表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/59

王太子殿下の婚約者

ブクマありがとうございます!


数ヶ月時間がスキップしてます、よろしくお願いします。

「すごぉい! なんて素敵なの!」



「本当、リリアンにピッタリだわ。王太子殿下はセンスが良いのね」



 寮のリリアンの部屋で王太子から届いたドレスを試着して見せてもらったレティシアは素敵なドレスにとても興奮していた。

 アレクシアも大人っぽさと可愛らしさを兼ね備えたデザインでありながらリリアンに似合うセンスの良さに素直に感心している。



 このドレスは王太子であるジェルマンから卒業パーティーでエスコートするリリアンへの贈り物である。

 正式に発表されていないが婚約者がリリアンに決定したと言っている様なものだ。



 ジェルマン王太子の瞳の色であるチョコレートの様な茶色のシルクをベースにシフォンの様にふんわりと透ける白やベージュにピンク系の花が刺繍で散りばめられて可愛いのに、デザインがデコルテを見せて大人っぽさを演出している。



「王太子殿下はどんな衣装を着られるか決まっているの?」



 レティシアが目をキラキラさせてリリアンに質問した。



「衣装は王族の伝統的な物ですけれど、わたくしの目の色をしたポケットチーフを準備しているそうよ」



 そう言って微笑むリリアンは幸せそうだった。

 アレクシアが最初に話を聞いた時は政略結婚で嫌ではないのかと心配したが、食堂でテオドール王子を諫めたり、普段から周りに気遣いをしている姿を見ているので元々好感度は高かったが、正式に婚約の打診が来たと父親の公爵から聞かされた時に思わず喜んでしまい、その時に好感ではなく好意を持っていた事に気付いたとアレクシア達に教えてくれた。



「リリアンもアレクシアも親戚なだけあって見た目に惑わされず素敵な婚約者を見つけたのね…、いいなぁ」



 アレクシアは最初の出会いのせいでレティシアとクロードが良い感じなのかと思っていたが、お互い兄妹の様な家族としての愛情しか持ってないと今では知っている。



「それじゃあ私達の卒業パーティーまでに女を磨かなきゃね!」



「そうね、時間はまだあるもの。それまでにもっと太ってみせるわ!」



「アレクがポテチや平民用の味付けの事を教えてくれてからかなりレティの体重も増えたのではなくて?」



 実際入学してから11ヶ月の間に見た目が1.2倍になっていた。

 お陰で姉からの虐めもかなり減ったらしく、両親も年頃になってきたから綺麗になってきたのだろうと喜んでくれているとか。



「そうなの! 前に比べたら食事の量を増やす事が出来てるから卒業までにはお姉様に追いついてみせるわ!」



「頑張ってね、わたくしも応援しているわ」



「無理をして身体を壊さない程度にね、美しさよりレティの健康の方が大事だから」



「2人ともありがとう、胸を張って2人の友人ですって言える様になるからね」



「今でも言えるわ」

「今でも言えますわ」



 同時に言ってアレクシアとリリアンは顔を見合わせて笑った、レティシアは嬉しさのあまり瞳を潤ませている。

 リリアンがこのような人格者の言葉をサラリと言えるのは、幼少期からアレクシアが事ある毎に「なぜ容姿で判断してはいけないか」「なぜ傲慢な態度をとってはいけないのか」という事をしっかり、みっちり説明してきたからである。



 幼少期は「わたくしが美しければ他はどうでもいい」から「見た目だけ磨いても中身が醜悪ならばその醜悪さが外見にも影響する」になり、「見目麗しいだけの傲慢な無能は何人居ても仕事が進まない、見た目に関わらず有能な者が居れば早く終わる」という概念も周りの人間を例に出しては叩き込んだ。



 その結果アレクシアが居なくても公正に物事を見る様になり、食堂内でのちょっとしたイザコザを諌めたりする事が何度かあった。

 そんな場面をジェルマン王太子が1度ならず何度か見かけた事によって本人から陛下に進言があり婚約者に決定したのだ。



(婚約者に決定してからリリアン綺麗になった気ぃするわ、やっぱり恋する乙女は綺麗になるんやな。私も多少綺麗になっとるんやろか…なんつって)



 そんな事を考えながらニコニコとミラに手伝って貰いながら普段着に着替えるリリアンを見ていたらレティシアがポツリと言った。



「来年はアレクシアがマクシミリアン様と卒業パーティーに出席するのよね? いいなぁ、私も卒業する前に誰かのパートナーで出席してみたいって欲が出て来ちゃう」



 夢見る乙女の様に頬に手を当ててホゥ、と熱いため息を吐くレティシアの横で、アレクシアは言われて初めてその事に気付き、妄想が止まらなくなっていた。

 が、あの麗しいマクシミリアンの隣に立つ自分の姿に少なからず心を打ちのめされていたりする。



 全く同じ様な事をマクシミリアンも考えているとは露ほども思わずに。

お読み頂きありがとうございます。


世間の目よりどうしても自分の感性で見てしまうアレクシア。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