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第八話 休憩は愛でることに専念します



野営地にて話の通じない馬鹿連中の茶番劇に巻き込まれたが、今は落ち着いて湯呑を片手にのんびりと寛いでいます。

やっぱり日本人には温かい緑茶だよな。ホッとする美味さ。



「あの、クローウィア様…本当にいいんですか?」


「あ奴らが自分で用意しろといったのだ。なんの問題もなかろう?」


「そうそう、気にしない気にしない。それよりこれすっごく美味しいよ♪」



そう、俺たちは今【植物作成】にて作った《ツリーハウス》の中にいる。

程よい室温にテーブルに椅子に食器は勿論の事、キッチンだけでなくトイレ・浴槽・ベットも完備という至れり尽くせりな代物。

主にゲームではセーフハウスに分類されるもので外からの攻撃は一切通用しない。

そのかわり使用回数制限はあるものの街に帰還することで消費数を回復できるのだが、この世界では使用回数の制限とやらはどうなっているのかはまだわかっていない。

《ツリーハウス》を作成するときに回数制限らしきものは見つからなかったが、いざという時に使えなかったら困るので連続使用は控えるべきだろう。

今回はあの馬鹿連中に目にもの見せてやろうと思ったので使用したが、作成した時のあいつらの顔といったら…ぶふっ、思い出すだけで笑える。俺的には大満足♪

さっさと中に入ったおかげであいつらの雑音も遮断されて快適だし、顔を真っ赤にさせて魔法攻撃を繰り出してきてもゲームと同じ効果があるということの証明にもなったし。

あとは明日の朝までここでのんびりしていたらいいというわけだ。


あ、念のため提出素材の予備はちゃんと取ってある。

あいつらの事だから、いったい何をしてくるかわかったもんじゃないからな。これでもし提出してないとか無くなったと言ってきてもきちんと対処できる。


椅子に座ってるレイフォンとシュガルだが、二人とも初めて見る緑茶に興味津々だった。

こっちの国に緑茶はないのかと聞いたら珈琲と紅茶はあっても緑茶などはないらしい。

緑茶を初めて見たのなら麦茶とかもないかもしれないな、でもこういう場合は遠い遠い東の最果ての島辺りとかにはありそうな予感、俗にいうお約束ってやつか。

今は二人にくっついてるけど、育成が落ち着いたら世界を見て回ってみたい気もする。まだまだ俺の知らない可愛い子たちがいっぱいいるんだろうなぁ。



「クローウィア様、おかわり♪」


「シュガル、いくら何でも図々しすぎますよ」


「構わん。だがあまり食すると夕飯が入らなくなるぞ?」



シュガルとレイフォンが食べているのはみんな大好きフライドポテトとポテトチップス~。

今回はシンプルに塩味。俺は海苔塩味が好きだけど初めてならまずはこれだよな。


まずは収納庫に溜め込んでた食材類からジャガイモを必要な分だけ取り出して洗っていく。

全て洗い終わったら今度は根を取り除いていき、次に包丁でジャガイモをくし形、細切りの2種類に切っていき、切ったらすぐに用意しておいた水につけておく。

最低でも30分は浸けておきたいので、その間に別の作業。

残しておいたジャガイモを今度は薄くスライスしていく。こちらは軽く十分くらい水につけてから綺麗な布巾で余分な水気を拭き取る。

鍋をセットしてジャガイモが浸るくらいの油を注いで火にかけ160度~170度くらいの低温でじっくり揚げ、周りに色が付き始めたら180度まで上げてカラッと。

ちょうどいいキツネ色になったらすぐさま取り出し、網にあげて余分な油は落としておく。仕上げに暖かいうちに塩を振って~出来上がり!


今度は三十分浸しておいたのを取り出してこちらもしっかり水気を拭き取る。

こちらは油を多めにしてしっかり拭き取ったジャガイモに薄力粉を軽くまぶし油の中へ。そこからちょうどいい温度まで上げていき、3分~4分揚げたら一度油から上げ、次に高温にして二度揚げすればフライドポテトの完成!こちらもアツアツのうちに塩を適量振りかける。


早速、出来立てを一口……うん、くし形は外はカリカリ中はほっくり、細切りはカリカリでいい出来。ポテトチップスのほうもパリパリとした触感がいい。

どちらも美味いと味に浸っていたらシュガルもレイフォンも目を輝かせながらこっち(正確にはフライドポテトとポテチ)を見上げている。勿論、きちんとした食事が最優先だが夕飯までまだ時間はあるし、子供にはおやつも必要だろうってことで提供。いっぱいお食べ。



「ジャガイモって言ったら蒸かすか煮るかしかないって思ってたけど…これはなんていう料理なの?」


「これはフライドポテトとポテトチップスという。我が国に伝わる料理と菓子だな」


「ふらいどぽてと…」


「ぽてとちっぷす…」


「一口食べてみるが良い」



まずは涎が垂れかけてる好奇心旺盛なシュガルがパクリと一口、食べた瞬間目を見開いて固まった。その後はまるで花が咲いたような素晴らしい笑顔。美味かったんですね、わかります。

