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異端者の吸収  作者: 寫人故事
2-1章 異世界での生活
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魂の強奪

 今回は両方の世界が見えているとはいえとても暗い状態で目の端からの攻撃に気づかない。


 俺にパンチが入り意識が飛びそうになる。だが急に俺の体の痛みは消えた。


 アーサーの魔法か。


 入り口を確認すると壁に寄り掛かって座るアーサーと立っているアリナがいた。


「早く逃げろ」


「友だちを置いて逃げる気などない。サポートをさせてくれ」


 アリナと逃げてくれなきゃ俺が逃げられない。アリナと一緒に逃げればいいのに馬鹿なやつだ。だがその馬鹿に助けられた。今更文句を言える状態ではないが、せめてもの反抗に返事は返さない。


 アーサーのサポートの魔法を受けながら幾度か挑戦したがいくら穴を開けても塞がっていく。


 挑戦の結果、球体に触れるしか勝ち目はない。


 世界を移動できる範囲は拡大出来るが指全体に使ったところで指がいたくなった。だが、腕に《魂》を発動して一撃で決めるしか勝つ方法が無い。


 そのための隙を作り出そうと試行錯誤していたが、防戦一方になってしまう。


 オークのパンチを棍で受けていると棍にひびが入った。アリナの家の家宝なのに。これ以上傷をつけないために棍を置き戦うことにする。


 当然、素手では勝ち目がない。


 武器は棍以外にない。


 武器が無いなら、魔力を纏えばいいじゃないか。少しふざけたお陰で余裕が出てきた。


 スキル検査や棍への魔力注入から考えるに必要なのは魔力を扱うイメージ。イメージについては簡単に思い浮かべることができる、なにせ俺は厨二病なのだから。


 拳に魔力を纏わせてオークと殴り合いをしている。俺は格闘術は使えないがオークもそれは同じだろう。


 魔力は魔法陣を通すことで色々なものに変えることができるが、変換前の魔力は純粋なエネルギーだ。つまり単純な近接戦ではエネルギーの魔力を敵に当てるべきなのだ。


 それに加えて魔力を体に纏わせていると体が動かしやすく頭が冴えている。おそらくだが直接、体に魔力を纏うとその魔力が体に流れる。その魔力を体が意図せずとも活用して動くからだと思われる。


