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【第21話:ヒミツチキ】

「という訳で、無ければ作ればいいのよ!!」


 朝食を済ませた後、草原で摘んで集めたハーブティーを飲みながら、私はレミオロッコにそう訴えかけたのですが……。


「えっと、何がという訳(・・・・)で、何を(・・)作ればいいのよ……?」


「もう、察しが悪いわね。カワイイものよ! この世界にはカワイイが不足していると思わないの!?」


「カワイイもの? って、可愛い物? ってことよね? どういうこと? アクセサリーとかってこと?」


「違うわ! それはどっちかと言うと、カワイイよりキレイって感じでしょ?」


「そうなの? 可愛いアクセサリーとかもあると思うけど?」


 可愛いアクセサリーがどんなものなのか詳しく聞いてみたけど、やっぱりそれは、私からするとカワイイではなくキレイでした。


「ん~? じゃぁ、キュッテの言うその『カワイイ』って、どういうものなの?」


 何がわかりやすいかな?

 可愛いアクセサリーももちろん良いのだけど、やっぱりまずはアレよね。


「たとえば……」


 と、そこで言葉を区切ると、私はいつの間にか家に入ってきていたコーギーモード(フィナンシェ)を抱きかかえ、レミオロッコの前に掲げてみせた。


「これよ!」


「これ? フィナンシェちゃん?」


 フィナンシェちゃん? とか言いながら、お腹をつつくのはやめてあげて。


 くすぐったそうなフィナンシェをレミオロッコの前から避難させながら、私はビシッと人差し指を前に突き出して、こう言いました。


「そう! フィナンシェとか、うちの羊たちを元にした『ぬいぐるみ』よ!!」


 何か白と黒の誰かが忘れてないかと文句を言ってきそうだけど、あなた達は、そういう枠じゃないからいいのよ。


「え? なに? 『ぬいぐるみ』って?」


「え?」


「え? じゃなくて、『ぬいぐるみ』ってなに?」


 もしかして、この世界には『ぬいぐるみ』が存在していないの!?


 少し話を聞いてみましたが、レミオロッコはどうやら本当に『ぬいぐるみ』を知らないようです。

 レミオロッコの話では、人形は存在するようだけど、それはフランス人形のようなもので、やはりカワイイといった感じでは無さそうでした。


「へ~。なんだかその『ぬいぐるみ』というものに興味がわいてきたわ!」


 三〇分ぐらいかけて『ぬいぐるみ』がいかに可愛くて尊いものなのかを洗脳……げふんげふん。説明したところ、出てきた言葉です。何がとは言いませんが成功ですね。


「興味を持ってもらえて嬉しいわ! 羊毛がたっぷりあるから材料費もあまりかからないと思うし、落ち着いたら早速作ってみない?」


 街での素材の売買は、副ギルド長が仕切っており、そのまま羊毛を売ろうとしても邪魔されそうだけど、ぬいぐるみ(商品)なら普通に売る事が出来るはずです。


 他にもカワイイ服や、フィナンシェをキャラクター化して、グッズ販売とかも良いかもしれないわね。


 それに、羊のチーズなんかも作ってみたいし、ふわふわパンを作るのに成功した暁には自家製バターを塗って食べてみたい。


 うん。何だか夢が広がるわ♪

 レミオロッコと出会えたことに、本当に感謝しないと!


 ◆


 これからの事を話し合ってから、十数日が経ちました。


 まずはレミオロッコに牧場の仕事を教え、余った時間で、素材を保存したりケルベロスモード(フィナンシェ)を直接送還できる大きさの倉庫を作ったりと、忙しい毎日を送っています。


 そして今日、とうとうその倉庫がようやく完成しました!


「やったわね! レミオロッコ、お疲れ様! こんな凄い倉庫を完成させられたのはあなたのお陰よ!」


「……えぇ、そうでしょうね。こんなモノよく思いついたわね……」


 あれ? ここはこう、そんなことないわ、あなたもいたからよ、からのハグとかいう流れだと思ったのだけど?


「私の『創作』スキルの能力全開で、こんなに苦労して作ったものなんて初めてだわ。なによ、ヒミツチキ(・・)って……」


「ヒミツチキじゃなくて秘密基地ね。それに『創作』スキルがランクアップしたんだから、良い事じゃない!」


「そうだけど……本当に苦労したわ……」


「「がぅ!」」


「うん。フィナンシェも頑張ってくれたわね。ありがと!」


 でも今、完成を喜んでいるその秘密基地(倉庫)は、どこにも見当たりません。

 私たちの前には倉庫らしい建物などはなく、見えるのは自宅と厩舎と長閑な牧場の風景だけです。


 どうしてか? だって、それは地下にあるから!


「たしかにフィナンシェちゃんがいなかったら、厳しかったわね」


 フィナンシェは『ここ掘れワンワン』とかいう能力でもあるのではないかと思うぐらい、穴掘りが上手かった。

 しかも、力が必要な作業は、器用に口や前足を使って手伝ってくれたので、本当に助かりました。さすが牧羊犬。


「うちの牧羊犬は優秀なのよ」


「だから、ほかの牧羊犬が文句言ってくるわよ?」


 まぁ牧羊犬の定義は置いておくとして、これで刈り取った羊毛をしまっておいたり、これから作る『ぬいぐるみ』をはじめとした商品を格納しておけます。


 それに、さっき早速ホームとして設定したので、いつでもケルベロスモードのまま、フィナンシェの送還と召喚による荷物の運搬が出来るようになりました。


 これで、ようやく次のステップへと進めます!


「さぁ、次はモノづくりよ!」


**************

ようやくモノづくり!(*ノωノ)

**************

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