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第十一話 やっぱり異世界といえば冒険者ギルドには行っておきたいもの



集団イジメから令嬢を助けたのはいいが、そのせいでお茶会への招待状を受けてしまった俺です。


高位貴族の茶会とか絶対に面倒ごとに巻き込まれる可能性大だろ、マジで行きたくない。

適当な理由でも作って断ろうかと思ったのだが、意外なことに公爵家での派手なお茶会ではなく孤児院でひっそりと行われる個人的なお茶会とのことだった。

それもそうか。俺のようなでかい従魔が公爵家の家なんかに行ったら大騒ぎ間違いなしになるわな。

孤児院なら別におかしくはない…おかしくは、ないのか?まぁ、色々と思うところはあるが個人的なものなら行っても問題ないか。

あの令嬢も色々と大変なのだろうし、うまくいけば学園での情報が手に入れられるかもしれないしな。

あと個人的に気になることもある。


さて、急ぎの返事を書かないといけないんだが、相手が相手だからそれなりに良いもの使った方がいいだろうな。

あとは誘われたのだから手ぶらで行くのもなんだし…なんか手土産でも持っていくべきか?




********************




アプタルト公爵家の令嬢であるシナモンから指定されたのは来週の祝日。

本当なら迎えの馬車が来るはずだったのだが、俺は乗れないしテノールは主人が乗らないのに自身が乗るわけにはいないと断りを入れ、そうなるとシュガル達は委縮してしまって乗れる状態ではなくなるという。

そんなわけで迎えは入らずに自分たちの足で向かうと伝えた。向こうも察したのか特に何も言わず受けれたようだし話の通じる相手でありがたい。

会場となる孤児院の場所はシュガルが知っているというので案内は任せるとしても、当日に迷わないようにしたいので一度くらいは行っておきたいところなんだが…。



『御主人様、少々よろしいでしょうか?』


「どうした?」


『地下の保管庫にて下級素材が収納できなくなってしまい、判断を仰ぎたく参りました』



どうやら実戦経験を積ませるために行っていた狩猟での素材が溜まりに溜まりまくって収納量をオーバーしてしまったらしい。そこまで狩ってたっけ?

ゲームだったら入りきりませんって勝手に消えるところだが、ここは現実。勝手に消えるなんてことはないわな。

下級素材なんてもう使う機会なんてそうそうないし、新しい倉庫でも作るか、それとも処分してしまうか…でも処分は勿体ない気が…。

あ、そういえば街に冒険者ギルドがあるじゃん。そこで売り払えばシュガル達のお小遣いになるし素材も減ってまさに一石二鳥。

そうと決まれば善は急げってな。授業が終わって帰ってきたシュガル達を連れて街にレッツゴー♪


ちなみにソプラは今回拠点でお留守番です。勝手に入れないよう施錠できるとはいえ拠点だから心配だったもんで、ゲームでも必ず一人は残すようにしていたからその癖かな。

でも拠点を守るのは基本中の基本だよな?

そういえばゲームにあった本拠地はどうなったんだろうか。あそこは色々と便利なものが揃えてあったから使えるなら使いたいけど、まぁ今の状態じゃ探しに行くのも難しいだろうな。

そもそもあるのかどうかすらわからんし。


さて、街に出るのは初めてということでそれなりに身なりを整えて出てきたのだがやっぱり街並みが外国風。絶景だわ。

お店には果物や野菜だけでなく肉に魚類も売ってるし、所々に屋台も出ていて食欲をそそるいい香りがする。人族が多いが亜人族も時折見かけるし結構賑わってていい雰囲気だ。

パン屋からもパンの焼けるいい匂いが…そういえばこの世界に来てからまだ一度もこっちの料理って食べたことないんだよな。一度くらいはこっちの料理を試食してみたいものだな。

ただ、俺達が歩いているとモーセの滝のように正面が開ける上に、隅に寄った年寄りなどに拝まれるのはなぜ?

確かにクローウィアの容姿は神獣のような気品さがあるけども、中身は40代の一般市民なオッサンなんですよー。

テノールも誇ったような顔をするのはおやめなさいな。シュガル達もなんか納得しているような雰囲気だし…わかってないのは俺だけ?


