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第一話 転生先は人馬?いいえ、人鹿です



最初に感じたのはまるで海中にでも沈んでいるかのような息苦しさ。

暗闇の中もがき続けるも、ただただ水圧に押しつぶされる圧迫感に骨がきしみ、ひどい耳鳴りが激しい頭痛を引き起こす。

肺はすでに水で満たされ酸素がもうないのか息もできず…もう駄目かと思ったその時、正面にいきなり爆発が起こったかのように広がった強烈な光によって目が焼かれる痛み、水面へと飛び出したことで肺が空気を大量に取り込み満たされていた水を全て弾こうとする動きによって盛大に噎せ不快感に襲われる。

息を吹き返すことに成功したものの視界はいまだに痛みが治まらずうずくまって耐えていると急に痛みが引いた。

何事かと目を覆っていた手を退けて上半身を起こし視界を動かしてみると、そこは自然豊かな森の中。

野鳥の鳴き声に木々から差し込む暖かい日差し、いったいここはどこなのだろうか?

訳が分からないが、いつまでも寝っ転がっているわけにもいかないと起き上がろうとするも下半身にかなりの違和感を感じた。

とてつもなく嫌な予感を感じつつ、恐る恐る下のほうを見てみれば……


そこにあったのは人間の下半身ではなく、鹿の胴体であった。


いや、いやいやっ、おかしいおかしい!なんで鹿の胴体が!?

しかも、その真後ろに立っている天にも届きそうなほどの巨大な大樹、そこから生えているツタが鹿の胴体のへその部分に繋がっている。


いやいやいや!!本当になにがどうなってんの!??


脳がキャパオーバーしたらしく俺の意識はそこで途切れた。





********************




俺はどこにでもいるようなサラリーマンで、会社ではパワハラ上司から毎日無理難題の仕事を押し付けられ、罵声も残業も当たり前。

職場での人間関係も面倒ばかりでつい最近も口には出したくないような泥沼劇に巻き込まれて散々な目に遭ったばかりだ。俺はなんも関係なかったのに…。

癒しが欲しいと思っても、仕事上動物を飼うことなんて出来ないし休みの日は家事に洗濯に買い物と時間も取れなくてなかなか思うようにはできないもの。

そんな俺が唯一癒しとしていたのはスマホの乙女ゲーム。

なんで男が乙女ゲームなんかやってんだよって思うだろうがこの乙女ゲーム、実はRPG要素が強く主人公はテイマーで従魔を育てることが出来るのだ。

だから、俺の目的は主人公達ではなくその従魔たち。

従魔をそのまま飼育できるだけでなく、自分好みに作成・カスタマイズ出来る機能がお気に入りで何十時間もかけて作り上げてきた自信作の従魔達。

彼らを愛でるのが俺の唯一の癒しだった。彼らのためなら睡眠時間も削りわずかな休憩時間すら使ってイベント限定の衣類も魔獣の確保も欠かさなかったし、なんなら課金も惜しくはなかった。

むしろ捧げさせてくださいというくらいである。

そんな俺だけど雨の日、復刻イベントを楽しみに仕事帰りから歩道橋を渡り、速足で階段を下りていたら後ろでふざけていた学生の一人に背中をぶつかられ、足元を踏み外した浮遊感からの転倒。


そして前世にサヨナラ。


なんてつまらない死に方をして私は知らない世界にコンニチハ。


つまりあっけなく死んで異世界に転生したわけなのだが…その転生先がまさかの育成ゲームで作り上げた最高傑作の人鹿・クローウィアだとはなぁ。

やっと状況を飲み込めるほどまで落ち着きを取り戻せた俺だが…いや、正直まだ信じられないというか混乱しているというか…。

とにかく、今の俺は自分で作成し愛でまくった最高傑作と言っても過言ではない従魔になったわけだ。


本来なら種族は人馬なのだが、その下半身を馬ではなく鹿で作り上げた。

角は本来の鹿の物と竜の角を織り交ぜており後ろの胴体にも届きそうなほど長く太く立派で美しい曲線が魅力的。色は濃い青色だが光加減によっては紫にも見える、飾りも小さくはあるが所々につけているので見た目的にかなり重そうなんだが不思議と軽い。

鹿の胴体は大型の熊に匹敵しそうなほど大きく毛並みは薄緑色で足元に行くほど濃くなっている。

上半身の人間部分は色白の肌に長髪なのだが、その髪が薄緑色から毛先に向かうほど濃い深緑色のグラデーションになっている。

【豊穣神】をイメージして作ったので優しさを全面的にだすため男にも女にも見えるよう中性的に作ったはずだが…鏡がないので残念ながらまだ顔は見れてない。

服は勿論和服を中心にしてある。生地は最高級の絹で作られているからか肌触りがすごくいい!色合いも落ち着いているから上品だな。

ただ、鹿のお尻の方はなんもないからちょっと恥ずかしいというか落ち着かないというか、でもあったらあったで違和感がありそうで…これは慣れるしかないのか。


さて、まさかの異世界転生?というネット小説みたいな展開にあったわけだが…ここはどこなんだろうか。

この姿になったってことは多分あのゲームに転生したのか、それとも似たような世界にきたのか…ぶっちゃけるとストーリーそっちのけで育成のみやっていたから内容は全く覚えてない。

どうしてもストーリーを進めないといけない場面はスキップしまくってたっけ…。





あれ、これってもしかして…やばい?









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