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異端者の吸収  作者: 寫人故事
1章 地球での生活
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異世界転移

 月の光に照らされながら帰ってきた。時間的にも精神的にも余裕があったならば、ゆっくりと月を見ながら帰っていたのだろうが、俺は月に一瞥もくれる事なく家に辿り着いた。


 どれだけ疲れていようとも玄関の鍵は勝手には開いてはくれない。俺は重い体を動かして、首から下げている巾着袋を取り出し、中に入っている鍵で玄関を開ける。


 傘立てに傘が一本刺してある以外に物がない殺風景な玄関で靴を脱ぎ、しっかりと靴を揃えて置く。昔、靴を脱ぎ散らかして母に怒られまくったお陰で靴を揃えるのが癖になっている。


 殺風景な玄関からこちらも物がほとんどなく殺風景なリビングに移動してバッグを置く。制服を脱ぎながらも首に下げている巾着袋は外さない。


 ずっと下げているせいでお守り代わりになっしまっていて外しにくいのだ。


 着替えを出すのが面倒で昔の休日の父親みたいなシャツに薄いズボンを一枚履いているだけの格好で椅子に座る。


 明日提出の宿題を終わらせてから風呂に入る事としよう。眠気を誘うような行動は宿題が終わるまで禁止だ。


 だが、すでに眠い。風呂に入るのではなく、シャワーを浴びて体を起こした方がいいか。


 そう思ってシャワーを軽く浴びてから宿題を始めて、きちんと取り組んでいたのだが、瞼が重い。頭が疲れのせいもあって上手く働いてくれない。


 俺は今年高校生になってからバイトを始めて、今日もバイトがあったのだ。中学生の頃から高校生になったらバイトをしようと思って、家から一番近い高校を選んで進学してバイトを始めた。


 登下校の時間しかバイトには関係無いと思っての判断だったのだが、甘かった。俺が通っている高校では毎日何かしらの宿題を出してくるのだ。バイトで疲れて帰ってきても宿題をやらなくてはいけないという地獄を誰か分かってほしい。


 どれだけ地獄だろうとも終わらせなければ面倒な事になる。俺は水を飲んで体を起こしながら何とか宿題を終わらせた。


 それから風呂に入ろうと思っていた事を忘れて、パソコンを開く。スマホを持っていない俺の連絡手段はパソコンでのメールしか存在しないため、毎日確認しないわけにはいかない。


 そんなに頻繁にメールを送ってくるような人にはアドレスを教えていないため、いつもなら件数ゼロでパソコンを閉じて終わりだが、今日はメールが来ていた。


 メールアドレスを見ると、今まで連絡した事が無い人から来ている。念のためメールアドレスを検索にかけてみるが、検索にヒットしない。


 企業のメールアドレスではないという事だな。


 俺のアドレスは色々な事に使っているからどこかからか漏れてしまったのだろう。ウイルスがある可能性を考慮して開かないのが最善だな。


 パソコンの時間を確認するとすでに日付が変わっている。少し仮眠を取ってから色々考えて動くか。


 その考えを実行できるほど俺の頭は回っていない。俺はそのまま眠りに落ちて、起きた頃にはすでに日が昇っていた。


 俺は寝ぼけたままパソコンを操作して見知らぬメールアドレスから来たメールを開いた。


「君へ。残りの時間はそう長くない。だから急いでこの場所に着く事だ。終着点より」


 残りの時間?終着点?終電関係の話か何か?間違いで送られてきたのか悪戯メールなのか。真相は分からないが気にする事何てないな。


 俺は大きく伸びをしてこれから朝食を作ろうと動きだそうとしていた。


 だが、俺は気づいていなかった。メールが開かれた時から俺の後ろの空間に罅が入り始めたのを。そして俺が立ち上がろうとした頃にはすでに空間の罅は裕に人より大きくなっていた。


 そして罅は裂け目に変化して、俺は空間の裂け目に飲み込まれた。

――――――――

 見渡す限り真っ暗な場所。光が存在していないかというくらいの暗さ。


 どこだ、ここは?俺は家にいたはずなのに。周りを見渡していると、何かがうっすらと見えた気がした。この場所には光が存在していたようだ。


 俺はよく目を凝らして何かを見ると何か白い線が見える。見続けていると線はうねうねと動き出したから線というよりも糸と表現するべきかもしれない。


 糸を見続けていると糸を見慣れたお陰かどんどん糸の本数が多く見えるようになってきた。どこから伸びているのか分からないような糸が無数にあって、それは俺に繋がっているようにも見える。


 俺は掴んでみようと手を伸ばした所で、俺の意識は途絶えてしまった。

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