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【第54話:自己紹介】

 和やかな雰囲気の中で話が進み、皆にあらためて自己紹介をして貰う事になりました。


「じゃぁ、まずはトルテからにしようかしら。軽くで構わないので順番にお願いしますね」


「えぇ!? おれからするの~!?」


「トルテ~? 院長せんせいからいわれてる? えっと……もっとていねいに話しなさいって?」


 トルテと同じ孤児院から来たと思われるその子は、首を何度も傾げながらそう言って注意しました。なんでしょう? このカワイイ生き物は?


 トルテはトルテで、銀髪つんつん頭とつぶらな黒い瞳に、ちょっとやんちゃな感じも合わさって可愛らしいのですが、こっちの子は金髪碧眼のさらさらヘアーでまるでお人形のような整った顔立ちと可愛さです。


「う、うん。そうだった。おれはトルテと言います。編み物がとくいなので院長せんせいにすすめられてきました。よろしく! ……おねがいします!」


「へぇ~、トルテは編み物が出来るの? うちにぴったりじゃない♪」


「うん! ギフトで『手芸』をもらったんだよ!」


「え? 『手芸』スキルを持ってるの!? 凄いじゃない!」


 今回、孤児院に声をかける際には、人数は五、六人までで、真面目に働いてくれて人として問題なければスキルは不問ということで募集をかけて貰ったのですが、まさか求めている能力そのもののスキルを持った子が来るなんて思ってもいませんでした。


 なぜなら、この世界には無数のスキルが存在するので、求めているそのもののスキルを持った子が、ちょうどうちにやってきてくれるなんてかなり低い確率だから。

 しかも、それが先日偶然出会った男の子が持っているというのだから、不思議なものですね。


 トルテも私に褒められて嬉しいのか、「えへへ~」と満面の笑みです。


 でも、奥にいた女の子の一人が、俯いてしまっていることに気付きました。

 これはフォローしておかないといけないわね。


「えっと、先に言っておきますね。トルテが求めていたそのもののスキルを持っていたのは素直に嬉しいですけど、ゆっくりでも良いので、一つずつ仕事を覚えて貰えれば全く問題ありません。お任せしたい仕事はたくさんあるので、自分のあった仕事から順番に覚えていってくれれば良いので」


 私がそう言うと、その女の子もどこかホッとしたように顔を上げてくれました。


 うん。私は気配りの出来る女ですから!


「はい。じゃぁ、次は君……自己紹介をお願いできるかしら?」


「は~い? 僕はヨセミテです。ギフトはトルテみたいにやくにたたないけど、がんばる?」


 なんでしょう、この子……魔性のものですか?

 そっち系にまったく興味のない私が、思わず抱きしめたくなるぐらいカワイイです!

 おまけに仕草までもがいちいちカワイイのだから、困ったものです。何が困ったものかはわかりません。


 まぁただ、仕事ができるイメージがまったくわきませんけどね……。


「ヨセミテね。これから頑張って」


「まかせて~?」


 全然任せられそうな気はしないけど、カワイイから許します。


「じゃぁ、次はそちらの三人、順番にお願いできますか?」


 私がそう言うと、三人で頷きあってから真ん中の一人が話し始めました。


「アンジュです。スキルは『測量』なので、能力が役に立つかは微妙だけど……頑張ります!」


 美人というより、可愛らしい感じの子。

 三人ともブラウンの髪だけど、この子は腰近くまでの長い髪をしています。

 素直そうだし、やる気もありそうだから期待できるかしら?


「私はセイナ! スキルは『細工』なので、お役に立てると思いますわ!」


 次に話し始めたのは、向かって右側の女の子。

 髪の長さは肩にかかるぐらいで、一見すると素朴な感じの子に見えるのだけれど、話し方とか雰囲気とかが、なんとなく金髪縦ロールを彷彿とさせるのは私の前世の記憶のせいかしら……。


 それは置いておくとして、能力は知らないのだけど、スキル『細工』なら仕事で大いに役に立ちそう!


 そして、最後に話し始めたのが向かって左側の女の子。

 さっき能力の話をした時に、下を向いていた子です。


「あの……リイネです。スキルはモノづくりには全く関係ないものなので……でも、その……頑張ります……」


 見た目は、ショートの髪型が良く似合う、とてもボーイッシュな子。

 声は小さいけど、今はちゃんと前を向いて話せているし、慣れれば問題なさそうかしら。


「アンジュさんに、セイナさんに、リイネさんですね。さっきも言いましたけど、能力が役に立つものなのは歓迎だけど、そうじゃなくても心配しなくて大丈夫だから、ゆっくり覚えていきましょう」


「「「はい!」」」


 やる気も三人とも問題なさそうね。


 さて……残りの二人、双子のおばさんは、どういう経緯でうちの募集に来てくれたのでしょうか。


「「次は私たちかねぇ?」」


 わっ、双子らしく綺麗にハモったわね。


「あ、はい。お願いします」


「「この通り双子のおばさんさぁね。名前は……」」


「あたしがギルダで……」


「あたしがギルナだよ」


 名前まで似てるわね……。

 でも、髪こそ二人とも銀髪でアップで纏めててそっくりだけど、ギルダさんは目の色が薄い赤で、ギルナさんが薄い緑なので、そこで見分けはつくかしら。


「「あたしたちは、ついこの間まで孤児院で働いていたのだけどねぇ。無事に最後の子が育ったので、孤児院が畳まれることになったのさぁ。二人とも『管理』のスキル持ちなので、牧場と工房でそれぞれ働いてみてはと、そこのイーゴス様に誘われてねぇ」」


 うん。凄く興味深い話なんだけど、この長文を完璧にハモられると、話の内容が全然頭に入ってこないんですけど!?


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