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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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ファフナーvsアーサー

「闘技場で試合してきたらどうだ?」


「それいいね」


 アリナに同意されたが、必要なのはアーサーの同意だ。


「分かった、試合するよ」


 俺たちが試合を見たいのを察してかアーサーは試合をすることにしたようだ。


「アリナはどっちが勝つと思う?」


「私はアーサーかな。実戦経験の量が多いから」


 確かにそうだが、ファフナーもゼロではない。


「ファフナーは俺とある程度、記憶を共有しているからファフナーにはペンテシレイア流剣術がある。俺はファフナーが勝つ方に賭ける」


「賭けるって何を賭けるの?」


「そうだな、家事を代わってもらう権利はどうだ?」


「それでいこうよ」


 自分で提案しておきながら負けたらなかなかキツイ。だが、俺には取って置きの秘策がある。


 俺は何としてでもこの賭けに勝たせてもらうぞ、アリナ


「人の試合で勝手に賭けをしてるよ、ファフナー」


 ファフナーは試合をすることにはしゃいでアーサーの話を聞いていない。


「あっ、話聞いていない」


 アーサーが気づいて嘆いているが気にしない。


「とりあえず闘技場行こう」

―――――――――

 学校にある闘技場に来た。


 この闘技場はコロッセオのような形状で真ん中に砂地の戦う場所があってその周りに外側に行くにつれて高くなっていく観客席。


 その中央にアーサーとファフナーが立っている。


「勝負始め!」


 アリナが合図をしたが二人とも動かない。二人が動かない間にルールを思い出しておこう。


・攻撃魔法禁止

審判(アリナ)が勝ち負けを判断する


 これだけだ。


 アーサーは盾と木刀を持っていて、ファフナーは木刀1本。


 ルールを思い出しているうちに先にファフナーが仕掛けた。ファフナーは一気にアーサーとの距離を縮めて剣を振る。


 それをアーサーは盾で防ぐが、ペンテシレイア流には盾の防御を崩す技もある。ファフナーは俺と違って剣術の才能があるためすぐにペンテシレイア流剣術を使えるはずだ。


 ファフナーがすぐに盾を弾こうとすると、アーサーは抵抗する方が隙になると瞬時に理解して盾を手放した。


 ファフナーよ、アーサーはここからが本番だぞ。


 何故盾を持っているのか分からない程に、アーサーは盾持ち剣術よりも、片手剣術の方が圧倒的に強いぞ。


 アーサーは無詠唱で身体強化の魔法をかけてファフナーに一気に剣を振るう。それをファフナーは咄嗟にかわしているが、体勢を崩している。


 この体勢の崩し方だと次の一撃で確実に負ける。


 これは俺がファフナーに介入するしかないな。


 ファフナーは()()スキル[並列思考]を使うことで自分で思考をしている。


 俺は当然、俺のスキルを使える。それはつまり俺がファフナーの思考に介入できるということだ。


 ファフナーに新たな戦術を授ける。


「ソウヤ、いま試合に介入したでしょ。そんなに家事したくないの?」


 何で分かったんだ?俺の魂が見えているのか?


「別に家事は嫌いじゃない。唯、今日の料理当番は俺だがアリナの手料理を食べたくなっただけだ」


 アリナの手料理の方が俺の料理より断然おいしい。


「私はソウヤの手料理の方が好きだけど」


「なら、俺が勝ったら今日は二人で作ろうか」


 これが最善手だろ、互いの手料理を食べられる。


「なら私が勝ってもそうしよう」


 それだと賭けの意味がないが目的を達成できるから良しとしよう。


 俺たちが話している間にファフナーが早速、俺の戦術を使うようだ。戦術というよりは戦い方と言った方がしっくりくるか。


 式神の体は魔力で構成されているため魔力が無くなれば消える。その魔力供給源は術式発動をした俺だ。そして、どうやら俺は平均的な魔力所持量よりもかなり魔力を持っているらしい。


