約自体があるはずがないもので、そもそもアリナからの愛はお前には無い。


「その愛がない以上、身分が関係あるのでは?」


 この家に来てから初めて口を開いた。


「お前は何を言っている!そもそもお前は誰なんだ!」


「この方はペンテシレイア家の長男で御座います」


 アリナが俺の代わりに説明してくれる。


「それが本当ならペンテシレイア家の人間を今すぐ呼べ!」


 こいつは容易には信じてくれないのか。それは少々困ったことになったな。ペンテシレイアさんに迷惑をかけるつもりは無かったのだが仕方ない。


 持ってきた魔法具に魔力を込める。この魔法具はアリナの彼氏の振りの時に作ったものだ。


「すぐに来てくれますよ」


 そう言って置いたら本当にペンテシレイアさんはすぐに来た。


「ブレイダ・ペンテシレイア、弟の呼びかけに応じて参上した」


「まさか本当だったとは…」


 婚約相手は唖然としている。ペンテシレイア家から借りれたのは名前だけだが、ペンテシレイアさんは個人的に協力をしてくれている。


「ブレイダさん、来ていただきありがとうございます」


 家族に向かって名字で呼ぶのは可笑しいので名前で呼ぶ。


「弟のためなら当然だ」


 ペンテシレイアさんも役に成りきっているようだ。


「お前がペンテシレイア家の人間ならアリナさんを賭けて決闘をしようじゃないか」


 それは想定外だ。


「人を勝手に賭けの商品にしないでいただきたい。そもそもソウヤさんはAランクの魔物も討伐したことあるからソウヤが勝つに決まっています」


「それなら決闘してもいいのでは?」


「決闘するまでもないという話をしているですよ。ご理解いただけましたか?」


 アリナは呆れている。正直条件次第だな。


 魔力が扱えるなら負ける気がしないが、魔力禁止の体術勝負は負ける気しかしない。


「ルールは?」


「ペンテシレイア家は剣術で有名だから剣一本の勝負はどうですか?」


 一番だめなルールだな。


「もっと詳しく教えてくださいよ。勝利条件は?」


「ルールはウェポン、武器を落とせば負けだ」


 剣一本ということは魔力禁止なんだろう。勝ち目がない。


「自分はAランクの魔物を倒した実績から、自分の実力がAランク以上の実力があることは理解できるでしょう?明確な実力差がある以上この勝負は良いものではない。なので代理を立てての勝負はどうですか?」


 これならファフナーを代理にして俺の勝ちだ。


「気を使っていただかなくて結構。例え強者だろうとこの戦いはすること自体に意味がある。私たちだけで決闘しましょう」


 こいつ俺が決闘を避けようとしているのを分かって言っているのか?こうなったら奥の手を使うしかない。


 [吸収体]よ、俺に剣術系のスキルを授けろ。


『スキル[剣術]を獲得しますか?』


 網膜に張り付いたようなメッセージ。


 当然yesだ。


『[剣術]を獲得しました』


「その決闘受けて立ちますよ。準備が整いましたので」


「そうですか、なら移動しましょうか」

―――――――――

 ジークフリート家が所有している闘技場に来た。


「では、開始の合図はブレイダさん、お願いします」


「分かった。それでは距離をとれ」


 俺と婚約相手は十メートル程距離をとる。


「では、始め」


 始めの挨拶を受けたが両者すぐには動かない。


 [剣術]を持っているから今までに学んできたペンテシレイア流を再現できるようになった。このスキルは剣術についての記憶のサポート、記憶した剣術を使用する時のサポートを自動的にしてくれる。


 なので今の俺の剣術の腕はそれなりだ。


「ペンテシレイア流剣術、見せてやるよ」


 強気にでようと思ったらため口になった。俺はため口を無かったことにするために、距離を詰める。


 ペンテシレイア流剣術には武器を落とす技もあるため、それをかけるために隙を作る必要がある。武器を落とすのに効果的なのは強制的に武器を落とすように技をかけるか小手を攻撃することだ。


 そうと分かっていればそれに合わせればいい。


 俺が距離を詰めた時に婚約相手は突きをくり出してくる。突きの先は小手だと予想して最小限度で避ける。


 読み通り避けることが出来たので、突きの隙に剣を絡めて相手の武器を落とした。


「勝負あり!勝者、ソウヤ」


 勝った。勝てるとは思っていたが、勝負の場に立つとその自信が綺麗に消えてしまっていた。だから、勝ったことが未だに信じられない。


「勝ったよ、アリナ」


「うん、ソウヤ」


 そう言ってアリナは俺に抱き着いてきた。


「ありがとう、ソウヤ」


「アリナのためなら何度でも勝ってみせるよ」


 アリナにこんなに感謝されるなら本当に勝って良かった。


「これでアリナの婚約破棄に異論は御座いませんね?」


 俺が声を張って確認をとる。


「ええ、ありません」


 ジークフリート家の人間が何か言う前に婚約相手が宣言してくれた。


「今、この時を持ってアリナさんとの婚約は無くなりました。どうかお幸せに」


 実はいいやつだったのかもしれないな。


 決闘後に元婚約相手は文書としても婚約破棄したことを書いてくれた。


 婚約破棄に俺は浮かれていて、いや、意図的に一つの大事な事実を無視した。

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