とりあえず、目的地は冒険者ギルドだが折角なので屋台とかで買い食いがしたい。時間もまだまだ余裕があるしってことでちょっと寄り道♪

色々とみて回ってるがどれもこれも美味しそうだわぁ♪




……なんてなりませんでした。屋台からいい匂いはするんだが、どれもこれもシンプルなものばかりだった。

蒸かしたジャガイモに、牛の串焼き、ソーセージの燻製、小さな鳥の丸焼き…ちなみにこれ何の鳥肉?

でも香りはいいから味付けは工夫してますって感じなんだろうか…それともシンプルイズベストってこと?

とりあえず、一番近場にあった屋台から牛の串焼きを買ってみることにした。一本、銅貨二枚…日本円にすると銅貨一枚で百円だから二百円か、めっちゃ安いな。

全員分買って、食べようとしたらテノールが一口食べて俺だけにわかるよう静かに横に首を振っていた。え、美味しくないの?

でも折角買ったんだから食べないと勿体ない。いざ!


一口食べてみたけど…確かにシンプルイズベストだよ。なんというか、質素というか健康的というか…味にうるさい日本人からすると物足りない味付けです。

これがこの世界では普通なのか?ちらりとシュガル達を見てみると二人も数口食べて首をかしげていた。

君たちは毎日美味しいご飯食べてるから舌が肥えちゃったんだね、ごめんよ。

あんまり店の前で?マーク飛ばしてるのもよくないから一言お礼を言ってそそくさと移動。焼き加減はよかったよ、オッサン。

パパッと全部食べ切り、テノールの淹れてくれた飲み物で口直しをしてからさっさと冒険者ギルドに向かおうとしたらここでもお約束な展開に遭遇してしまった。



「おいおい、人様の街で魔獣がなに我が物顔で歩いてんだよ」


「魔獣なんて野蛮な生き物はさっさと出で行けよな」


「なんか魔獣のくせに良いもん着てんじゃん。俺達が処理してやるから全部寄越しな」



な~んか小者臭丸出しのやられキャラ三人組が出てきましたよ。衣装からして冒険者あたりだと思うがセリフもお約束なものばかりで、さてどうしたもんか。

初の街散歩で騒ぎを起こすのは避けたいところなんだよな…そういえば、ゲームでも初めてギルドに向かう途中に街中で主人公が冒険者に絡まれるイベントがあったような…?

そうなるとあの女は冒険者ギルドにはいってないのか…?


「シュガル、レイフォン。こ奴らは冒険者か?」


「あ、はい。胸の紋章から見て有名なギルドに入っている冒険者たちです。その、悪い意味のですけど…」


「ただ、ギルドがCランクだからここら辺じゃ誰も逆らえないんだよね」



色々と気になることはあるけれども、まずは目の前の問題からと二人から情報を聞き出してみたが…ん?なんでCランクで誰も逆らえないんだ?

確かに一般市民と冒険者だと逆らえないことはあるだろうけど、他にも冒険者はいるだろうに。

それこそもっと有名でランクが高いギルドなんかも沢山あるだろうし、そもそもギルドランクでCとか駆け出しもいいところだぞ?



「Cランクごときで威張りつくせるとは到底思えんのだが?」


「んだと、ゴラァ?!」


「てめぇ、俺ら〖猛毒のサソリ〗を舐めてんのか?!」



本当のことを言っただけで三人組は頭に血でも上ったのか腰にぶら下げていた武器をあっさり引き抜いた。街中でそんな物騒なもんホイホイ出すんじゃねぇ!!

確かにこれじゃチンピラ相手に一般人じゃ逆らえないわな。なんか言ってこう毎回刃物を突き付けられたら命がいくつあっても足らんわ。

どうしたもんかなと思っていたら後ろで控えていたテノールが横に来て俺に向かって胸に手を当てながら深々と頭を下げてきた。



『御主人様、ここはどうかこのテノールにお任せください』


「うむ、だが無益な殺生はしてはならん」


『我が高貴にして至高の御主人様、あのような下賤にして下等生物にも慈悲をお与えになるとは…このテノール感服の想いでございます』



慈悲というか、喧嘩自体慣れてないんだよ。もっと平和に行こうぜ、平和に。

テノールはにこやかに笑いながら三人組の前に歩いていき…



『我が御主人様は貴方方に慈悲をお与えになりました。膝をつき頭を垂れて感謝しなさい、そうすれば先程までの御主人様への無礼極まりない態度を許しましょう』



何処が平和に?!逆に挑発してどうする?!

