マクシミリアンとの昼食(40日目)
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「いやだわ、そんな風に言われたら実際会った時にガッカリされたらどうするの? マックスったら意地悪ね」
「大丈夫さ、むしろ控えめにしか言ってないと思うんだが?」
アレクシアがマクシミリアン達と食事する様になって1ヶ月以上経過し、すっかり一緒に食事する事にも会話する事にも慣れて冗談も言い合える様になった。
ただ、オーギュストの予想を超えてマクシミリアンがアレクシアに伝えたい事を全て言えたのは初めて食事をしてから2週間経った頃だったが。
「じゃあ次の休みには私とアレク、行きたがった場合はエミールも連れてマックスの家に遊びに行くって事でいいんだね?」
「ああ、家族も楽しみにしているよ。むしろ弟達はアレクの事を俺の想像の産物じゃないかと疑ってると思う」
「クスクス、なにそれ。私は幻なのかしら?」
「ははは、実際にアレクを見たら幻を見てるのかと勘違いするかもしれないな、こんな美少女見た事無いだろうし」
「え…っ!?」
「あ…っ」
いきなり褒められてボンッと音が鳴りそうなくらい一気にアレクシアの顔が赤く染まる。
マクシミリアンの方も面と向かって美少女と言った事に気付いて赤くなった。
向かいの席で頬を両手で挟んで目を伏せるアレクシアの姿に褒められ慣れているはずなのに自分の言葉にこんなに照れてくれていると思うと今すぐ抱きしめたい衝動に駆られた。
しかし隣に座るオーギュストの存在がそれを押し留めてくれ、醜男の赤面という無様なモノを見て気分を害さない様にと腕で自分の顔を隠した。
「なんか…、私がここに居たらお邪魔かな~と思うのは気のせいかな?」
「おっ、お邪魔だなんてとんでもないわオーギュ兄様!」
(マックスと2人きりなんて嬉しいけど絶対心臓がもたん!)
「そうだぞ、俺なんかと2人きりになって万が一にでも妙な噂が流れたらどうするんだ。アレクはまだ婚約もしていないんだろう?」
「2人きりねぇ…、ここでは2人きりとは言わないんじゃないかな?」
オーギュストは中庭に点在する他の四阿に視線を巡らせた。
ここで学園で最も美しい令嬢と最も醜い令息が共に食事をしているという事はすっかり噂で広まってしまい、アレクシアの姿をひと目見ようとする者たちによる四阿の争奪戦が毎日繰り広げられていたりする。
特に元々食堂で食事を摂らない容姿に自信の無い者達が人目を避ける為に使われていた場所なので様子を伺おうとすれば目隠しとなる植物の陰から覗き放題なのだ。
アレクシアは気付いていないが剣術の授業や自主的な訓練のおかげでマクシミリアンとオーギュストは気配には敏感な為、いつからか覗かれ始めた事にはとっくに気付いている。
ただ、マクシミリアンはアレクシアと向かい合うと意識がアレクシアに集中するのであまり気にしていない。
「確かに室内じゃないし、いつ誰に見られるかわからない中庭ですものね」
「そういう意味じゃないんだけど…、アレクは私達とは違う意味で視線に慣れてしまっているから鈍くなってしまうんだろうな」
はは、とオーギュストが乾いた笑いを漏らすと同時に予鈴の鐘が鳴った。
「もうお昼休みが終わりなのね、楽しい時間はあっと言う間だわ。マックス、明日はご家族への手土産に何が良いか一緒に考えてね」
「そんなのいいのに…、わかったよ」
手土産を断ろうとしたらアレクシアにジロリと睨まれたので慌てて素直に頷く。
マクシミリアンが了承するとすぐに輝く様な笑顔に変わり、オーギュストと共に食器を片付けに食堂へ向かった。
「はぁ…、どこまでアレクは可愛いんだ。美しくて性格が良くて気さくで気遣いも出来て前向きなのに初心だなんて…、これで惚れるなって方が無理だろう…会う度に好きになるじゃないか。俺なんてただ兄の友人というだけで相手をしてくれているんだろうけど、想うだけなら…許されるよな?」
マクシミリアンはクタリとテーブルに突っ伏して軋む胸元を握り締めた。
アレクシアがオーギュストが居る時には聞けないが家に遊びに行ったら弟達からマクシミリアンの女性の好みを聞き出そうと画策しているとは思いもせずに。
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リオンヌ伯爵家の弟達イコール美少年なので密かに楽しみにしているアレクシア。