 魔力が代わりに体を動かすことによって体力をあまり消費せずに戦えている。頭も冴えてきて、周囲の状況がよく分かるためオークと十分程戦えている。


 十分も戦い続けた結果オークが痺れを切らし、距離を取って炎魔法を連射してきた。俺の[吸収体]によって俺に当たることはないのだが、炎魔法の熱が伝わってきて暑い。


 それに加えて炎魔法の火球がでかく視界が遮られ、近接戦に持ち込むために突進するのも難しい。遠距離技で対抗しようと思っても魔法が使えない。


 魔法に対抗する必要もなく唯々考える時間がアイディアをもたらす。


 魔力を撃てばいい。魔法陣を構築できなくても魔力はイメージによって動いてくれる。


 魔力が指先に纏まって球体になり、打ち出される。そのイメージを持つと指先に向けて風が流れバスケットボールぐらいの球体ができる。


 それを火球が向かってくる方向に向けて打ち出す。


 打ち出された魔力は威力がどんどん減衰して、オークに届くころには野球ボールぐらいになっていた。


 だが確かにオークの鳩尾に入り腹が凹んだ。それによって魔法の連射が止んだため、俺は一気に駆け出して追撃する。


 腕に逆間接をして、オークの腕をへし折り、態勢を低くする。


「今だ、アリナ」


 どうせアリナなら、何か準備をしているに違いない。まだ短い付き合いだが、何かに備える人だ。


 ドッゴォーン


 俺の望み通りアリナが追撃してくれたのだが、飛んできたのは石ではなく岩。


 爆音を鳴らし、岩が飛び散る。


 少し驚いたが切り替えて、[魂]を右腕の肘から先、視覚は38%で発動する。


 怯んでいるオークの光る球体、恐らく魂を掴みとり引き抜く。


 そして、[魂]を解除する。すると、オークの体は消え、手には魔石があった。


 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


 手を見ると肘から先が赤く染まり風が鋭く感じられる。


 右手が痛く手を開くとてから何かが落ちる。落ちた何かを見るとそこには魔石があった。


 それを左手で拾うが、右手に何か流れる感覚と痛みがある。俺は魔石拾ってからアリナの方に投げる。


 右腕が痛む。


 考えてはいけないとは思うが痛み続けて考えないことは不可能だ。


「アーサーは気絶しているのか?」


「うん」


 途中からアーサーのサポート魔法が無かったからな。


「アーサーはアリナが連れていってくれ」


 すでに痛みが酷く意識が朦朧としているが、迷宮を出るまでは気絶する訳にはいかない。


 棍を拾って、棍を引きずりながらアリナのもとに向かう。


「大丈夫?」


 大丈夫なわけがない。だが、

「大丈夫だ」

 大丈夫じゃないなんて言えるわけがないだろう。


 意識が朦朧していようと蝙蝠は構わず攻撃してくる。


 それに対して判断力が下がっている俺は非常に苛ついて過剰に魔力を込めた魔力弾を撃ち込んで撃退する。


 そうして迷宮出口まで来た俺は気絶した。

――――――――

 ソウヤは知らないがソウヤのポテンシャルの高さは異常である。


 何せ何の異常も無く異世界転移を成功させ、尚且つ転移中に意識を保てていたなど常人のなせる技ではない。


 何故なら世界と世界の間には大量の魔力が満ちており、この世界において強者と言われる者であろうとも一秒もかからず死を迎えるほどの魔力量だ。その魔力を転移にかかった数日間受け続けてなお体に異常がなかった。


 極めつけは、その魔力の中で意識を取り戻したことだ。これは、高濃度の魔力下で無意識に魔力操作が行えることを意味する。魂の保護だけではなく身体の保護までも無意識で、できてしまう天才なのだ。


 いや、意識してできない事を考えると天才ではく、本能が凄まじいのだ。


 次にアリナ。


 アリナとソウヤの出会いは必然だったと言っても過言ではない話だ。アリナは世界最高の魔力量を持っているためその魔力にソウヤが引き寄せられたのである。


 その魔力量に加えてアリナの持っているスキルも強力である。


 普段体を鍛えている訳でもないアリナが低レベルの魔物が相手であろうと石を投げて目に突き刺すなどありえない。ましてや、岩を投げつけるなど鍛えていても魔力を使わなければ無理だ。


 だが、アリナは魔法を使えないどころか、魔力を扱うのは苦手だ。


 魔法の代わりにアリナの補助をしているのがスキルだ。


 そのスキルは理を乱す危険なものだ。そんなもの一個人が持っていていい力ではない。


 最後にアーサー。


 勇者家に生まれ幼いころから戦闘を叩き込まれてきた。それによって会得した代わりになる魔法。誰かの受けた傷や痛みを代わりに背負うことができる。


 そんな頭がイカれているような魔法を使えるのも幼いころから、そういう教育を受けてきたからだ。


 兄弟も同じ教育を受けていたが扱えるのはアーサーだけなのを考えるとおかしいのはアーサー自身かもしれない。


 加えて代わりになる最中に防御魔法を展開して傷を負わない方法を開発したため、代わりになっても相手の傷がなくなるだけで済む。しかし、痛みは防げないため傷がなくても痛みが来るのだが、それに耐えるアーサーはやはりおかしい。


 実力が高い集まりなのだが、揃いも揃って力を十全に発揮できていないのである。


 力を十全に発揮できているのなら、あのレベルのオークなど一人であろうと余裕で勝てるのだ。


 冒険者上位1%未満のAランクを優に越える力を持ち合わせているのだが力の使い方がいまいち分かっていないのだ。


 彼らを常人が殺せるのは今のうちだけだ。彼らが力を扱えるようになったなら人類にとって有害にならないように祈ることしか人類に残された道はない。


 それほどまでに強力なのだ、あの3人は。

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