第二十一話 暴走爆走する青紫騎士を叱咤⁉ 苦労人の朱騎士は今日も脱力する ④
二人が溜め息を吐いていると、唐突に教室のドアが開き
「ああ、参った~」
「まったく。本当にしっかりしてくださいよ! 大事な事柄でしょうが!!」
「だからこそ参ったって言ってんの‼ それに仕方なくない?」
「仕方なくない! ゼクシュバル様に頼まれた仕事だ┄┄ろう┄」
そう言葉を変な所で切ってしまったのは、周りからの視線が自分達に注がれているのを感じたから。
そう思ったら、途端に恥ずかしく感じてしまい言葉が途切れてしまったのだった。
「? どうした?」
まあ一人だけ、わかってはいないけれども┄
「お、お前。もしかして気づいてないのか?」
「?」
「なにがだ?」
「┄┄┄┄いや、なんでもない。気にするな」
小首を傾げながら、不思議そうな顔を浮かべている相手に溜め息を吐きながら諦めの視線を相手に向けて、また溜め息を吐く。
「それより、お前達は殿下の手伝いに駆り出されていたはず」
「何か不測の事態でも起こったか?」
「それにしては、二人ともに慌てている感じでもない」
「でも殿下から大事な事柄を頼まれたんだろう? ここに戻ってくることを考えたら」
二人はそれぞれの考えを言って、また戻ってきたことに対してについて、二人は何か不測の事柄でも起こっていないことを確認しようと
二人を見て思った。
「なあ」
「言うな。大体のことはわかった」
「は、ハハハ。はあ」
カリエナは、とてつもなく脱力し、力ない笑顔を浮かべながら、不思議そうにしている二人に説明してあげることにした。
「うん。今回は二人とも初めての殿下のお手伝いだと思うけどね?」
「それって、ただのお使いなんだけど。まあただのお使いってわけじゃないってことは、二人とも気づいてるとは思うんだけどさ」
「ナニを探してこいって、言われてるのかな? それとも何かを確認してこいって言われた?」
力のない笑顔で、しかしカリエナは少しだけ鋭い剣呑な眼差しを混ぜてから問い掛けた。
二人はそんなカリエナの雰囲気に、息を飲み
顔を見合わせて、互いに頷き合い状況を最も理解しているアクスヴァムトが言葉を紡ぐ。
「はい。アズリヴィファスト様に急いで確認してこい! と言われました」
「ふむ。何をだ?」
「は、はい! 魔女は本当に欠片もなく消え去ったのか? と」
その言葉で、ユーフィリンとミズナの二人はビクッと肩を跳ねて、息を止め
そんな二人に慌てて、ミルヴァスが補足するように
「別に決まったわけじゃないから、そんなに怯えなくていいと思いますよ?」
「いやそれって、フォローしているようで不安を煽ってるからね?」
ミルヴァスにしてみれば、フォローのつもりだったが、カリエナにしてみると余計な不安を煽っているだけなので、つい突っ込みを入れてしまう。
「おい⁉ あまり怖がらせることを言うな」
ボソッ
「潰すぞ!」
物凄く低い声で、二人の少女達には聞こえない声で、眉間に皺を寄せて注意した。
「ひっ」
「おいこら、お前が脅してどうする。まったく。すまんな? ミルヴァス」
「あ、い、いえ。その。俺も、悪かった、です」
「フン! その話は、あとで俺から殿下に説明しておく」
ぷいっと、そっぽを向いて不機嫌そうに言ってから、そうアクスヴァムトに説明した。
「えっと、ありがとう、ございます?」
「はあ~~~」
そして今日も、カリエナは苦労しながら脱力するのだった。
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