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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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研究

 不良に呼び出された次の日、不良グループは俺以上にボコボコになっていて周りに引かれていた。おそらく俺が帰った後にヤクザのところにも出向いてボコられたのだろう。


 そして、俺は不良と同じ日に怪我をしているせいで先生に呼び出された。


 剣道場でちょっと失敗したのだと言い訳しといたのだが、流石に大怪我だったからか剣道場に確認の電話がされることになった。魔法具で音を再現する事で遠距離でも会話できる魔法具、電話。


 昨日はそもそも顔も出していない。


「スカマス国立魔法大学ですが、ソウヤ君のことで聞きたいことがありまして」


 今ここで電話をかけられるとペンテシレイアさんに干渉できない。


「ソウヤ君は昨日どんな感じだったでしょうか」


 俺が怪我したことを言わずに聞き出そうとしている。ここまで入念にしているのも不良グループを確実に裁くためだろう。だがそれだと俺も困るのだ。


「訓練中に怪我をされたと、そうですか。ありがとうございます」


 ナイス、ペンテシレイアさん何となくペンテシレイアさんに干渉した人がいるような気がするが、干渉した人は分かる。


 後で確認しておかなくてはな。


 ペンテシレイアさんのおかげですぐに俺は教室に戻れた。教室に戻れたといっても俺は授業免除なので道具を取りに行くだけで授業は受けない。


 その代わりに研究をするのだ。


 授業を受けずに研究するスタイルは二回目のテストでも授業免除になってからしている。


 俺は魔石カタログを机五個に渡って広げてカタログとにらめっこしている。


 何か月も実験しているのだが指定した位置に光を照射できない。


 解析した位置を理解する魔法具を完成させた。指定した位置に光を照射する魔法具も完成させた。光の三原色を利用して好きな色をだせる魔法具はすでに存在している。


 そこまで研究が進んでいるのだがその三つの魔法具が結びつかない。


 三つの魔法具を繋げるだけでは機能しないので魔石を追加しようにも何がいけないのか分からない。


 そこで地球のテレビを思い出すことにする。その過程で白黒テレビを思い出す。色々考えてみて一旦、カラーテレビを作るのは諦めて白黒テレビを作ることにした。


 色と位置を解析する魔法具を色から輝度に変える。輝度の仕組みはよく分からないが輝度を調べる魔法具があったからそれを手配しといた。この世界にも写真を取れるカメラがあるらしいから、そのお陰かもしれない。