騒ぎを大きくするなって意味だったんだけどな?!

いや、わかりにくい発言をしたのは俺かもしれんけどさ…。




「魔獣のくせに舐めた口ききやがって!俺達を本気で怒らせたようだな?!」


「その御主人様とやらの綺麗な顔に傷をつけ…ごっ?!!」



三人組の一人が発言してる途中に、鈍く大きな音がしたと思ったらその一人の姿が完全に消えた。

消えたと同時に聞こえたのは壁の破壊音に瓦礫が崩れる音、恐る恐るそっちのほうへ顔を向けると砂煙が舞う瓦礫の中に有名な家系の湖を思わせる格好のチンピラ一人がいた。

え…大丈夫?ピクリともしないけどあれ生きてる?死んでないよね?



『何やら耳障りな発言が聞こえてきたもので力加減を軽く誤ってしまったようですがご心配には及びません。瀕死にはなっているでしょうが、死んではおりませんので』



それ本当に大丈夫なの?!てか軽くミスってあの破壊力?!

その後の二人もテノールのデコピン一発で同じような格好にされて数秒もかからずに終わった。

この世界の冒険者のレベルが全然わからん・・・いや、こいつらが特別弱かったってこともあるか。うん。

とりあえず、家の壊れた壁はスキル『修復』で元に戻しておき、また変なのに絡まれる前にとさっさと冒険者ギルドに向かうことにした。


え、チンピラ三人組?

壁の修復時に瓦礫から引っこ抜いて縄でグルグル巻きにして放置しておきましたが、なにか?




********************




そんなこんなで無事に到着しました冒険者ギルド!

ゲームとまったく同じ建物!ここには色々と世話になったもんだが、これからも世話になるぜ!

意気揚々と入ろうとしたものの、ギルドの入り口は大型従魔も楽々入れるようにと大きく作られているはずなのだがちょっと高さ的に角が引っ掛かりそうだったので頭(上半身)を潜らせて入る。

内装は長年世話になったゲームと同じ、入り口から入ってすぐ正面に受付、右側には大きなクエストボードと素材の剥ぎ取りと売買してくれるカウンター、

左側は酒場となっていて冒険者たちがクエストの準備をしたり酒などの飲食を行っていてとても賑やかだ。二階は会議室とギルドマスターの部屋、あと筆記試験の会場にもなっていたはず。

ただ、今は俺が入ってきたことでこっちを凝視しながら静寂に包まれてしまっているが・・・静かなうえに全身装備してる奴ら全員がこっちを凝視とか怖いって!!

シュガルとレイフォンも初めて入るギルドと冒険者たちに委縮してしまって俺の後ろに隠れてるし、テノールは変わらずに堂々としてるけど。

流石にテノールを前に情けない姿は見せられないと受付に向かう。

ここでの受付嬢は人間のようで俺の姿を見て顔面蒼白なうえに涙目で見上げてきてて、それが良心にグサグサと…。



「ここで魔獣の素材を売買出来ると聞いてきたのだが?」


「は、はい!!!出来ます!!!!」


「そなたに渡せばよいのか?」


「いいいいいいいえ!ああああちらに、あちらになります!!!!!」



めちゃくちゃ挙動不審になってるんですけど、必死にカウンターの方指さしてるし。

色々とわかっているが一応初めてってことで受付嬢に話しかけてみたけど、なんか逆に可哀そうになってきたんですぐに移動してあげた。怖がらせてごめんよ。

カウンターのほうはこれまたゲームでお馴染みの強面ないかついオッサンが腕を組んでこちらを睨みつけるように仁王立ちしている。

安定のこの感じ、なんか落ち着くわぁ。

さて、すぐに素材を売りたかったんだがオッサンが言うには冒険者ギルドカードが必要らしくそれなら自分の作ろうかと思ったけど立場的に魔獣に分類されるもんで却下された。ちくしょう…。

仕方ないのでシュガルとレイフォンに作らせて(学生書があれば問題ないが将来的にも作っておいて損はないってことで作らせた)素材を売ろうとしたんだが…

まず《角兎》の角が30本と毛皮50枚、それから《大猪》の牙40本と毛皮50枚、ついでに余りがちだった薬草を数種類と色々出していったらとんでもない数になってしまったせいで怒られてしまった。

