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友沼部屋奮闘記  作者: 魚屋ボーフラ
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余興

 本当にどうでもいい話だが、千秋楽の後のパーティーでは、余興でカラオケ大会が開催され、意外な人物が優勝した。この春から床山に転身した床沼だ。

 力士だった時には月代の四股名で相撲を取っていた床沼だが、床山に転身してからは友沼部屋の中で少々都合の悪いことが起こり始めた。それは、床沼の名が師匠である友沼親方と混同しやすいということである。

 洗濯を頼もうと床沼を呼ぶと親方が現れ、髪結いを頼もうと床沼を呼ぶと親方が現れと、そんなことが繰り返されるうちに自然と部屋のみんなは床沼のことを「沼っち」と、愛称で呼ぶようになっていた。

 そんな床沼がそのカラオケ大会で披露したのは、若かりし頃のマッチこと近藤真彦の「ハイティーン・ブギ」を替え歌にしたものだった。小学生程度の実にレベルの低い替え歌であり、歌唱だってお世辞にも誉められたものではなかったのだが、何故だかそれが村の高齢者にはウケにウケ、優勝をかっさらってしまったのである。

 衣装やカツラ等、いつの間にやら小道具まで調達していて、当時の正統派アイドルの真逆をいく、相撲取りらしいドスコイ的な振り付けで熱唱してみせたのは、次のような替え歌だった。


「ハエテェーン・ナイ」

  歌:ヌマッチ


 海辺に廻しを締めて

 一瞬マジにお前を

 抱いた Gaburi Yori


 俺たち傷だらけでもう

 頭の地肌までついに

 透けて 来たぜ


 お前が望むなら

 突っ張りも止めていいぜ

 俺は恐いもの知らず

 増田男になら負けないけど

 この髪を失くすことだけ

 こわいのさ


 生えてない 髷がもお結えない

 生えてない 明日こそ頭皮に植毛してやる

 これで決まりさ


 股の廻しの局部に

 頬寄せて泣くお前が

 好きさ Keta Guri


 稽古廻し外す

 俺の股の毛も 無いさ

 抜け毛はいつでも One Way Road

 二度と生え代わりゃしないさ

 昨日とは違う生え際

 見せてやる


 生えてない 育毛剤持って走れ

 生えてない 明日こそ頭髪を

 フサフサにしてやる

 それがサイコー


 序二段の力士に

 ゲンナマは無いぜ


 生えてない カツラを持って逃げろ

 生えてない 明日こそ頭皮にコイツを被してやる

 これで決まりさ


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