 これが届けば完成するはずだ。後は週末にアリナと完成させるだけ。


 もうすることが無くなった。だからといって授業を受ける気もない。暇な時間はずっとカタログを見て暇を潰して昼過ぎに帰ることにした。


 帰った俺は今日がご飯飯担当なので準備をする。


 晩ご飯の準備をしているとアリナが帰ってきた。


 玄関までアリナを出迎えに行く。


「お帰り、アリナ」


「ただいま、ソウヤ」


 アリナの荷物を受け取って代わりに運ぶ。


「アリナ、昨日のことをペンテシレイアさんに言った?」


「言ったよ。ダメだった?」


「助かったよ。ありがとう」


 やはりアリナは神だったか。

――――――――――

 週末


 ついに週末になった。


 アリナに白黒に変更するつもりだと報告したのだが白黒を理解してくれなかった。俺の説明能力にはかなりの欠陥がある。


 二人で登校して例の魔法具をとりに行く。回収した後は色を分析する魔法具と入れ換えてつけることでカメラが完成した。


 後は光を照射する魔法具に繋げて完成だ。試しにアリナにカメラをむけると壁に白黒のアリナが映った。


「私だ!私がいるよ、ソウヤ」


 アリナが驚きながらはしゃいでいる。


「完成?完成だよね」


「ああ、完成だ」


 何度も二人でハイタッチをした。俺以上にアリナが喜んでくれているのが伝わる。


「何でカラーだと駄目なんだろう?」


 実物を見てカラーと白黒の違いというものを理解してくれたようだ。実物を見せた後は何も説明していないのだが、瞬時に理解してくれたな。


「もう一個の方をもう一回試して見ればいいんじゃない」


そう言ってるアリナはカメラに映りながらポーズをとってちゃんと機能しているかを確認している。


もう一個の方というのは二つ作って改良をした時の変化を確認するために作ったものだ。


 カラーテレビのカメラもアリナに向けて白黒の隣に映す。


 見比べていると左右で映っているものが似ているような気がしてきた。カラーテレビの方は荒すぎるモザイクがかかっているような感じだ。


 光を発する魔石が全部使われていることを確認すると原因が分かった。


「魔石が足りていない」


「結構使っているよ」


「それでも足りていなかったみたいだ」


白黒の魔石を取り出してカラーに付けると少しだけ明瞭になった。


「ちょっと分かるようになったよ」


 アリナも理解してくれたみたいだ。


「上限まで魔石借りてこれか」


「あれだよ。論文に魔石が多いほど明瞭になるって書いちゃえばいいんだよ」


 二回しか試していないけどそれでいいか。


「それでいこう」


 この後二人で論文の内容を考えながら書いた。同じ言語で書けるのは楽でいいな。日本だと英語で書かなきゃいけないみたいだからな。どこに発表するかによるが、大きな発表は海外に向けて発表するべきだから、英語になるだろう。


 完成後数日は二人で揃って、学校で当然のように書き、家でも論文を書いた。それでやっとのことで書き上げて学校に提出した。


 提出した後は二人で次は何を作ろうか意見を出しあっているが中々いい案がでないまま、というよりもテレビを作った達成感でダラダラしている間に一ヶ月がたった。


 論文が有名な魔法学誌に掲載された。この情報はアーサーが祝いにくるまで二人とも知らなかった。


 アーサーがおめでとうと言って研究用の部屋に入ってきた時は二人で何のこと?と返した。


 有名誌に論文掲載によって単位永続獲得。何もしなくて良くなった。だが、暇になってしまうため、俺は次に何を作るか考え、思いついた。


 Artificial Intelligence


 そうAI、人工知能だ。自動的に考えてくれるのを次は作りたいとアリナに言ったら、


「式神のこと?」


「何だ、それ?」


 疑問に疑問で返す。


 式神とは物を媒介にして発生させる魔物のようなものらしい。


 物というのはそこら辺にあるものでいいという訳でもなく召喚の魔法陣をかいてあるものだそうだ。だいたいの物で魔法陣さえ書ければ召喚できるが、魔法陣を書きやすい紙が多く使われている。


 召喚時に自分の魔力の一部を式神に与える。その魔力がある間、式神は動いてくれるようだ。


 式神は多少、自動的に動かせるが自動的だと簡単なことしかできない。なら完全自動の式神を作ろうではないかという話をしたら、式神の完全自動化は多くの人が失敗していると教えてくれた。


 すでに絶望的状況。


 だが、暇を潰すためにはそのくらいの題材の方がいいだろうと思いやってみる事にした。とりあえずどうやったら失敗するのかを調べることにする。


 過去の挑戦データを調べて、できる限り覚える事にした。その結論から言ってしまえば無理そう。


 幾ら魔法陣を重ねて書いても不可能のようだ。


 魔法陣の数でカバーできない程、物事には選択肢があるということらしい。式神に脳のような物を作ろうかと思ったが俺は脳の仕組みとか全然知らない。式神の仕組みはよく知らないが人に書いてみるか。


 思い付きである。


 一回切りように魔法陣を書く専用の墨で手のひらに式神召喚の魔法陣を書く。


 俺の奇行にアリナが驚いているが気にせず式神召喚をする。何やら丸い物体が宙に浮いている。


 これが式神か。


 俺が行動をイメージすればそう動いてくれるが勝手には動いてくれない。


 次は魂にでも書くか。


 普通に魂に書いても意味がないのは体で試した時点で察しがつく。


 やるなら思念系のスキルに直接書き込むべきだ。


 スキルとは魂の中に入っている別の魂みたいな感じのものだということを論文で読んだ。ならば、俺の[魂]で触れられるし、思念系スキルに召喚魔法陣を書く事も不可能では無いはずだ。


 まずは思念系のスキルを獲得しなければいけない。[魂]以降、俺は新しいスキルを手に入れていないので新しいスキルが手に入るいい機会だと思って念じる。


 吸収体よ俺に並列思考みたいな感じのスキルを俺にくれ。


(並列思考を獲得しますか?)