それを見たレイフォンも恐る恐る一口食べて同じように衝撃を受けて固まった後に、こちらも素晴らしい笑顔を見せてくれる。幸せそうな笑顔プライスレス。



「とても美味いです!」


「なんだこれ!?本当にあのジャガイモ!?」


「全く別の食べ物みたいで、この塩加減が絶妙ですね!」


「っていうか手が止まんない!」



二人の反応を見ると、フライドポテトとポテチはこの世界でも大好評のようだな。異世界でも愛されるとはやっぱり魔性の食べ物ということか。やめられない、止まらないっていうのはまさにこのこと。なんてな。

そんな感じで大変お気に召したのかお代わりをご所望とな。

でも油たっぷりだから食べ過ぎると気持ち悪くなるので今日の分はこれまでです!また明日のお楽しみにしておきなさいな。


多少腹は膨れたからかお眠な二人を寝室に案内しそこのベットで仮眠を取らせる。

シュガルは風呂に入りたがっていたが浴槽で寝落ちされたら大変なので夕飯の後にするよう言っておいた。フカフカベットに寝ころべば布団の誘惑にあっさり落ちて眠ってしまった二人に掛け布団をかけてあげてから、部屋の明かりを暗めに設定してそっと寝室から出る。


さて、二人が寝ている間に出来ることを済ませておきますか。

え、外にいる連中?なんのことかさっぱり~。口笛


収納庫にある今日獲れたて新鮮なウサギ肉とイノシシ肉を使おうかと思ったがジビエ料理なんかしたことないし、そもそもそれほど料理好きなわけでもない。

ゲームだと従魔の餌はそれぞれ好みのものか、伸ばしたいパラメーターの多いものを与えるわけだがわけだが、それはメニュー画面の一覧表にあるものを選択するだけで料理もポンッと出てくる。でも、ここは現実。一覧表から選択して出てきたものをはいどうぞなんてできないわけで、さっきのフライドポテトやポテチみたいに自分で調理しなければ。


ぶっちゃけるときちんとした料理人の従魔はいるのだ。しかも収納庫に食材類は全て上限Maxまでため込んでるし、なんなら調理済みの物も作ってはある。

けど、やっぱり初めては自分の手で作ってやりたいじゃん?

そういえば、食べちゃいけないモノとかってあるんだろうか?ゲームでは好き嫌いしかなかったけど、もしあるなら気を付けないといけない。


う~む…何の料理にするべきか…。

肉もいいが野菜も食べさせたいし……あ、焼き肉でいいじゃん。肉と野菜もいっぱい食べられるし、仕込みも切るだけだから俺でも出来る。

そうと決まれば早速仕込みをせねば!!




********************





焼き肉のために野菜や牛肉などを適度な大きさに切っていたら寝室のドアが開く音が聞こえた。

包丁を置いてそっちを見てみるとレイフォンが立っていて、まだ眠たそうに片目を擦っていたので手をしっかり洗ってから傍に行き前屈みになって擦るのを止める。



「どうした。喉が渇いたか?それとも催したか?」


「…ん……母さん…」



ん?

まだ寝ぼけているらしく母さんといいながら抱き着いてきた。しかも子猫が甘えるかのようにゴロゴロ喉を鳴らしてすり寄ってくるというオマケつき。


んんっ、可愛い過ぎか~!


仕込み中なのもあるし、さりげなく外そうとするとヤダヤダとごねてギュッと抱き着いてくる。

んんん~~っ!まだ中学生だもんね。母親が恋しくて仕方ないんですよね!

仕込みもある程度は終わらせてあるし、残りは食べさせながら様子見でもいいか。

レイフォンを抱っこして、首に腕を回して抱き着かせてから調理場をささっと片付けていく。先に肉を切っておいてよかった。


片付けが終わったら寝室に戻りベットに降ろすと、今度は袖の裾を握りしめてきたので優しく頭を撫でてやれば幸せそうに笑う。

可愛いなぁ、と頬を緩ませて頭を撫でていたらふと視線を感じたので顔を上げるといつの間に起きていたのかシュガルがモソモソと起き出していた。今度こそトイレか?と思っていたら枕を抱きしめ掛け布団を引きずりながらこっちへと移動してきて、座っていた俺の腹部に凭れるように寝転びこちらも甘えるようにゴロゴロと喉を鳴らしさらにはフミフミまで始めた。


んんんっ!なんでこう、この子たちは可愛いのかな?!


昨日の今日でこんなに懐くものなの?まだ子供だからか?

変な人に簡単についていきそうでオジサンちょっと心配よ?


フミフミしているところが爪のせいでちょっと痛いがここは我慢!

俺の腹をフミフミしても残念ながらお乳は出ないんだよ………女設定にしていたらもしかして?





待て待て待て、正常になれ。ちょっと危ない思考になりかけたわ。


俺にできることはたかが知れてるだろうが、それでもこうして寄り添ってやることは出来る。

レイフォンもシュガルも、少しでも寂しさを感じないように暖かい人の温もりを忘れないようになるなら今この瞬間も惜しみなく愛情を注ごう。







目が覚めたレイフォンが恥ずかしさのあまり声にならない悲鳴を上げ、それにびっくりして飛び起きたシュガルが誤って《ニャモン》を起動したせいでちょっとした乱闘騒ぎになったわけだがそれもいい思い出に…なるのか?








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