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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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観光

 異世界に来てから1年半以上が経った。


 式神の制作は順調に進み《並列思考》に描いた召喚魔法陣が消えないうちはある程度勝手に行動するようになっている。


 バイトや学校にはすでに慣れているし、ストーカーは結局こなかった。


 何が言いたいのかと言うと色々なことに一区切りがついていて余裕が出てきたので、アリナと二人でこの街を観光しようということだ。


 観光をしようという話になってから二人で家でも学校でも計画を練っていた。


 それでようやく今日行くことになったのだ。


 まず最初にスポーツができる場所でロッククライミングや卓球を昼前まで楽しんで、昼に公園に来た。


 この公園は真ん中に頂上付近に渡り廊下で繋がっている二つの塔が建っている。


 その二つの塔の前の花壇の前のベンチで弁当を食べる。


「アリナの弁当はいつも美味しいな」


「そう?ありがとう」


「後であの渡り廊下行こうぜ」


 下からみると渡り廊下が全面ガラス張りなのが分かる。


「え~怖いよ」


「そう言わずに一緒に行こうぜ」


 アリナは高いところは得意ではないのだとしても、俺はアリナと一緒に行くぞ。


 俺は高いところの景色が好きだからそれをアリナと一緒に見たい。


 俺は高いところの景色が好きなだけで高いところが好きなわけではない。


 だから俺は馬鹿ではないのだ。


 二人とも弁当を食べ終わったところで男女に話しかけられる。


「そこのカップルちょっといいですか?」


 俺もアリナも自分たちに話しかけられたとは思はずに無視した。


「あのーすいません」


 近くで話しかけられて俺たちは同時に男女の方を向いた。


「「自分たちですか⁉」」


「あ、はい」


 二人同時に驚きながら返事をしたので相手方を驚かせた。


「写真を撮っていただけませんか?」


「いいですよ」


 俺がカメラを受け取って塔を背景に二人を撮る。


 念のため二人の写真を二枚撮っておく。


「撮れましたよ」


 そう言ってカメラを返す。


 カメラがなければテレビの完成など不可能だった。


 カメラが写真に写すために光を記録するシステムを応用して作った。


 映像として残す技術は作れなかったので生放送しか出来ない。


 そのカメラを持った二人が離れたのを確認してからアリナに話しかける。


「カップルだってさ」


「学校では一応そうなっているよ」


 学校では時々しか会っていないから実感がなかったがそうだったな。


「そうだったな。すっかり忘れていた」


「じゃあ、塔を上ろうか」


「そうだね」


 俺は浮かれていたのと余りの人の多さに感知が甘かったため俺たちを追ってきているやつに気づかなかった。


 昼食を食べた後塔まで来たのだがエレベーターが非常に混んでいる。


「やめとく?」


「待つか階段だが、後2,3回は乗れそうにないな」


「やめとく?」


 やはりアリナは行きたくないのか。


「アリナが行きたくないならやめとくよ」


「ソウヤが行きたいならついていくよ」


 それは非常に悩むな。


 アリナが行きたくないなら止めたいのだが、アリナは俺が行きたいなら行くという。


 どっちを優先させればいいのだろうか。


 悩んでいるとエレベーターが止まった。


『魔法具に異常が出ましたので今しばらくお待ちください』


「申し訳ないけど階段で一緒に行ってくれないかい?」


「ソウヤの頼みなら勿論行くよ」


 アリナの了承を得られたので階段を登る。


 この塔は高さ約150m、渡り廊下の高さは約140mだ。


 その高さ故かほぼ全員が帰っていく。


 階段を使っているのは五人くらいだ。


 階段を上ることにして、20m地点ごとにある踊り場についた。


「アリナ、疲れていないかい?」


「大丈夫だけど、疲れていたらどうするの?」


「休むか、帰るか、背負っていくよ」


 道場に通っていることである程度筋肉が付いてきたからアリナ一人ぐらい大丈夫だろう。