 当然yes


(獲得しました)


 出来たみたいだ。後はこれに魔法陣を書くだけ。


 指に墨をつける。


 アリナが目を丸くして見ている。[魂]を発動して指が体に入るようにしながら、指を体に入れて、魂から並列思考が出てくるイメージを持つ。


「大丈夫!?ソウヤ」


「大丈夫だ」


 返事をしながら書いていくのだが自分の胸元に文字を書くような状態で中々難しい。しばらく時間をかけて、やっとのことで魔法陣を書いて式神召喚をする。


 すると少しだけ勝手に動く。


「勝手に動いているよ」


「少しだけどすごいよ」


 どのくらい勝手に動くのか確認したかったが式神が消えてしまった。


 活動時間が短い。


 体に書いた時は自分の意思で消したが、今回は十秒守ったか守っていないかくらいの時間で勝手に消えた。


「何で?」


「ソウヤの魔力に晒され続けたから墨が流れたんじゃない」


 なるほど。光明が射したな。


 次回の研究に向けて墨よりも消えずに残る魔法陣を書く道具を予約しといた。


 これでもうすることが無いので二人で帰ることになり、帰っていると校門あたりで一人の少年が話しかけてきた。


「アリナちゃん、この前の返事をくれないかな」


 この少年は前にアリナに告白でもしたのかな。


「俺、先に帰っていようか?」


「大丈夫、近くにいて」


 告白ではないのかな?分からない。


「何度も断っているでしょ」


「嫌よ嫌よも好きの内って言うんだよ」


 こいつ頭可笑しいんじゃないか。それとこれとは話が全く違う。アリナが近くにいて欲しい理由がよく分かる。


「私この人と付き合っているから」


 そう言ってアリナが俺と腕を組んで密着してくる。


「そういうことだからじゃあね」


 アリナが俺と腕を組んだまま帰ろうとしているのでそれに合わせて俺も帰らざるをえない。


 今、俺も少年もポカンとしていて何も喋れていない。


 アリナは少年と話した場所からだいぶ距離が離れてから腕を組むのをやめた。


「ごめんね、あんなこと言っちゃって」


「俺は全然構わないんだが、アリナこそ大丈夫か」


 俺は仲がよい人はアリナとアーサーしかいないから全然問題ない。


「別に問題ないよ。それよりもあの人は何度告白を断っても告白してきて困っているの。それに加えて最近付きまとってくるの」


 それは大問題じゃないか。


「何か対策を考えなくてはいけないな」


「ねえ、しばらくの間だけでいいから恋人の振りをしてくれないかな、お願い」


 正直断る理由がない。


「全然構わない、断る理由がないからな。アリナの力となれるなら嬉しい」


「ありがとう」


 問題があるとすれば俺が恋人の振りとは具体的にどうすればいいのか分からないことだ。


「具体的には何をすればいいんだ?」


「私は誰かと付き合ったことがないから分からないよ。どうすればいいの?」


 その顔で付き合ったことないとかこの世の終わりなんじゃないのか。


「俺もないから分からないな。とりあえず毎時間教室に迎えに行けば付きまとわれることはないか?」


「それは恥ずかしいから教室の近くで見張っていて」


 確かに毎時間会いに行くのは俺も恥ずかしい。


「分かった」


 授業免除で良かった。授業があったら休み時間にいちいち行かなくてはいけなかった。数少ない友だちのためならそのくらい構わないが、多少は面倒だと思う。


 アリナを守るために近くに待機してなくてはいけないが、暇だな。授業中はアーサーでも呼んで二人で話しているか。アーサーも授業免除でずっと魔法の練習をしているから教室の近くの空き部屋で練習させればいい。


 明日は一時間目の内にアーサーを見つけ出して連れてこなきゃいけないな。

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