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婚約成立

ブクマ&評価ありがとうございます!


よろしくお願いします。

 アレクシアはテオドール王子関連でずっと警戒していたが、あれ以降何も起こらず半年が過ぎた。

 母のクリステルの情報によると、隣国の王女との話が出てから様子がおかしかったとリリアンの母であるヴァレリーとのお茶会で()()()()()を聞いて来た。



 それにより恐らくテオドール王子に言い寄られたアレクシアの行動と同じく想いを寄せる相手と先に婚約しようとしたのだろう、とクリステルは耳にしたが、その事まではアレクシアの耳に入れなかった。



 そしてクリステルは他の夫人達も参加していた公爵家でのお茶会にて娘の純愛物語を語って聞かせた。

 容姿の醜さを気にせず心根の美しさに心を打たれた娘は、リオンヌ家の長男と婚約出来なければ修道院へ入ると頑なに想いを貫き父親をも説得した、と。



 その話はラビュタン侯爵家の令嬢を狙っていた令息達がフリーになり、娘の嫁ぎ先として狙えるという下心が原動力となったお陰で美談として応援ムードで急速に広まって行った。

 そんな水面下のクリステルの努力により、アレクシアとマクシミリアンが婚約する事に渋っていた王妃や陛下も周りの雰囲気に負けて認めざるを得なかった。



 2人の意思の確認から半年、やっと婚約の許可が降りて教会へ申請書を出す事が出来た。

 本当なら翌週に申請できると思っていたが、中々許可が降りずにアレクシアはずっと安心出来ずにいたので父親から報告を受けた時は嬉しくて泣いてしまった。



 ラビュタン家の使用人達はオーギュストやソフィーがいるので容姿に難ありのリオンヌ家の子息達が来ても普通に接する、大きな理由のひとつに将来的に嫁ぐ家の家族にラビュタン家の使用人に対して悪感情を抱く様な事があれば、ひいてはアレクシアお嬢様の評価を落とす事になると思っているからである。



 一方リオンヌ家の人達は「さすが侯爵家の使用人だ、よく教育されている」と感心していたりする。

 容姿の恵まれない者を積極的に雇っているが、自分より容姿が劣っているという理由で雇い主であるリオンヌ家の家族を見下す新人がいるのだ。



 教育中に立場を理解して態度を改められる者であれば採用されるが、そうで無い場合には不採用になり、当然紹介状も書いてもらえない。

 幼い頃に下の者から悪意や蔑みの目を向けられるのは心に大きな傷を負う、武門の家系であるリオンヌ家においてそれは足枷となってしまうのだ。



 使用人の質に関しては平民の使用人がいる割合が大きく関わっていたりする、高位貴族であるラビュタン家ではアネット以外のメイドは全員貴族なので表情を抑える様に育てられている。

 そしてアネットは平民だが大商会の娘なので「愛想はタダだから、それをケチって上客を逃す様な事は愚の骨頂だ」という家訓の元育っているのでどんな相手でも笑顔を絶やさない事は余裕だ。



 むしろ貴族を敬う立場である平民出身の者の方が態度があからさまなので弾かれる事になる、それによりリオンヌ伯爵家に仕える者は平民出身でも心根が真っ当なものや礼儀を弁えている者だけが残るので使用人としての質は良いのだ。



 それに加えて何度か遊びに来ていた自分達にも優しい美少女が()()マクシミリアンの婚約者になったという事でリオンヌ伯爵家の使用人達のテンションは爆上がり状態だ。

 優しい主人達は尊敬するが、やはり見目麗しい方に仕える方が張り合いがあるというものだろう。



 将来的にはもしかしたらアレクシアの様な美少女やエミールの様な美少年のお世話をしてお嬢様や坊っちゃまと呼べる日が来るのではと、屋敷全体が少々浮かれていた。

 そして少々どころでは無く浮かれているのは間違いなく当事者であるマクシミリアンだ。



「まったく…、見ていられませんよ。ただでさえ目を背けたくなる様な容姿だってのに…そんな締まりの無い顔をよく晒せますね」



 寮にて目を覚ましたマクシミリアンに辛辣な言葉を浴びせたのはリオンヌ伯爵家から来ている7歳年上の執事のロランである。

 男爵家出身の父親がリオンヌ伯爵家で家令をしており、子供の頃から兄の様にマクシミリアンを見守り世話をしてきた。



「仕方ないだろう、アレクの事を考えると勝手にニヤけるんだから…」



「気持ちはわかります、アレクシアお嬢様の様な美しい方が婚約者となられたと聞いた時は恋慕うあまりとうとう妄想癖が発現してしまったかと思ったくらいには奇跡的な事ですし」



「お前…、そんな事思ってたのか…」



「では逆にお尋ねしますが、私がある日女神の様な美女とお付き合いを始めましたと言ったらどう思いますか?」



「……っ」



 リオンヌ伯爵家の使用人であるロランもまた残念な容姿をしている、マクシミリアンはグッと言葉を詰まらせた。



「でしょう? ヘタしたら武力にモノを言わせて脅して婚約したとか言われても仕方ないくらいなんですから…、せめて隙を見せない程度にはしっかりして下さいね」



 自分だって結婚が決まった時にだらしない顔していたくせに、とは口に出さずにマクシミリアンは顔を引き締めた。

お読み頂きありがとうございます。


最近お話を練るのに時間が掛かってしまい、更新が遅れて申し訳ないです_:(´ཀ`」 ∠):

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