「そうなったら背負ってね」


 帰りの時間も考えていたら長い時間は休めないし、途中まで来て帰る訳にもいかないから当然の選択だね。


「任せろ」


 俺とアリナは順調に上ってきたがあと20mでアリナに限界が来た。


「もう駄目、疲れた」


 アリナがそう言ったので俺はアリナの前で背を向けてしゃがむ。


「あれって冗談じゃないの?」


「俺は本気だよ」


 その返事を聞いてアリナが俺に乗っかったので、俺はアリナを落とさない態勢に整えてから立ち上がって再び上りはじめる。


 そしてようやく頂上までついた。


「ソウヤ大丈夫?」


「アリナが軽かったから余裕だよ」


 実際アリナはすごく軽かったのであんまり苦労しなかった。


 もし、アリナが太ったとしてもアリナを背負えるように鍛えなくてはいけない。


「じゃあ、行こうか」


 俺が先に全面ガラス張りの渡り廊下に足を踏み入れて、少し先に進む。


「ソウヤ、怖いよ」


 アリナがガラスの出前で下を見ながら踏み出せないでいた。


「下を見なければ大丈夫だよ」


「うん」


 アリナが恐る恐る顔を上げて俺の方を見る。


 そしてその後ろにいる不良グループが目に入った。


 あいつらこういう所来るんだな。


 そう思っていると俺の周囲のガラスに魔法陣が展開される。


 まさか


 俺は急いで魔法陣から離れようと動き出したが遅かった。


 ガラスが割れ、俺は下に引っ張られる。


 魔法陣に気づいたアリナが駆け出して俺に近づきながらスキルを使う。


 少し落下が弱まったが、それでも俺は落ちる。


 アリナがスキルの効果を高めるために近づいてきて落ちてきた。


 アリナが落ちてきたことで距離が近くなってスキルの効果が高まるが、やはり落下は止まらない。


 恐らく下に落とすための魔法が働いている。


 その魔法は俺に吸収されないために実際の風を用いた魔法だろう。俺は魔力でできたものなら吸収できるが、実際にあるものを魔力で扱うといったものは吸収できない。


 俺の落下は弱まっているがアリナの落下はそのままのためアリナとの距離がどんどん近づいてくる。


 俺はアリナに向かって手を伸ばしてアリナを掴んだがそれによって落下が強まった。


 アリナの周囲が発光して俺の浮く力が強まるのと同時にアリナを掴んだ手が離れかけていく。アリナのスキルの全力でも二人は浮かせられないから俺だけでも助けようとしてくれているのだろう。


 光がどんどん強まっていき、ついにアリナから指が離れてしまう。


 アリナと地面との距離がかなり近いところまで来ている。


 落下中で空気が顔にだいぶ流れてくるため喋ることは出来ない。そのせいで、スキルを自分に使えと言えない。


 俺は意を決して魔力を可能な限り足に込めて空中を蹴る。実際に蹴っているわけではないが、魔力が放出されて俺は一気にアリナとの距離が縮まっていく。


 俺の手がアリナに届いた瞬間にアリナを今度は離さないためにに強く抱き締める。


 アリナは無事に引き寄せたが、そのために俺は自由落下に追い付くほどのスピードで落下した。その速度は今も変わらない。


 地面との衝突に備えて魔力を放つが落下止まらない。


 止まれ


 落下を押さえようと魔力を連射する。


 止まれ止まれ止まれ止まってくれ


 それでも俺たちは止まることがない。


 アリナのスキルでも押さえられないほど速度が速い。俺は魔力で俺とアリナを包みながら残った魔力を全て下に撃つ。


 止まれーーーーーー


 すると地面がかなり深く抉れて、少し減速できた。だが、少し減速できただけですぐに落下して、地面と衝突する。


 落下してから少しして少ししか開けられないが目を開けたが俺の目は霞んでいる。


 よく見えないがアリナはどこも怪我をしていないようだ。アリナに固めていた魔力防御を強化しておいて良かった。


「ソウヤっ、ソウヤっ」


 アリナが俺を呼びながら俺を揺さぶっている。


 アリナ、あまり揺さぶらないでくれ。


 ただでさえ頭が痛いのに頭が揺れてさらに痛い。それに眠くなってきた。


 ここは外なのに寝てしまう。だからといって立つこともできない。


 アリナ、ちょっと俺寝るよ。

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