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【第51話:魔道具屋】

「ははは。二人は本当に仲良しだね」


 アレン様……今、私一瞬意識遠のいていたんですが……?

 いいえ。それよりも、私が勝手に決められる話じゃなかったですね。


「あっ、私、勝手に……その、アレン様、イーゴスさん。レミオロッコの話、どう思われますか? 出来れば、そういう方向で進めたいと私も思ったのですが?」


 私がそう尋ねると、二人とも優しそうな笑みを浮かべて答えてくれました。


「はい。良い考えだと思いますよ。アレン商会からもそれほど遠くはありませんし、フェルトマスコット作りを孤児院の子供たちが覚えられるのでしたら、孤児院の子供たちにとっても、とても良い話になるでしょう。だから、僕の方は問題ありません」


「とても良いアイデアだと思われます。ちなみにですが……アレン様のご意向で、アレン商会からは、この街にある三つの孤児院に寄付金をお渡ししているのですよ」


 アレン様、さすがですね!

 さりげなく孤児院に寄付していたなんて。


「ありがとうございます。それじゃぁ、場所はここで……そして、雇うのはまず孤児院に声をかけて、できれば私やレミオロッコと年齢の近い人から募集をかけてみる形で……」


 レミオロッコの提案により、まず工房の場所が決まり、雇用に関しても、アレン様の方から面識のある三つの孤児院に声をかけて下さることになりました。


 ただ、アレン様が言うには、この街の孤児院はレミオロッコのいた街のような偏見はあまり持たれていないらしく、もしかすると思ったより人は集まらないかもしれないという話でした。


 でも、それならそれでレミオロッコにしてみれば嬉しい話ですし、私にしても、その時は当初の予定通りに正規ルートで人を雇えば良いだけなので、特に問題とも思いません。


 レミオロッコのこの行動が、彼女の背負わなくていい罪の意識を少しでも軽くしてくれたなら、私も嬉しいのですけどね。


 ◆


 一通りの話を終えた私たちは、いつも通りにお昼を『ロシナン亭』でご馳走になり、アレン様たちと別れると、今日は少しだけ街を散策してから帰る事にしました。


 元々は商業ギルドによるつもりだったのですが、孤児院での募集結果がどうなるかわからないので、ギルドでの人員募集は暫く保留です。


 だから、時間の出来た私とレミオロッコ、それにコーギーモード(フィナンシェ)の二人と一匹で街をぶらぶらと散策する事にしました。


 私は地方都市クーヘン以外の街に行った事がないのでわからないのですが、レミオロッコの話だと、ここはとても活気があって商いも盛んな街だそうです。

 ずっと牧場暮らしで街にはまだ全然詳しくないですし、たまにはこういうお店巡りも良いですね。


 まぁ主に屋台巡りだったりするんですけど、他にも色々な店をのぞいてみました。


「あっ、あそこのお店って、魔道具屋さんかしら?」


「うん。そうね。ちょっと覗いてみる?」


「うん! 行きましょう!」


 魔法の道具とか聞くと何だかわくわくするわよね!


 と、数分前の私は思っていました。


「な、なんか、電気屋さんみたいね……」


「え? なに屋さんって?」


「あぁ、気にしないで!」


 前世で電気で動いていた色々な物が、魔法で動くようになっているのですが、驚いた事に前世の電気屋さんのように品ぞろえが豊富でした。


 さすがに大手量販店のような品ぞろえという意味ではなく、街の電気屋さん的な感じですが、魔道コンロや魔道冷蔵庫、魔道洗濯機などの白物家電のような魔法の道具が並べられています。


 でも、その中に一つ、私が前から欲しかった物を見つけてしまいました!


「れ、レミオロッコ! これ! これを買いましょ!」


 それは魔道湯沸かし器と言うのでしょうか?

 作動させてお風呂の中に放り込むと、自動でお湯を沸かしてくれるという優れものです!


「えぇ~? それ高いわよ? あなたの牧羊杖でいくらでも薪を確保できるんだから、薪で沸かせばいいじゃない?」


 お風呂の水は水撒きで溜めれますし、薪に使う木は成長させて刈り取って確保しているので、牧羊杖のお陰で色々と助かっています。

 さすが我が家に代々受け継がれてきた牧羊(・・)杖です。


 でもね……お風呂ぐらい、もっと簡単に入りたいの!


「い~や~よ!! もう、疲れた体に鞭打ってお湯を沸かすのは、い~や~な~の!!」


 レミオロッコは見た目私より幼いくせに、力も体力も段違いだから、あの苦労がわからないのよ!

 そもそも、私がお風呂を沸かしたら入るくせに、沸かさなかったら水浴びですませちゃうから、結局私が沸かさないといけない事になってるし!


「うっ!? わ、わかったわよ。でも、お金足りるの?」


 本当は工房起ち上げでお金のいる時なのですが……これは必要経費です!


 将来、レミオロッコ以外にも住み込みで誰か雇うつもりですし、これは将来のためなんです。

 そう! 設備投資!! 福利厚生よ!


「大丈夫よ! 最近、うちはブラック牧場と化してるだけあって、結構稼いでいるから!」


「ぶらっく牧場? なんのことかわからないけど、買えるのならいいんじゃない?」


 その後、無事に念願の湯沸かし魔道具をゲットしました!

 予想外に重くて私じゃ持てなかったので、レミオロッコに持たせましたけど、散々ひと事みたいに言ってた罰です!


 まぁ魔道具屋さんを出たら、すぐに路地に入って、こっそりフィナンシェに牧場へ届けて貰いましたけどね。


 その後も、私たちは何件ものお店を見て回りました。

 こんな風にお店巡りをしたのは初めてだったので、思った以上に楽しかったです♪


 とりあえず四人と大きな馬車一台までなら、転移させても問題ないことがわかっているので、帰りは一瞬で帰れます。人体実験? 何ですかそれ?


 ただ、羊たちを厩舎に入れないといけないので、日が傾くまでには戻らないといけないのが残念です。本当は、晩御飯も街で食べて帰りたいところなんですけど、それは人手が増えてからですね。


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