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【第61話:ただの馬車】

 今回、馬車を牽いて貰っているのは一〇匹の羊で、そのうちの四匹が色付きに進化した子たちです。

 つまり各色から一匹ずつ色付きの子たちを連れて行く感じですね。


 この馬車は変形する作りになっており、かなり巨大なので、元の世界の普通の羊なら一〇匹で牽く事なんて絶対にできない重量なのですが、この世界の羊は魔物だけあって力が普通の動物と比べると段違いに高く、余裕で牽いてくれています。


 特に色付きの子たちは進化した魔物なだけあって、かなり力が強く、前に試してみた所、四匹だけでも普通にこの巨大な馬車を牽く事が可能でした。


 なので、道らしい道の無い草原を牽いているにもかかわらず、ものともせずにぐいぐいと進んでいきます。

 あと、馬車の車輪もかなり工夫されていて、ゴムのような特殊な魔物の素材を使ってコーティングされており、悪路にもかなり強い作りになっているのも大きいのかしら。


 レミオロッコに予め必要なものを工房で揃えて貰っていたので、私は何の魔物の素材なのかまでは知らないのだけれど、サスペンションやタイヤについて軽く話しただけで、こちらの素材で創り上げてしまうのだから本当に驚きです。


 しかし、この馬車の凄いところはそれだけではありません。

 私とレミオロッコの思いつく限りのカワイイ(・・・・)を詰め込んだのですから!


 前世の街で見かけた宣伝カーも真っ青な宣伝効果があるはずです!

 そもそも色とりどりの羊が牽いているだけでも、かなり目立つのですが、この馬車の外観もかなり凝っており、街での反応が今から楽しみです♪


 ◆


 無事に何事もなく街に着いた私は、そのまま門を素通りして街に入ろうとしたのですが、門を守る衛兵さんに呼び止められてしまいました。


「ちょちょ、ちょっと待て! 待ってくれ! えっと……たしか牧場の子だったよな……?」


「はい。おじさん、何度も会ってるじゃないですか~」


「いや、そうなんだが……どこから尋ねれば良いのか……」


 まず最初に巨大な馬車に目を向け、その後、その馬車を牽く色とりどりの羊に目を向け、困った様子です。


「えっと、今日、うちの牧場主催で中央広場で催し物するんですよ。この馬車はその催しものの荷物や商品を積んでいるのと、小さなお店に変形する……」


「待て待て待て待て! まず、これは馬車なんだよな? 魔物じゃないよな?」


 顔見知りの衛兵のおじさんなのですが、馬車を魔物だとか、彼はいったい何を言っているのでしょう?

 まぁ、理由はわかってるんですけどね。


「いやですね~当たり前じゃないですか~。羊の形をした(・・・・・・)カワイイただの(・・・)馬車ですよ~」


「いや、ただの馬車って……ただの(・・・)の意味わかってるか……」


 なんか失礼なことを言っていますが、それぐらいわかってますよ。

 ただの(・・・)確信犯です。


「カワイイでしょ? うちの羊たちをモチーフにして作ったんです♪」


 レミオロッコに作って貰ったこの馬車の見た目は、一言で言えば「巨大な羊」です。


 もう少し具体的に言うと、巨大な馬車の下部分が台車のようになっていて、その上に巨大な羊が乗っかっているような作りになっています。

 一見すると、馬車の上に巨大な羊が「ぐて~」と足を前後に伸ばして寝そべっているように見えなくもない……というか、そう見えるように作って貰っています。


「い、いや……確かに可愛いんだが、ちょっと度肝を抜かれたよ。ん? そう言えば変形って……いや、それよりも、その羊を……じゃない、馬車を牽いている羊はいったいなんなんだ!?」


 何か衛兵のおじさんが混乱しているようですが、羊に関しては説明は簡単です。


(この子)たちは、ただの(・・・)うちの羊です。牧場の羊飼いが羊を連れていて何かおかしいですか?」


「あ、あぁ……確かに羊飼いが羊を連れているのはおかしくないんだが……ってそうじゃなくてだな!? いったいこの色はな……」


 衛兵のおじさんが興奮気味に身を乗り出した所で、ようやく待っていた助け船がきました。


「それは商売に関する事だから言えませんね。ところで何か問題ですか?」


「え? 言えないっていったいどういう……あ、アレン様!?」


 現れたのはアレン様と、そのお付きの人が数人。それからレミオロッコでした。


「キュッテ。待たせたかな?」


「いいえ。ちょうど今街に到着したところです」


「あ、あの……牧場のお嬢ちゃんとお知り合いで?」


「あぁ、商売の上での大事なパートナーだ」


 きゃっ♪ パートナーですって。

 その商売の上での(前の言葉)が無かったらもっと嬉しかったのに♪


 とか言って遊んでいる場合じゃないですね。

 ここで足止めされるとイベントの開催が遅れてしまうので、ここは領主の三男パワーでさっさと通して貰わないと。


「商売のパートナーですか……」


「そうです。最近、街で小さな羊の人形が流行っているのを知らないですか?」


「え? あれってお嬢ちゃんのとこの商品だったのか……」


「そうです。キュッテの考えだした商品です。普段は僕のお店で販売しているのですが、今日は街の中央広場で催し物を開催する事になっていて、そこで販売する予定なんです。あまり時間がないのですが、もう通して貰ってもいいですか?」


「あ、はい! そういう事でしたら、ど、どうぞ!」


 なんとか無事に街に入れたわね。

 念のためにアレン様にお願いしておいて良かったわ。

 まぁ、まさか本人が出迎えに来てくれるとは思わなかったですけど……。


 それはさておき……さぁ、ここからがイベント本番!

 まずは、街をぐるりとパレードよ♪


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