 その魔力量を生かせば魔力の体を自由自在に変形させることが可能になる。


 実際、ファフナーは体勢を崩して座り込んだ状態から足を伸ばして、切りかかってきたアーサーを蹴り飛ばした。


「俺が授けた戦術」


「これがあるならアーサーとも五分かな」


 これでも五分なのか。ファフナーに付いている犬の耳は音を拾うためのものではなく、周囲の魔力や風の流れを感じる感知のようなことをするためのものだ。


 音を拾うための耳は髪に隠れて見えないが人間の耳が付いている。剣術に感知、変幻自在の体を持ってしても五分とはアーサーは強すぎないか。


 俺は勝てる気がしない。


 ファフナーはアーサーを蹴り飛ばしてすぐに立ち上がって、アーサーに向けて片腕を伸ばす。


 その腕は途中から先が五本に分かれて、蛇のようにうねりながらアーサーに伸びていく。これでかなり広範囲を攻撃できるようになった。


 それをアーサーは剣でいなしながらファフナーに近づいていく。


 ファフナーはアーサーが十メートルくらいまで近づいてくると腕を戻して近接戦に切り替える。


 アーサーとファフナーが剣の間合いに入った瞬間から剣閃が飛び交う。そこにファフナーが剣を持っていない手で死角から攻撃を繰り出すが、アーサーは見えているかのようにかわしていく。


 このままではアリナの言った五分が正しいことを証明する長い戦いを見ることになるが、そのままいけばサポート魔法を使ってアーサーは体力を消費せずに戦い続ければ、俺の召喚に使う魔力が切れる。


 アーサーの使っているサポート魔法の術式を見て効果を解読してからファフナーにその魔法を流す。使えないが学校で習った魔法なので、知っている。だから流すことが出来た。


「また、介入したね」


「仕方ないだろ、このままだと俺の魔力切れで試合終了だ」


 何も言い返してこないことから納得してくれたようだ。


 アリナの許しが出てからすぐに、ファフナーはサポート魔法を使ってアーサーを押す。するとすぐにアーサーは剣の間合いから少し離れたところまで距離をとる。


 ファフナーが腕を伸ばせばそれが隙になる距離。アーサーは戦いの最中でよく見ていたようだ。だが、伸ばせるのは足と腕だけではない。


 髪を伸ばしてもファフナーの行動の邪魔にはなりにくい。


 ファフナーは髪をアーサーの四肢に向けて伸ばして、アーサーの四肢を抑えるつもりだ。


 それによって勝負は一瞬でついた。


 ファフナーの負けである。


 後ろに退けない状況はアーサーの危機感を煽ってしまい、アーサーが最後にサポート魔法に魔力を一気にかけて間合いを詰めた。それにファフナーは反応できず、そのまま剣をつきつけられて負けである。


「賭けは俺の負けだね」


「うん。だから、大人しく私と一緒に料理して」


「当然だ」


 アリナと賭けの整理をしてからアーサーたちと合流する。


「ファフナー強いね。ところでソウヤはファフナーを作って序列(ナンバーズ)戦にでも出るのかい?」


 序列(ナンバーズ)戦?


「何だそれ?」


「アリナ教えていないの?」


 アリナは知っているのか。


序列(ナンバーズ)戦は結構危険だから教えない方がいいかなって。ソウヤなら多分出ようとすると思うから」


「それはすまなかった」


 当事者の俺が置いてかれている。


 後でアリナから聞いた話によると序列(ナンバーズ)戦とは、

・世界政府の任務をこなすファーストからサードまでを決める戦いである。

・ファーストからサードまでの三つ全てが欠員になる時に行われる

・予選はバトルロワイヤル形式で戦い生き残った数人が本選に進み、本選は一対一の戦いである

・そして何より、ファーストからサードどれかになれればこれまでの罪が消える


 俺が食いつかない訳がない。


 罪が消えるなど恐らくこれ以外の方法は存在しないだろう。


 開催は来年の春。冬かもしれない。とりあえず、冬から春に移り変わる頃くらい。


 俺たちの卒業と重なるため職を見つけなくて済む。今から準備を始めなくてはな。


 まずは俺の特性を理解しよう。

・吸収体で攻撃魔法は効かない

・吸収体のせいで魔法が使えない

・魔力量が多い


 [魂]は相手を殺すことしかできないので無しとして、ファフナーは色々と問題が起きそうなので使わないので、この三つをよく理解して戦う必要がある。


 ファフナーのようなAIは今まで作ろうとして出来なかったものであることから、これまで必要とされたことが分かる。その必要とされたのは恐らく軍事力向上のためだ。


 生きた兵士を消費せずに式神に戦わせることが完全に可能になる。それにファフナーを利用されないためにもファフナーは口外禁止なのだ。

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