【第66話:打ち上げ】
「えぇ~それでは、イベントの大成功を祝して~……かんぱーーーい♪」
「「「かんぱーーーい!!」」」
私たちはイベント『もふもふキュッテ牧場~カワイイふわもこ羊とふれあえる癒しの広場~』を大成功に終え、手伝ってくれたアレン商会の人たちも一緒に、これから皆で打ち上げです!
「お疲れ様! キュッテ! 僕はこの街で行われた催し物で、ここまで人を集めたイベントは初めてみましたよ!」
「アレン様。このイーゴスの知る限りでも、ここまで大盛況だった催し物は初めてでございます。おそらく、このクーヘンの街で行われた催し物の中で、一番盛り上がったと言ってもよろしいでしょう。キュッテさん、本当におめでとうございます」
こんな感じで、アレン様とイーゴスさんにさっきからずっと褒めちぎられています。さすがにちょっと恥ずかしくなってきたので、もうほどほどにして欲しいです……。
「いやぁ、さすがもふもふキュッテね!」
「ぷひゅ!? もぅ!! レミオロッコ! 果実水零しちゃったじゃない!」
くっ……唯一失敗した事があるとするのなら、私の二つ名が完全に『もふもふキュッテ』になって広まってしまったことでしょうか……。
と言うか、二つ名の中に本名含まれてるし! 誤魔化す事もできないし!
「だってキュッテ、帰りに会う人会う人みんなに『もふもふキュッテ』って言われてたよ?」
「レミオロッコ~!! あなた覚えてなさいよ! 絶対にあなたにも変な二つ名浸透させてあげるんだからね!」
「えっ!? あ、今のなし! キュッテなら本当に変な二つ名浸透させそうだから、ほんとにやめて!?」
初めてレミオロッコと会った時の事を思うと、ずいぶん打ち解けたものよね。
恥ずかしいから口には出さないけど、親友だと思っています。
まぁでも、それとこれとは話は別ですけどね!
ふふふふ♪ どんな悶絶するような二つ名をつけてあげようかしら♪
「わぁ~!? 待って、やめて! 私街を歩けなくなるぅ!!」
「私はもう既に街を歩けないわよ!?」
レミオロッコと戯れていると、
「私もキュッテちゃんの、もふもふモード見てみたかったなぁ~」
残念そうにリイネが話しかけてきました。
せっかくの打ち上げなので、羊を厩舎に戻して貰ってから、召喚を使ってこちらに呼び寄せました。
ただ、私にもふもふモードは存在しないわよ!?
「本当に勘弁してよね。もう絶対にアレは着ないんだから! はぁ……これから街を歩く時のことを考えると、今から憂鬱になっちゃうわ」
「えぇ~! ぜったい勿体ないですわ! いっそ街を歩く時は、いつもあの格好でいて欲しいぐらいですのに!」
「キュッテさん、絶対に着ないと勿体ないよ!」
えぇぇぇ、セイナにアンジュまで……。
なんでみんな、そんなに私のあの格好気に入っているのよ。
「キュッテも可愛かったけど、メイサには負けてたな!」
うん。トルテはぶれないわね。
でも、実際にメイサたちは、一家に一人欲しいぐらい可愛かったわ。
ちなみにちびっ子たちは慣れない仕事でかなり疲れていた様子だったので、お土産をいっぱい持たせて先に孤児院に帰らせています。
羊馬車で孤児院に送って行ったら凄い騒ぎになっていたけど、本人たちは大喜びだったから問題ないわね。たぶん。
「キュッテの所もすっかり打ち解けて、ずいぶんと良い雰囲気になりましたね」
若干打ち解けすぎな気もしないでもないけど、でも、よそよそしいよりはずっと良いわね。
「「みんなキュッテさんの思いつく色々な事に振り回されながらも、いつも楽しそうに取り組んでいるからねぇ」」
「キュッテは、いい奴だけど、変な奴だからな!」
「キュッテの思いつくことって、不思議がいっぱい~?」
ぶふっ!? ヨセミテ、それちびっ子用の制服じゃない!?
さっき離れて何かごそごそしていると思ったら……可愛すぎて悶絶しそうになったわ……。
そう言えばヨセミテのスキルって何のスキルなのかしら?
さっきもそうだけど、今日も突然いなくなったと思ったら、今度は全然違うところにいたり、なんか神出鬼没なことをする時があるのよね。
私がヨセミテが授かったギフトのことを考えていると、それを察したゴメスさんが話しかけてきました。
「はははは。キュッテさん、ヨセミテのスキルが気になりますか? もう工房のメンバーとここにいるアレン商会の者たちはみんな知っているので、聞いてみてはどうです? キュッテさんはギフトで差別するような事はないでしょ?」
「もちろんですよ~。ギフトとか本人に何の責任のないのに、そんなもので絶対に差別なんてしません」
ギフトで差別したりなんて考えたこともなかったけど、でも、そんな言われ方されると余計に気になってくるわね。
仕事に関係する時などを除き、あまりギフトのことを人に尋ねるのはよくないと聞いたので遠慮していたのですが、そう言う事なら聞いちゃおうかしら?
「ねぇ、ヨセミテ。嫌だったら言わなくて良いのだけど、あなたの授かったギフトって何なのか教えて貰える?」
ヨセミテは私が尋ねると、こてんと頭を傾げてから答えてくれました。
「教えても問題ない、よ? 僕のスキルは『闇魔法』? 能力的には、殺し屋とかに向いたスキルだよ?」