しまいにはギルドマスターに相談してくるから待ってろとのことで待機中なぅ。


ただ待ってるだけなのも暇なので、どうせならとクエストボードを覗いてみることにした。

クエストボードは2種類あり、まず青いクエストボード。こちらは日常やちょこっとした依頼が多く、薬草探しから迷子&ペット探しの依頼まで幅広い。

その隣にある赤いクエストボードは盗賊退治や下級から上級などの魔物討伐依頼などが多い。討伐依頼には危険度によってランク分けされているので受けれる制限があるため注意が必要だ。

これなら初心者にもわかりやすいうえに調子に乗った冒険者が馬鹿みたいに上級クエに突撃して死者を出さなくて済むから良いシステムだと思う。

ある程度クエストを達成すれば昇級試験に挑戦する資格も得られるし、問題さえ起こさなければたとえ落ちても何度でも挑戦できる。


そんな感じで眺めていたが、ふと思ったのがゲームなら薬草だの毒消し草だの近くに行けばすぐ表示されるから採取なんて楽勝だったけど、この世界だとそんなのないからきちんと見分ける必要がありそうだよな。いつも森に入らせてた二人にもいざという時のためにその辺確かめておいた方がよさそうだし、テノールたちはどうなんだろうか?

職業や性格、スキル相性などから『鑑定』スキルを持たせてるのもそこまで多くはないが見た感じなんとなくわかってはいそうな気はする。


しかし、こうクエストボードを眺めてると折角ギルドカードを作らせたのだからなにかクエストを受けさせてもいいかなぁと思わせてくる。

初だしまずは二人に選ばせて……お?


ボードに張り付けてある一つの依頼書にバーム村の名前が…内容は《殺人蜂》の討伐クエスト?


《殺人蜂》は名前の通りオオスズメバチみたいな見た目をしている昆虫型の魔物で、体長6mに鋼鉄並みの甲殻に覆われ、尻尾に毒針、口内に酸性の神経毒といった針を二つを持っており集団で襲ってくる。

雑食なので一度獲物だと判断されるとしつこく襲ってくる厄介な存在なのだが、その代わりこいつらから採れる蜂蜜が超高級品レベル!

ゲーム内でも特上菓子にするためには必須なアイテムなのだが、実はこの蜂、この世界においてこの国にあるバーム村にしか生息しないのである。その理由はバーム村にあるある特殊な樹木にしか巣を作らないからだ。それ故にバーム村は有名な蜂蜜の名産地になっている。


そんな、蜂と共存しているはずのバーム村がなぜ討伐依頼なんかを…?


疑問はあるが、これはある意味チャンスなのでは?

《殺人蜂》をテイムして飼育するためにはその特殊な樹木の苗を入手することが絶対条件。樹木の苗木と蜂をゲットして拠点に養蜂場を作れば新鮮な採れたて蜂蜜をいつでも手にれることが出来るということ!

俺も本拠地では蜂蜜を手に入れるために《殺人蜂》専用のエリアを作ってたが…残念ながら今は無いからな。これは行かないという選択肢はない!

さっきは二人に選ばせよう的なことを言ったかもしれんが今回は我慢してもらいたい!!

ぶっちゃけると実物の蜂はめっちゃ怖いので近づきたくはないのだがこれも蜂蜜のため!シュガルとレイフォンにもその蜂蜜の美味さを是非とも知ってほしい!


え、亜空間に大量の蜂蜜があるだろうにって?

そこはやっぱり採れたてを食べさせてやりたいじゃん。それに実物を見せてその集団攻撃の厄介さと恐ろしさも知っておいてもらいたいし。

そんでどうやって奴らを攻略すればいいのかも学ばせておきたい。何事も経験経験。



……念のため蘇生魔法に蘇生アイテムもあるからなんとかなる。うん。


そう思って依頼書を手に取ってみたんだが…なんか《殺人蜂》のクエスト受諾出来るランクがBと妙に高くね?

シュガル達は先程登録したばかりだから初期のFランク…これだとクエストを受けられないじゃないか。




俺はどうしたもんかと悩んでいれば、ギルマスに話をしに行っていたオッサンが戻ってきてなんとギルマスからお呼びがかかったとのこと。

これはクエストのワンチャンがあるかもしれんぞ。




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